Meta本社内にあるMetaのロゴ。撮影:西田宗千佳
Metaは、9月23日から24日に開催した同社の年次イベント「Meta Connect 2026」で、同社が開発した新デバイスと「Meta Muse」を軸とした同社のAI戦略を発表した。
Meta Connect基調講演で話す、マーク・ザッカーバーグCEO。撮影:西田宗千佳
新デバイスの「Meta VR Glasses」については、すでに速報記事を掲載しているのでそちらをご参照いただきたい。
派手であり、日本での注目が集まりやすいのはMeta VR Glassesの展開だろう。
だが、Metaの現在を象徴し、短期的により重要な戦略となるのが「Meta Muse」と同社のAIグラス群の連携だ。
マーク・ザッカーバーグCEOが基調講演で語った言葉や同社エグゼクティブへの取材を通し「MetaのAI戦略」について見ていこう。

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メタバースの読み違いを率直に認める
「当面はメタバースへの注力を少し減らす決断をする」
MetaのザッカーバーグCEOは、Meta Connectの基調講演の中でそう話した。
Metaは2021年に社名をFacebookから変更。仮想空間と現実を組み合わせ、コミュニケーションを行う領域を拡大していく「メタバース」を将来の軸に据え、大規模な投資も続けてきた。
しかし、メタバースが一般に普及していないのは明白だ。ザッカーバーグCEOの言及も、突然の告白ではなく「現状追認」であり、多くの人がすでに知っていたことではある。
では、今後はどうするのか? AIがトレンドではあるが、単に「賢いAIモデルでライバルと戦う」という話ではなさそうだ。
彼は基調講演のなかでこうも説明している。
「メタバースは、AIよりも先に実現すると考えていた。しかし現在では、パーソナル・スーパーインテリジェンスが先に到来するだけでなく、そちらの方がはるかに大きく重要であることが明確になった。
だから私たちは、パーソナル・スーパーインテリジェンスに最適なデバイスを構築することへと戦略をシフトした」(ザッカーバーグCEO)
彼がいう「パーソナル・スーパーインテリジェンス」とは何か。
簡単に言えばAIを使ったサービス、ということになるが、単純にチャットサービスを始めるという話でもない。
具体的には、9月8日からアメリカで提供が開始された「Meta Muse」のことを指している。
Museは大ヒット。MetaのAI事情を一変させた
Meta Museは、9月8日にスタートして以来、アメリカ市場で旋風を巻き起こしている。アップルの「App Store」の無料アプリランキングでは「ChatGPT」を抜いて1位になり、評価も5つ星。
Meta AIの評判はこれまでイマイチだったが、たった2週間でそれまでの評判を覆している。
日本でのMeta Museのサービス開始時期は公表されていない。
また、AIサービスの先端企業として、OpenAIやAnthropicに比べれば、Metaの名前が出てくる機会も少ない。だから、その重要性がピンと来ていない人も多いだろう。
日本人の目から見ると、まずキャラクターがかわいい。もちろんそれだけでなく、非常に賢く、便利であるのが特徴だ。
Meta Museのキャラクター。同社内にはあらゆる場所に置かれていた。撮影:西田宗千佳
Meta Museは自分のメールアカウントやカレンダー、Facebookや文書フォルダと接続し、「利用者がどんな人物か」「どんな行動をしているか」「誰とどんなコミュニケーションをとっているか」を把握する。もちろん、利用者の許諾を得た上でだ。
その上で、さまざまな形で我々の生活をサポートする。返事が必要なメールを教えてくれたり、自分のためにチケットを取ってくれたり、無駄なサブスクを見つけて解約を勧めてくれたりもする。
Museは色々な作業を提案し、実行してくれる。撮影:西田宗千佳
こうした「個人向けエージェンティックAI」はすでにあった。2025年末から2026年の初めにかけて大ヒットした「OpenClaw」もその1つだ。だが、それらの多くは「まだ」設定が大変で、PCも必要になる。
しかし、Meta Museはすべてクラウドで動いており、設定もシンプル。使い方もわかりやすい。AIモデルの選択もなければ、細かい設定もない。
メールやカレンダー、メッセンジャーなどの外部サービスと接続する「コネクター」の概念を理解し、その接続認証を行うくらいの作業で終わる。
「多くの人がすぐに秘書やパートナーとして使えるAI」として出てきたことが、Meta Museの大きな特徴なのだ。とりあえずMuseに話しかけると、日常の色々な面倒ごとを解決してくれる。
基調講演の壇上で、自分のMuseと対話するザッカーバーグCEO。撮影:西田宗千佳
もちろんトラブルも起きている。AIに作業を任せた結果、教えるべきでない住所を他人に教えてしまう……といった事態も起きてはいる。
だが、そうした課題を乗り越え、いかに「信頼してもらえるサービスになるか」が、パーソナルAIサービスの軸になってくるだろう。
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ハードビジネスも「Muse」を軸に変化