Android Studioが40種類超のAIエージェントに対応、Google Playは2027年に折りたたみ対応を重視へ | 財経新聞

Googleは2026年10月28日、Android Studio Rabbit 2を公開し、40種類超のAIコーディングエージェントを利用できる「Bring Your Own Agent」(BYOA)を正式提供した。Google Playでは2027年に折りたたみ端末でのアプリやゲームの動作を重視し、適応型デザインに取り組んだアプリを紹介する機会を増やす方針も示した。ストア向け要件の詳細は2026年内に発表する予定だ。

発表の舞台となったAndroid Dev Summit 2026は、米カリフォルニア州マウンテンビューのGoogle Event Center at Bay Viewで10月28~29日に開催された。2022年以来の開催となり、AIを活用した開発支援に加え、Jetpack ComposeやAndroid XRの開発基盤も更新された。

■Android Studioでエージェントを選べるBYOA

BYOAは、エディタとAIエージェントを接続するオープンな規格「Agent Client Protocol」(ACP)を利用する。GoogleのAndroid開発ツール担当グループプロダクトマネージャー、Adarsh Fernando氏は、作業に適したエージェントやモデルを選びたいという開発者の要望に応える取り組みだと説明している。

対応するエージェントには、AnthropicのClaude Agent、OpenAIのCodex、GoogleのAntigravityなどがある。開発者はAndroid Studioの設定画面からエージェントをインストールし、複数を切り替えて利用できる。

エージェントは、Android Studioが持つプロジェクト構造やビルドに関する情報、シンボル解決、Compose Preview、エミュレータ、ログ表示ツールのLogcatなどを活用できる。コードの生成と、画面表示や実行結果の確認を同じ開発環境で進めやすくなる。

ACPは、Zed Industriesが2025年8月に公開したJSON-RPCベースの通信規格だ。標準入出力を使う接続では、エディタがエージェントを別プロセスとして起動し、要求や応答を双方向にやり取りする。公式の運営方針では、ZedとJetBrainsの担当者がリードメンテナーを務め、メンテナーによる意思決定の仕組みを定めている。

この設計は、Microsoftが2016年に公開したLanguage Server Protocol(LSP)に通じる。LSPがエディタと言語支援機能の接続を共通化したように、ACPはエディタとAIエージェントの接続を共通化し、組み合わせごとの実装負担を減らす。開発者にとっては、使い慣れた開発環境を保ちながらエージェントを選べる点が利点となる。

■コマンドラインでも実機テストと画面確認を支援

Googleは、Claude CodeとCodex向けに公式のAndroid CLIプラグインも公開した。プロジェクトの作成、仮想デバイスの管理、実行中の画面構造の確認、操作手順に沿ったテスト、公式の開発知識やスキルの検索などをエージェントから利用できる。

Android CLIでは、Android Device Streamingを使い、Googleのデバイスラボにある実機へ接続できる。開発者やエージェントは、手元に接続した端末と同様にアプリをインストールしてテストでき、継続的インテグレーションの処理にも組み込める。

新しいandroid previewコマンドは、IDEやエミュレータを起動せずにCompose Previewを描画する。Googleの社内テストによると、このコマンドを使ったエージェントは、使わない場合に比べてUIタスクを77%速く完了し、トークン使用量は最大で約3分の1になったという。

性能分析では、Perfettoのシステムトレースを使い、起動の遅延や画面描画の引っ掛かりなどを調べられる。Android Performance AnalyzerもPerfettoを基盤としており、Googleは2026年5月から、エージェントによるSQLクエリの作成やトレースの分析を支援するPerfetto SQL、Perfetto Analysisのスキルを提供している。

■2027年の折りたたみ対応に向けた準備

Googleは、2027年にGoogle Playで折りたたみ端末におけるアプリやゲームの動作を詳しく確認し、画面や端末の状態に適応する設計を紹介する機会を増やすとしている。開発者には、アプリ向けとゲーム向けの適応型品質ガイドラインに沿った最適化を勧めている。

