
写真=Unitree YouTubeより
ロボット産業で、生成AIの普及がもたらした「ChatGPTの瞬間」に相当する転換点が、今後1〜2年で訪れる可能性がある。中国ロボット企業Unitreeの王興興(Wang Xingxing)CEOは、次世代AIモデルの進化によって、ロボット知能の中核課題が近く大きく前進するとの見方を示した。
TechRadarが13日付で報じたところによると、王CEOは上海で開かれた産業イベントで、OpenAIの最新モデル「GPT-6 Astra」が技術的ブレークスルーへの期待を高めたと語った。さらに、来年にも登場する可能性がある「GPT-7」級のモデルについて、Embodied AIの性能向上を直接後押しする可能性があると指摘した。
Embodied AIは、AIがロボットの身体や周囲の環境を理解し、音声やテキストの指示に沿って行動する技術を指す。
王CEOは今年8月の時点では、ロボット産業における「ChatGPTの瞬間」の到来には10年ほどかかる可能性があるとみていた。だが、「GPT-6 Astra」の性能を確認した後は、突破口が開く時期を1〜2年以内へと大きく前倒しした。
同氏は、ロボット知能の成熟度を測る一つの基準にも言及した。音声やテキストの指示だけで、未知の環境の8割において、与えられた作業の8割を遂行できれば、Embodied AIは十分に成熟した段階に達したと判断できるという。
Unitreeは先進的なロボットハードウェアで知られるが、足元ではAIソフトウェア開発にも注力している。AIモデルの進化により、ロボット分野ではハードとソフトの性能ギャップが縮小するとの期待も出ている。
スタンフォード大学のMovement Labは、Unitreeのロボットに「GPT-6 Astra」を組み合わせ、見慣れないキッチンを片付ける実験を実施した。報道によれば、この実験では、環境ごとの追加学習データや追加のポリシー学習なしに空間を整理できたほか、曖昧な指示を基に記憶していた物体を探し出して持ってくる作業もこなしたという。
「GPT-6 Astra」は、AIのインターフェース操作能力を測る「ScreenSpot-Pro」テストで92.7%を記録し、「GPT-5.6 Sol」の76.9%を上回った。一方で、モデル性能の向上に伴い、セキュリティ面の懸念も強まっている。サイバーセキュリティの専門家の間では、高性能AIが統制を離れ、他組織へのハッキングに悪用される可能性を警戒する声がある。
王CEOの見立て通り、今後1〜2年でAIの能力が大きく進めば、ロボット産業は大きな転換点を迎える可能性がある。焦点となるのは、次世代AIモデルを実機のロボットに適用した際、未知の環境での作業遂行能力をどこまで高められるか、そしてセキュリティリスクをどこまで抑え込めるかだ。