Anthropicは2026年10月7日、小型AIモデル「Claude Haiku 5.5」を公開した。要約や分類など大量に繰り返す作業を主な用途とし、10万トークン以下のプロンプトではAPIの入力単価を前世代の10分の1に設定した。同社は、コンピューター操作や知識労働の評価でもHaiku 4.5を上回ったとしている。
■大量の作業を担うサブエージェント
複数のAIモデルを組み合わせるシステムでは、大型モデルに計画や複雑な判断を任せ、小型モデルに範囲の明確な作業を割り振れる。AnthropicはHaiku 5.5の用途として、文書の要約、会話履歴の圧縮、データベースへの照会、レコードの分類を挙げる。応答速度が求められる顧客サポートやブラウザー操作も想定している。
開発者にとっては、処理件数の多い作業の単価を抑えられる点が重要になる。ただし、システム全体の費用は大型モデルの利用量や出力トークン数、各リクエストの長さにも左右される。Anthropicは、用途全体を平均したHaiku 4.5からの実行費用の削減率を約75%と見積もる。
複数モデルを使うコーディング製品「Devin Fusion」では、開発元のCognitionが、Opus 5.5を主担当、Haiku 5.5を補助役にした構成を紹介した。同社によると、この構成のFrontierCodeスコアは66.2で、費用と処理時間も抑えられたという。Anthropicが公表したFrontierCode 1.1の単独モデルの成績は、Haiku 5.5が46.4%、Sonnet 5.5が52.1%だった。
■10万トークンを境に変わる料金
Claude PlatformのAPI料金は、プロンプトが10万トークン以下の場合、入力100万トークン当たり0.10ドル、出力100万トークン当たり0.50ドルだ。10万トークンを超える場合は、それぞれ0.50ドル、2.50ドルとなる。Haiku 4.5の入力1.00ドル、出力5.00ドルと比べ、トークン単価は短いプロンプトで90%、長いプロンプトで50%低い。
キャッシュ書き込みの単価は、短いプロンプトで100万トークン当たり0.125ドル、長いプロンプトで0.625ドルだ。キャッシュ読み出しはそれぞれ0.01ドル、0.05ドルとなる。Haiku 4.5の書き込みは1.25ドル、読み出しは0.10ドルだった。Anthropicによると、Haiku 4.5へのリクエストの約90%は10万トークン以下に収まっていた。
Haiku 5.5ではトークナイザーも更新され、Anthropicの開発者向け資料によると、同じ文章でもHaiku 4.5よりトークン数が約30%多くなる。そのため、リクエスト当たりの費用を見積もる際は、単価に加えて実際のトークン数を確認する必要がある。大きな文書や長い作業履歴を扱う場合は、10万トークン超の料金帯が適用される。
■コンピューター操作と知識労働の評価
Anthropicの発表では、コンピューター操作を測る「OSWorld 2.1」のオフライン部分集合で、Haiku 5.5は72.4%を記録した。同じ発表に掲載されたHaiku 4.5は15.7%、OpenAIの「GPT-6 Luna」は48.9%、Sonnet 5.5は83.9%だった。いずれもAnthropicが示した比較値である。
OSWorldは、実際のアプリケーションやファイルを使う作業について、操作後の環境が目標の状態に達したかを評価する。Epoch AIによる課題分析では、約15%はターミナルだけで完了でき、さらに約30%はターミナルやPythonスクリプトでGUI操作の多くを代替できるという。この評価には、画面上の操作に加えて、コマンドやスクリプトを使う能力も反映される。
専門的な成果物を評価するArtificial Analysisの「GDPval-AA v2.1」について、AnthropicはHaiku 5.5のスコアを1620、Haiku 4.5を735、GPT-6 Lunaを1437と発表した。「AA-Briefcase v1.1」では順に1578、614、1336だった。これらは評価時のモデル設定によって成績が変わるため、利用する設定と併せて見る数値だ。
Anthropicが示した「Humanity’s Last Exam」の成績は、Haiku 5.5がツールなしで45.9%、ツール使用時で57.4%だった。Haiku 4.5はそれぞれ10.2%、18.7%となる。コマンドライン上の複数段階の作業を評価する「Terminal-Bench 4.0」では、Haiku 5.5が39.2%、Haiku 4.5が0.0%、GPT-6 Lunaが16.4%だった。
■推論量の調整と先行利用企業の声
Haiku 5.5は、Haikuシリーズで初めて推論の深さを「effort」設定で調整できる。開発者はlow、medium、high、xhigh、maxから選び、速度や費用と、難しい作業への対応力を用途に応じて調整する。Anthropicの開発者向け資料では、標準設定はmediumとされている。
先行評価でAsanaは、自社の「AI Teammates」向け評価において、現在使用するモデルと比べてタスク完了までの時間が30%以上短くなり、エージェントの各ターンでの推論が最大2.5倍速くなったと報告した。HubSpotは模擬環境を使った自社のCRM課題で、3回の実行平均が92.8%と、同社が試したモデルの中で最高だったとしている。
AlphaSenseによると、文書への質問応答機能は本番環境で週約800万件のAPI呼び出しを処理している。同社が400件の質問でHaiku 5.5を試した結果、評価値はHaiku 4.5の0.76から0.84に上がったという。Boxも先行評価で、分析作業のスコアがHaiku 4.5より11ポイント高く、処理時間は約半分だったと報告した。
金融業務向けAIを手がけるRogoは、財務資料から必要な数値を取り出すような短い作業にサブエージェントを使う構成を紹介した。各社の数値は、それぞれの課題と条件に基づく先行評価の結果である。Cognitionの事例とともに、モデルを組み合わせる用途の具体例となっている。
■開発者向けの変更と提供状況
Anthropicは同時に、Sonnet 5.5のキャッシュ読み出し料金を100万トークン当たり0.20ドルから0.10ドルに下げた。同社は、一般的なエージェント型作業でのSonnet 5.5の実行費用が約20%下がると見積もる。また、Claude Platformで使える月間APIクレジットをMaxとTeamの契約者向けに順次提供すると発表した。
クレジットはMax 5xが月100ドル、Max 20xが月200ドルで、Teamは利用者間で共有する最大500ドルだ。対象モデルはClaude全モデルとされる。開発者向けには、コンピューター操作とブラウザー操作を組み込むためのPython、TypeScript向けSDKのベータ対応も案内した。
安全性についてAnthropicは、Haiku 4.5と比べて自社のアラインメント評価の多くで改善が見られたと説明している。サイバーセキュリティ分野の保護策はHaiku 4.5より厳しく、ペネトレーションテストや攻撃に利用されやすい手法を制限する。生物学分野の保護策はSonnet 5、Sonnet 5.5、Opus 5と同じで、対象分野で広いアクセスを必要とする組織には検証プログラムへの申請制度がある。
Haiku 5.5はClaude Platformに加え、Amazon Web Services、Google Cloud、Microsoft Azureで提供される。Claudeのアプリでは無料、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで選択でき、Claude Codeでも利用可能だ。APIで指定するモデルIDは「claude-haiku-5-5」で、Haiku 4.5からの移行ガイドも公開されている。
元記事: Claude Haiku 5.5 Becomes Viable Sub-Agent: Human-Level Computer Use at Ninety Percent Lower Cost