Google Playは、大画面向けの品質を以前から重視してきた。2022年3月には、タブレットや折りたたみ端末などで高品質なアプリを見つけやすくするため、検索結果やホーム画面の推薦、特集の仕組みを更新する方針を発表している。今回の方針は、折りたたみ端末での利用体験に改めて焦点を当てるものとなる。

対応では、端末を閉じた状態と開いた状態での画面サイズの違いに加え、半開きで使う姿勢も考慮する。テーブルトップ姿勢は、折り目を水平にして端末を半開きにし、下半分を机などに置く使い方だ。動画を上側に、操作部を下側に配置するなど、姿勢に応じた画面構成が役立つ。

Googleは対応を支援する「Compose adaptive skill」も更新した。AIエージェントがCompose UIを調べ、キーボードショートカット、独自のポインターカーソル、ホバー表示、ツールチップの追加を支援する。ナビゲーションの変更や、Grid、Flexbox、mediaQueryを使ったレイアウトへの移行、アプリ全体の状態管理も扱う。

更新版は、メディアやカメラの画面をテーブルトップ向けに組み替える作業にも対応する。スマートフォン、折りたたみ端末、タブレットに加え、ノートPCのGooglebookやXRまで、共通のコードベースを広げるための支援となる。開発チームは現行の品質ガイドラインで画面構成と入力操作を点検し、年内に公表されるストア向け要件を踏まえて対応を計画できる。

■Android XRのSDKとエミュレータが正式版に

Android XRでは、Jetpack SceneCore、ARCore for Jetpack XR、XR Runtimeという主要なJetpack XR SDKライブラリが正式版になった。Googleは、実運用向けのAPI、長期的なAPIの安定性、後方互換性を備えるとしている。

Android StudioのXRグラス、オーディオグラス、ディスプレイグラス向けエミュレータも正式版となった。実機の入手前から、アプリの構築、修正、表示確認を進めるための環境が整う。

更新されたエミュレータでは、開発者が用意した360度写真や接続したカメラの映像を、テスト環境に利用できる。Pairing Wizardも改良され、仮想スマートフォンと仮想グラスをペアリングする操作が改善された。

Android XR Engine Hubも正式版となり、Unity、Godot、Unreal向けの開発手順と、性能トレースの取得・分析を支援する。ARCore for Jetpack XR SDKとUnityには、現実世界の場所にデジタルコンテンツを配置し、その位置を追跡するGeospatial APIも追加された。

XR関連の講演では、Gemini Nano 4を使う音声中心のアプリ開発も取り上げられた。マイクやカメラからの入力を取り込み、音声や音を主な操作手段にする構成は、軽量なスマートグラスに向けた開発テーマの一つとなっている。

■Composeの描画機能と状態管理も拡充

Android 18については、事前公開された講演概要で、Jetpack Composeと次期Androidのグラフィックス機能が取り上げられた。扱う題材にはメッシュグラデーションやProgressive Blurがあり、消費電力やフレームレートに配慮した実装もテーマに掲げられた。

メッシュグラデーションは、複数の制御点に指定した色を滑らかにつなぐ表現だ。Progressive Blurは、領域の中でぼかしの強さを段階的に変える効果で、画像に重ねる文字の読みやすさを整えるといった用途がある。Android 17は2026年6月16日に正式公開されており、次期版に向けた描画技術も開発者向けの話題となった。

Googleは、今後のCompose 1.13正式版でGridとFlexboxを正式機能とし、Progressive BlurやFormatted Textも追加する予定だ。画面サイズに応じた配置と視覚表現を、UIフレームワーク側から支える。

アルファ版のAppStateは、Composeのリアクティブな仕組みをアプリの状態管理へ広げる。公開されたStateStoreライブラリはCompose Runtimeを基盤とし、アプリケーション層での状態管理やDataStoreを使った永続化を支援する。端末の構成が変わっても状態を保つための設計を、開発者やAIエージェントが組み立てやすくする狙いだ。

■XREAL AURA、日本では11月2日に注文受付

GoogleとXREALは10月28日、Android XRを搭載する有線XRグラス「XREAL AURA」の注文受付開始を発表した。GoogleがAndroid XR搭載で初の有線XRグラスと位置付ける製品で、米国、カナダ、韓国に続き、日本では11月2日から18歳以上を対象に注文を受け付ける。

