AIは「使うもの」から「働くもの」へ Agentic Enterprise時代に求められる 経営とITの再設計 | 日本経済新聞 電子版特集(PR)

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提供:HPE

AIは「使うもの」から「働くもの」へ

写真:中村 史彦氏

日本ヒューレット・パッカード合同会社
執行役員
プリセールス統括本部長

中村 史彦 氏

企業のAI活用が大きな転換点を迎えている。これまでは従業員の業務効率化や生産性向上のための業務支援ツールとして使われてきたが、これからはAIが自ら判断し、人やシステムと協働しながら企業活動の一部を担う「Agentic AI」の活用が広がっていく。日本ヒューレット・パッカード(HPE)が「Agentic Enterprise」と定義する、この新たな企業経営モデルでカギとなるのは「AIが安全かつ継続的に働ける企業基盤をどうつくるか」「増大するAI利用にかかる費用とそれにより生み出される価値とのバランスをどう管理するか」という視点だ。HPE執行役員・プリセールス統括本部長の中村史彦氏がIT基盤整備のポイントや運用・ガバナンスの重要性などAgentic Enterprise時代における企業経営のあり方を解説する。

生成AIはすでに企業の様々な業務へ入り始めています。多くの人がAIで情報を検索して文書を作成したり、大量の資料を要約したりした経験を持っているはずです。ソフトウェアの開発支援や顧客からの問い合わせ対応などの分野でもAIの利用が広がっています。人が意思決定し、システムがその仕事を支援することを前提として、人の知的生産性を高める優秀なアシスタントとして価値を発揮してきたのがこれまでのAIと言えるでしょう。

「デジタル労働力」として捉える視点を

写真:中村 史彦氏

しかし、今から起きようとしている変化はこれとは大きく異なります。依頼を受けたAIエージェントが必要に応じて別のAIエージェントとも連携しながら、自律的に一連の業務を進めていくというものです。AIが自ら社内データを参照し、必要なシステムへアクセスすることで状況を観測し、推論し、行動する。そして結果を確認し、次の行動へつなげる。静的なワークフローから、観測、推論、実行を繰り返す動的な業務プロセスへの転換がAgentic Enterpriseの最大の特徴と言えるでしょう。調査会社のIDCは2026年を学習から推論への転換点と位置付けており、2027年には国内AIサーバー市場で推論向け支出が学習向けを上回り、2025年から2030年までの推論向け支出の年間平均成長率は、学習向けを10ポイント以上上回ると予測※しています。

人材不足が大きな経営課題となる日本企業にとって、AIは企業活動を支える新たなリソースになる可能性を持っていますが、私たちはAIエージェントが実際の業務を担うAgentic Enterpriseの実現には企業として対応すべき課題があると考えています。AIを統治し、連携させ、継続的に運用していく上で、何よりも大切なのはAIを「デジタル労働力」として捉える視点です。人材を採用し、育成し、適切な役割と権限を与えて仕事を任せてきたように、AIに対しても「人材マネジメント」に近い考え方が必要になります。まず、どの業務を任せ、どこまでの権限を与え、どのデータへのアクセスや、どのAIとの連携を認めるのかを決めて、現場に迎え入れる(オンボーディング)。稼働後は、どの時点で人が確認・承認するのかを決めて活動を見守り(監督)、成果やコストを継続的に評価する。そして、業務の変化に合わせて役割を見直し、役割を終えたら停止・廃止する。こうしたAIエージェントのライフサイクル全体を管理する仕組みを整備することが、AIを安全に統治しながら、その力を引き出すことにつながります。

(※)出典:IDC「2026年 国内AIインフラおよびAI向けITインフラサービス市場動向分析:推論が主導する競争軸の転換」Doc#JPJ54233926、2026年3月


ネットワークが企業活動支える「神経網」に

AIが企業活動の担い手になれば、それを支えるIT基盤も変わらなければならないはずです。AI競争の焦点は「AIが安全かつ継続的に働ける基盤をどうつくるか」へと移っていくでしょう。まずはネットワークの役割が変わります。AIエージェントは様々な環境に分散したデータやサービスへアクセスしながら業務を遂行するため、それらを安全かつ柔軟につなぐネットワークは企業活動を支える「神経網」とも言える存在になります。ネットワーク自体の性能の向上とサービスレベルの進化が避けられない課題となり、より高い可視性、自動化、セキュリティが求められます。さらにAIを活用してネットワークそのものの運用を高度化していく「ネットワークのためのAI」という視点も重要です。

クラウド戦略そのものも「AIをどこで動かすことが、安全で、効率的で、経済合理性が高いのか」という視点で再定義する必要があります。Agentic Enterpriseの世界ではAIエージェントが一度質問に答えて終わるとは限りません。目的を達成するまで環境全体の情報を継続的に収集し、現在の状況を多角的に把握し、そのうえで推論、実行を繰り返します。AIエージェントに何度も考えてもらうわけですから、AI利用に伴うコストは無視できない条件になるはずです。重要なのはクラウドやオンプレミスなどどれか一つを選ぶことではなく、AIワークロードの機密性、性能、利用規模、経済性などに応じて実行環境を選択し、それぞれの環境をまたいで一貫して運用すること。そして、それをどう継続的に動かしていくかまで含めて考えることが、AI時代のクラウド戦略なのです。

