Microsoftは10月7日(米国時間)、WindowsおよびSurfaceに関するイベントを開催し、Copilot+ PC向けにローカルAIとクラウドを連携させる「Hybrid Intelligence」を発表した。PC内のファイルや操作履歴の参照、ユーザーに代わる操作、ローカルAIモデルの活用という3つの機能をCopilotに追加する。新機能は今後数カ月以内に順次提供される予定だ。
公式ブログ:https://news.microsoft.com/source/asia/features/building-windows-for-hybrid-intelligence/
Copilot+ PCでファイル整理やメール作成をローカル実行
Windows + Devices担当エグゼクティブバイスプレジデントのPavan Davuluri氏によると、法人向けに製造される直近のノートPCの40%超がCopilot+ PCに該当するという。Copilot+ PC全体の出荷台数は年間数千万台規模におよび、端末内では月間2兆回超のAI推論が実行されていると述べた。
Copilot+ PCは2024年5月、40TOPS以上の処理能力を持つNPUを搭載し、クラウドに接続せずAI処理を実行できるPCとして登場した。これまで、意味検索、字幕翻訳、Windows Studio Effects、Recall、Click to Doなどに端末内AIが利用されてきたが、一般ユーザーへの訴求力には課題があった。
今回発表されたHybrid Intelligenceでは、Copilot+ PCを対象とする3つのローカルAI機能をCopilotに追加する。第一は、PC内のファイルや最近の操作履歴を参照し、タスクに関連する情報を把握する「Local context」。第二は、ユーザーの許可を得てファイルの移動や設定変更、コーディングなどを実行する「Local actions」。第三は、PC内で動作するAIモデルを利用し、タスクに応じてローカルAIとクラウドAIの計算資源を使い分ける「Local models」だ。
イベントでは、Copilot担当エグゼクティブバイスプレジデントのJacob Andreou氏による事前収録の実演も公開された。会計士から届いたメールに対し、必要な税務書類をまとめて返信するようCopilotに依頼する内容で、ユーザーがファイルを添付する必要はなかった。
依頼を受けたCopilotのAutopilotは、会計士からのメールを特定し、必要な書類一覧を作成。ダウンロードフォルダー、ドキュメント、ピクチャーに分散していた書類を収集し、ローカルAIを使って内容の整理、ファイル名の変更、フォルダーへの移動と圧縮、メールの下書き作成まで実行した。
一連の処理に要した時間は約1分。Andreou氏によると、実演ではクラウドにアクセスせず、ローカルAIのみでタスクを実行したという。税務情報などの機密性が高いデータを端末内で処理できる点は、プライバシー保護の観点からも注目される。
Davuluri氏はコスト面の優位性も強調した。顧客からは高度なAIの活用とトークン消費量の削減を両立したいという要望があり、Hybrid IntelligenceのLocal modelsを活用することで、クラウドへのリクエスト回数を減らせると説明した。
Copilot+ PCの新機能、提供時期や対応端末には不明点も
Copilot+ PCは登場以来、必ずしも順調に普及してきたわけではない。注目機能だった「Recall」はセキュリティやプライバシーに関する懸念から提供が延期され、実際に利用できるようになるまで約1年を要した。また、Snapdragon搭載機では一部のアプリケーションやドライバーとの互換性も課題となった。
こうした経緯もあり、Copilot+ PCは従来のPCとの違いを十分に打ち出せていなかった。今回のHybrid Intelligenceは、端末内のAI処理能力をファイル整理やメール作成などの具体的な作業に結びつけることで、Copilot+ PCの価値を改めて示す取り組みといえる。
新機能は今後数カ月以内に新しいCopilotアプリへ順次導入される予定だ。ただし、すべてのCopilot+ PCで利用できるとは限らず、対応機種や提供時期は地域、ハードウェア構成などによって異なる可能性がある。また、ローカルAIだけで処理を実行するよう指定できるかなど、詳細が明らかになっていない部分もある。
後藤大地 ごとうだいち
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