最新版 – Microsoft 365サイト活用入門(137) Excelで始めるMicrosoft 365 Copilot ― 表データをAIで分析する基本

前回までは、Microsoft 365(以下、M365)のOneDrive for Businessに保存されたWord文書を対象に、Microsoft 365 Copilot(以下、Copilot)を活用する方法を紹介しました。
今回からは、多くのユーザーにとって最も身近なMicrosoft 365 Apps(旧Microsoft Officeアプリ)の1つであるExcelで、Copilotをどのように活用できるのかを取り上げます。

日本のビジネス現場では、Excelは単なる表計算ソフトにとどまりません。売上集計、顧客管理、在庫管理、問い合わせ履歴、作業記録、申請一覧、報告書の様式など、さまざまな業務で使われています。そのため、ExcelでCopilotを使えるようになると、日常業務への影響はかなり大きいと言えます。

今回は、ExcelにおけるCopilot活用の基本として、サンプルの売上データを使いながら、データの要約、傾向分析、グラフ作成、簡単な改善提案までを見ていきます。

ExcelでCopilotを使う意味

Excelは便利なアプリですが、実際の業務では次のような悩みもあります。

・表のどこを見ればよいか分からない
・集計や分析に時間がかかる
・グラフを作るのが面倒
・ピボットテーブルや関数を使いこなせない
・数字の変化から何を読み取ればよいか判断しにくい

Excelに詳しいユーザーであれば、関数、フィルター、条件付き書式、ピボットテーブル、グラフなどを使って分析できます。しかし、すべてのユーザーがそれらを十分に使いこなせるわけではありません。

Copilotを使うと、自然な日本語で指示を入力するだけで、Excelの表データを分析したり、傾向を説明したり、グラフ作成を支援できます。

もちろん、AI活用の注意点として何度も言及しているように、Copilotが常に完全に正しい分析をするわけではありません。しかし、表の全体像をつかむ、分析のきっかけを作る、グラフ作成の手間を減らすといった用途では、非常に役立ちます。

今回使用するサンプルデータ

今回は、架空の売上管理表を例に使います。

Copilotで分析しやすくするためには、データをきれいな表形式にしておくことが重要です。具体的には、次の点に注意してください。

・1行目に列見出しを付ける
・途中に空白行を入れない
・同じ列には同じ種類のデータを入力する
・合計行や注釈を表の途中に入れない
・可能であれば、Excelの「テーブル」として設定する

Excelでは、人間が見やすい表と、分析しやすい表が必ずしも同じではありません。
たとえば、見栄えをよくするためにセルを結合したり、表の途中に小計行を入れたりすると、人間には分かりやすくても、Copilotやピボットテーブルでは扱いにくくなることがあります。

また表をテーブルとして設定することで、表の範囲などが明確になり、Copilotの回答も安定する傾向があります。

Copilotを活用する場合は、まず「分析しやすい表」を作ることが大切です。

※Excelの使い方
Excelは表計算ソフトと呼ばれる計算ソフトの一種で、主目的は、データ(特に数値データ)の記録、集計、分析です。ところが、日本では、そうした表計算ソフトとしての使い方以外に、印刷物や申請書などの「書類」の様式としても多用されています。

つい、タイトルを入れたり、1つのシートにいくつもの異なる表をレイアウトしたりしがちですが、分析対象としてのデータとして活用するためには、本来の表計算ソフトの基本に立ち返って、分析対象となる元データについては1シートに1つの表とし、項目名とデータを中心に整理しておくことを推奨します。

ExcelでCopilotを起動する

Excelで対象のブックを開きます。
ここでは、OneDrive for Businessに保存したExcelブックをWeb版Excelで開いています。

(1) OneDrive for Businessに保存したExcelファイルを開き、Excelの画面に表示されている「Copilot」ボタンをクリックする

環境によって、Copilotボタンの表示位置や見た目は異なる場合があります。また、M365の契約内容や管理者の設定によっては、Copilotボタンが表示されないこともあります。

Copilotボタンをクリックすると、Excelの画面内にCopilotペインが表示されます。このペインにプロンプト、つまりCopilotへの指示文を入力します。

(2) Copilotペインが表示される
(3) プロンプト入力欄に指示文を入力する
(4) 送信ボタンをクリックする
(5)Copilotが活用例として候補プロンプトを提案してくれている

使用例その1:表の概要を説明してもらう

最初に、もっとも基本的な使い方として、表全体の概要を説明してもらいます。

プロンプト例:「この表の内容を要約してください」

Copilotは、Excel内の表データを読み取り、どのようなデータが含まれているのかを説明します。

(6)Copilotによる表の概要の説明
(7)次のプロンプトの入力欄

売上データの表から以下のような内容を要約しています。

・期間
・売上金額
・粗利
・販売数
・ランキング
・売上の傾向

この段階では、まだ高度な分析ではありません。しかし、受け取ったExcelファイルを初めて開いたとき、表の意味を短時間で把握するには役立ちます。

特に、他部署から送られてきた表や、過去に作成した古い管理表を確認するときには便利です。

※Copilotはその都度様々な解析を試行しますので、同じプロンプトを入力しても毎回同じ回答が返るわけではありません。

使用例その2:売上の傾向を分析する

次に、表の内容をもとに売上の傾向を分析してもらいます。次のプロンプトとして、以下の例文を入力して結果を確認します。

プロンプト例:「月別売上の傾向を分析し、注目すべき点を説明してください」

(8)月別の売上傾向に注目した分析結果を表示している

Copilotは、月ごとの売上金額を確認し、増減の傾向を説明します。データの内容によっては、売上が増えた月、減った月、全体として上昇傾向にあるかどうかなどを指摘します。