XREALが2026年10月に公表した日本向け税込価格は、12GBメモリ/256GBストレージモデルが22万9800円、16GB/512GBモデルが26万9800円だ。日本向けの発表では年内出荷を予定している。

海外では、12GB/256GBモデルの発売記念価格が1099ドル(約17万4000円)、16GB/512GBモデルが1299ドル(約20万5000円)となる。通常価格はそれぞれ1279ドル(約20万2000円)、1499ドル(約23万7000円)で、発売記念価格は2026年12月まで適用される。米国ではXREALの直販サイトとBest Buyで注文でき、Googleは11月中旬からの出荷開始を案内している。初期の販売対象は日本を含む4カ国で、欧州は含まれていない。

XREALによると、グラス本体は95グラム以下で、視野角は最大70度となる。ソニー製micro-OLEDディスプレイは片眼1920×1200画素で、最大120Hzに対応する。音響はSound by Boseを採用し、レンズには電気で透過率を変えるエレクトロクロミック調光機能を備える。

演算処理とバッテリーは、ケーブルで接続する別体のコンピューティングパックに分離した。Snapdragon Reality Eliteを搭載するパックは、操作用のトラックパッドとしても使える。処理装置とバッテリーをグラスから分ける構成が、装着部分の軽量化を支えている。

Googleによると、AURAではGoogle Playのアプリに加え、XR向けに作られた150本超のアプリを利用できる。Godotも発売時の対応を発表しており、AURA上でGodotエディタと補助アプリを使い、空間ゲームやアプリを開発・書き出し・公開する使い方を案内している。

■機器のデータ機能と利用環境

XREALは中国を拠点とする企業だ。上海市浦東新区の公式発表によると、2025年10月に同区の張江科学城でグローバル本社を開設した。第一財経は国有のPudong Venture Capital Groupによる出資を報じており、投資情報サービスのDealroomにはAlibabaも出資者として記載されている。

中国の国家情報法は2017年に成立し、第7条で組織と国民に対して、法に基づく国家情報活動への支持、支援、協力を求めている。2021年のデータセキュリティ法第35条は、公安機関や国家安全機関によるデータ取得について、法令に基づく厳格な承認手続きと、関係する組織・個人の協力を定める。2017年施行のサイバーセキュリティ法にも、ネットワーク運営者による技術的な支援・協力の規定がある。

AURAの機器構成について、XREALは左右のトラッキングカメラ2基が頭部の位置・向きの追跡やハンドトラッキングを担い、前面のRGBカメラがGeminiへの視覚入力を提供すると説明している。マイクは通話やGeminiへの音声入力に使われ、カメラの使用時などにはプライバシー表示灯が点灯する。

利用時には、アプリごとのカメラ・マイクのアクセス権限や、Geminiのデータ設定を確認することが基本となる。GoogleとXREALはそれぞれプライバシーに関する情報を公開しており、利用する機能とサービスに応じてデータの扱いを確認できる。

■開発環境の整備が複数端末への展開を支える

Android XRでは、SDK、エミュレータ、ゲームエンジン向けツールの正式版がそろい、開発から画面確認、性能分析までを進める基盤が拡充した。実機の導入と並行してソフトウェアを準備できることは、XRへの対応を検討するチームにとって実用上の利点となる。

ハードウェア側では、XREALに加え、Samsung、Warby Parker、Gentle MonsterもAndroid XRに取り組んでいる。Samsungは両アイウェアブランドと共同開発する製品を2026年に公開した。スペイン紙Cinco Díasは4月時点の報道で、Samsungの開発計画の一つを「Jinju」というコードネームで紹介している。

Android StudioのBYOAとAndroid CLIは、開発者が選ぶAIエージェントを既存の開発工程に組み込む手段となる。Composeの適応型レイアウト支援やXR向けツールと組み合わせることで、スマートフォンを中心としたアプリを、折りたたみ端末、ノートPC、グラスへ展開するための準備を進めやすくなる。

元記事: Android Studio Now Accepts Any AI Coding Agent: Google Sets 2027 Foldable Deadline