
みずほフィナンシャルグループ(FG)は2026年10月15日、営業や事務を担当する社員を、人工知能(AI)の開発を担う人材へ育成する取り組みを本格展開すると発表しました。金融業務を通じて培った知識や経験に開発技術を組み合わせ、社内で必要なシステムを自らつくる体制の強化につなげます。今後10年以内に、転換する人材を数千人規模へ広げる方針です。
育成制度の名称は「みずほAI Bootcamp(エーアイブートキャンプ)」です。専門技術を持つ人を外部から採用するだけでなく、既存の社員が学び直しによって職種を変える道を整えます。金融機関でAIの利用が広がり、専門人材の獲得競争が激しくなる中、社内で継続的に人材を育てる仕組みを設けることが狙いです。
特徴は、開発に携わる人材を育てる過程でもAIを利用する点です。非エンジニアを育成する場合、通常は1年半程度かかるとされますが、業務用システムの開発にAIを取り入れることで、研修期間を3カ月に短縮します。AIを学ぶ対象にとどめず、開発を支える手段としても活用する取り組みです。
本格導入に先立つ試行は6月に始まり、営業職などの社員5人が参加しました。プログラミング未経験者も含まれていましたが、全員が求められる基準に達し、9月にはエンジニア職へ転換しました。研修だけで終えるのではなく、修了後に実際の開発を担当する職務へ移るところまで進めています。
試行では、参加者が従来の仕事で得た経験をAIの設計に反映する事例も出ています。現場の業務を知る社員が開発側に回ることで、金融の知識をシステムづくりに生かす形です。こうした成果を踏まえ、対象者を増やして制度を本格的に運用することになりました。
次の研修は11月に始める予定で、グループ内から希望者を募り、参加者を20人程度に拡大します。一度に大人数を転換するのではなく、先行した研修の実績を基に、育成の規模を段階的に引き上げていく計画です。
現場の知識を開発に接続、職種転換後の制度整備も
今回の取り組みで重視するのは、技術の習得と金融実務の経験を結び付けることです。営業や事務に携わってきた社員は、日々の作業の流れや業務上の課題を把握しています。その知識を持った人材を開発担当に育て、現場の課題に沿ったシステムづくりを加速させます。従来の職務経験を切り離すのではなく、新しい役割の土台として活用する考え方です。
育成人数は当面100人を目指し、その先に数千人規模への拡大を見据えています。ただし、これは将来の目標であり、試行段階で職種転換した人数とは区別する必要があります。本格運用は、少人数で確認した成果を、より広い対象へ展開する段階に当たります。
一方、職種転換後の給与体系は今後詰めるとしています。短期間の研修に加え、転換した社員の処遇をどう整えるかも、制度を継続するうえで残る検討事項です。人材の確保を外部採用だけに頼らず、リスキリングを通じて社内の経験を開発力へつなげる方針です。