Googleはこれまで、「検索エンジンから送られるトラフィックが、すでに全員に報酬を払っているようなもの」という理屈で、パブリッシャーへの支払いを一貫して拒んできました。この均衡は20年間保たれてきましたが、AIが生成する回答がそれを崩しつつあります。
同社は1年足らず前から、あるプログラムをテストしています。検索結果の最上部に表示される要約「AI Overviews」、検索の「AIモード」、そして自社チャットボットのGeminiに対して、各サイトのコンテンツがどれだけ貢献したかに応じて、約100のサイトに報酬を支払うというものです。
紙の上では、報道業界が長年求めてきたことにGoogleがようやく応えた形です。ところが、参加者から上がってきた数字は正直かなりきついものです。

パイロットに参加した中小のパブリッシャーの多くは、支払額が広告収益の約0.1%にとどまると話しています。Googleからのトラフィックが同時に激減している状況では、ほぼゼロと言っていい額です。
格差も相当なものです。ごく早い時期に参加したあるサイトは年間100万ドルを超えるとされ、売上に占める割合もかなり大きいようです。一方、数か月前に参加した別のサイトは約5万ドル、もっと小規模なサイトに至っては、数か月参加しても1,000ドルに届かなかったといいます。
日本アニメやゲームのように、ニッチだけれど熱心なファンがいるジャンルのほうが稼げるようです。とはいえ、Googleが何を「回答への貢献」とみなしているのかは誰にも分かりません。支払いの追跡もかなり分かりにくいらしく、収入の見通しを立てることすら不可能だそうです。
そのため、大手パブリッシャーの中には参加を見送ったところもいくつかあります。自分たちが不参加を貫けば、Googleが本物の小切手帳を出さざるを得なくなる、という期待からです。
状況はGoogleに有利とは言えません。今のところ、通常の検索結果から消えずにAIだけを拒否することは、サイト側にはできません。Rolling StoneやVarietyを擁するPenske Mediaは、失ったトラフィックをめぐってすでに提訴しました。さらに出版社のグループも、モデルの学習をめぐって別途訴訟を起こしています。
規制当局も動いています。英国はGoogleに対し、検索結果での不利益なしにAI回答からオプトアウトできる選択肢を提供するよう命じ、EUも、パブリッシャーが適切に報酬を受け取れているかどうかを調査中です。ヨーロッパでのGoogleのこれまでの経緯を考えると、穏便に決着するほうには賭けたくないですね。
出典:
Ars Technica