AIの経済性を左右する「トークンエコノミクス」

AI利用の通貨単位である「トークン」の消費量とAIが生み出す価値からAIの経済性を考える「トークンエコノミクス」も重要な運用課題として捉えています。人の労働力に人件費があるように、デジタル労働力であるAIにもトークンという「稼働コスト」が発生します。AIエージェントが自律的に推論と実行を繰り返すほど、この稼働コストは業務量に比例して増えていきます。そのため、どの業務にどれだけのトークンを使い、どれだけの成果を生んでいるのかを把握し、予算配分や業務設計、実行環境の選択に反映させていく必要があります。AIのコストを「IT費用」としてだけでなく「事業への投資」として管理する。トークンエコノミクスは、AI時代の企業運営の新しい物差しになると考えています。

Agentic Enterpriseで経営者に求められるのは「AIでビジネスを成長させる力」だけではありません。「AI時代の企業を守り、問題が起きたときに戻せる力」も欠かせない要素と言えるでしょう。AIに付与する権限やどの時点で人による承認を必要とするかなど、デジタル労働力として企業活動に参加するAIそのものを安全に統治するためのルール整備を進めると同時に、システム障害やAIエージェントによる意図しない動作が起きた際など、万一問題が発生した場合に信頼できる状態へ戻せるレジリエンス(回復力)を高めることです。

AIによって複雑化するITを、人だけで運用し続けることには限界があるのも事実です。だからこそ、「AIによってビジネスを変える」だけでなく、「AIによってIT運用そのものも高度化する」ことも同時に進める必要があります。そのためには、AIとITの運用において「観測・推論・実行・検証」のサイクルを自律的かつ継続的に回すクローズドループ運用の仕組みが重要です。この両輪こそが、Agentic Enterpriseを持続可能なものにしていくカギを握っています。

AIをどの業務に組み込むのか。AIをどこで動かすのか。AIにどこまで権限を与えるのか。AIが生み出す価値とコストをどう管理するのか。AIをどう守り、問題が起きたときにどう戻すのか。そして、増え続けるAIをどう運用していくのか。経営者が今、考えるべきことは個々のAIプロジェクトを成功させることだけではありません。ガバナンスを効かせながら、新しいAIサービスを継続的かつ再現性高くビジネスへ送り出せる企業基盤をつくること。それが、AI時代における企業競争力の一つになっていくのです。

「HPE AI Factory with NVIDIA」でAI活用・導入・展開をシンプルに

一連の課題に対する包括的な答えが「HPE AI Factory with NVIDIA」です。HPEが目指すのは、企業がAIを構成するテクノロジーを一つずつ選定し、組み合わせ、足りない要素を補いながら環境を構築するのではなく、インフラ、ソフトウェア、サービスなどを統合した環境から、より迅速にAI活用を始められるようにすることです。HPEは「HPE AI Factory with NVIDIA」として、すぐに使えるターンキー型の「HPE Private Cloud AI」、大規模なマルチテナント環境を支える「HPE AI Factory at-scale」、厳格なコンプライアンスと管理要件を満たす「HPE Sovereign AI Factory」をポートフォリオとして展開しています。HPE AI Factory with NVIDIAは、インフラ、ソフトウェア、サービスを統合することで、企業がAIをより迅速に導入し、拡張できるよう支援します。

そして、継続的な運用を支えるのが、HPE CloudOps Softwareです。HPE CloudOps Softwareは、VM、コンテナ、クラウドにまたがるオーケストレーションと自動化を担うHPE Morpheus、AIとITの可観測性と運用を担うHPE OpsRamp、サイバーレジリエンスと災害復旧を担うHPE Zertoを通じて、これらの機能を提供します。オーケストレーション、自動化、可観測性、保護を統合することで、企業はAIをより迅速に導入し、統制を維持しながら効率的に運用できます。

HPE CloudOps Softwareを共通のコントロールプレーンとして実装したプライベートクラウド型のHPE AI Factory with NVIDIAを導入することで、企業はトークン消費を含むAI利用の経済性をより明確に把握し、ビジネス価値とのバランスを見ながらコストを継続的に最適化できます。加えて、AIの経済性を継続的に最適化するには、それぞれのAIサービスがどの程度利用され、どのようなコストが発生しているのかを可視化する必要があります。HPE OpsRamp Operations Copilotは、AIエージェントや大規模言語モデルの利用状況を監視し、トークン単位の利用量と運用コストを把握できるようにします。これにより、企業は単にAIの利用量を抑えるのではなく、AIが消費するリソースやコストと、それによって生み出される業務効率、売り上げ、顧客価値などを照らし合わせながら、AI活用を継続的に見直していくことができます。

HPEが提供しようとしているのは、単に高性能なAIインフラを導入することではありません。AIの導入からガバナンス、運用、保護までを一体化し、個別に進めてきたAI活用を全社へと広げ、継続的にビジネス価値を生み出せる環境を実現することなのです。

ロゴ:HPE

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