このように、Copilotは単に合計値を表示するだけでなく、「何に注目すべきか」を文章で説明します。Excelに詳しいユーザーであれば、自分でピボットテーブルを作成して月別集計できます。しかし、Copilotを使えば、分析の入り口を日本語で指示できる点が大きな違いです。

使用例その3:グラフを作成する

数字の傾向を把握するには、グラフ化が有効です。
Copilotに、売上の推移を分かりやすく表示するグラフを作成するよう指示します。以下のようなプロンプトを入力してみます。

プロンプト例:
「月別売上を分かりやすいグラフにしてください」

(9)Copilotがグラフを作成する集計のために新しいシートを作成した
(10)Copilotがグラフのもととなる集計表を自動的に作成した
(11)Copilotが作成したグラフ
(12)分析表やグラフが完成したら「完了」をクリックする

Copilotは、データの内容に応じてグラフ作成を提案します。月別の売上推移であれば、折れ線グラフや縦棒グラフが候補になります。

グラフは、会議資料や報告書にそのまま利用できる場合もあります。ただし、グラフの種類や軸の設定、凡例、タイトルなどは、必ず自分で確認してください。Copilotが作成したグラフが、必ずしも最適な表現とは限りません。

たとえば、時系列の変化を見るなら折れ線グラフが適している場合が多いですが、商品別や地域別の比較であれば棒グラフのほうが分かりやすいこともあります。

使用例その4:注目すべき点を挙げてもらう

次に、データから注目すべき点を整理してもらいます。次のプロンプトを入力してください。

プロンプト例:「この売上データから、注目すべき点を3つ挙げてください」

(13)注目点を3つに絞り込んだ回答

この機能は、月次報告や会議資料の準備に役立ちます。単に表を見せるだけでなく、「このデータから何が言えるのか」を文章化することで、報告内容を整理しやすくなります。
最後に、さらに具体的に分析させてみます。

プロンプト例:「粗利益に焦点を移して、今後の経営方針のヒントとなる改善案を提案してください」

(14)粗利分析のためにCopilotが新しく作成したシート
(15)粗利率を焦点に再分析して改善案を回答している

※AIであるCopilotに経営方針を決めさせることはできません。あくまでヒントの収集の一貫であることを意識してください。

■ExcelでCopilotを使うメリット

ExcelでCopilotを使う主なメリットは次の通りです。

●データの全体像を短時間で把握できます。
大きな表を開いたとき、どこを見ればよいか分からないことがあります。Copilotに概要を説明させることで、分析の出発点を作ることができます。

●関数やピボットテーブルに詳しくないユーザーでも、分析を始めやすくなります。
もちろん、Excelの知識が不要になるわけではありませんが、最初の集計や傾向把握のハードルは下がります。

●グラフや説明文を作る手間を減らせます。
会議資料や報告書を作るとき、数字を見ながら文章を考える作業には時間がかかります。Copilotは、そのたたき台を作る用途に向いています。

●分析の視点を得られます。
自分では気付かなかった地域差、商品差、月別変動などを指摘してくれる場合があります。

注意点とデメリット

一方で、注意すべき点もあります。

●Copilotの分析結果は必ず確認が必要です。
Copilotは表の内容をもとに回答しますが、数値の解釈を誤る可能性があります。特に、売上、利益、費用など経営判断に関わる数値は、人間が必ず確認してください。

●元データの品質に大きく左右されます。
列見出しが分かりにくい、空白行が多い、同じ列に異なる種類のデータが混在している、といった表では、Copilotの分析精度が下がります。

●曖昧な指示では期待通りの結果にならないことがあります。
「分析して」だけではなく、「月別売上を分析して」「地域別の違いを説明して」「粗利益に注目して」といったように、観点を明確にすることが重要です。

●Excelの基本知識は依然として必要です。
Copilotがグラフや分析結果を作成しても、それが適切かどうかを判断するには、ある程度のExcel知識と業務知識が必要です。Copilotは、Excelの代わりに考えてくれる万能ツールではありません。Excel作業を支援し、分析の入口を作ってくれる補助ツールとして使うのが現実的です。

どんなユーザーに向いているか

ExcelでのCopilot活用は、特に次のようなユーザーに向いています。

・売上表や管理表を扱う機会が多い
・月次報告や会議資料を作成する
・Excelの表は使うが、関数やピボットテーブルは苦手
・大量のデータから要点を探すのに時間がかかる
・データの傾向を文章で説明する必要がある

逆に、非常に単純な一覧表しか扱わない場合や、すでに高度な集計システムを使っている場合は、効果は限定的かもしれません。

まとめ

今回は、ExcelでM365 Copilotを使う基本を紹介しました。

ExcelとCopilotを組み合わせることで、表データを単に入力・保存するだけでなく、要約、分析、グラフ化、注目点の抽出までを自然な日本語で依頼できます。

ただし、Copilotの回答はあくまで分析のたたき台です。元データを整えること、プロンプトを具体的に入力すること、出力結果を人間が確認することが重要です。

Microsoft 365の導入支援はネクストセットへ!

■■「組織ワークフロー」を100社無償提供中!■■

ネクストセットはMicrosoft 365の導入支援とアプリケーション開発に特化したソリューションベンダーです。Microsoft 365をより安全に、より便利にご利用いただくため、「シングルサインオン」や「組織アドレス帳」、「組織ワークフロー」など、さまざまなプロダクトを開発し、ご提供しています。現在、100社限定で「組織ワークフロー」を無料提供中です。この機会に、ぜひ、導入をご検討ください。

詳しくはこちらをご覧ください。

[PR]提供:ネクストセット