アップルのOpenAI提訴、ジョニー・アイブ氏を名指しせず。ジョブズ夫人との関係も影響か | Gadget Gate

ジョブズ夫人はアップルに影響力あり

Image:OpenAI

アップルは、OpenAIが同社の営業秘密および知的財産を盗用したとして提訴したが、元デザイン最高責任者ジョニー・アイブ氏の名前は訴状に記されていない。同氏は2019年にアップルを退社してLoveFromを設立し、そこには元アップル社員が数多く参加している。現在はOpenAIのハードウェア開発にも深く関わっている。

Bloombergによると、アップルがアイブ氏を被告として名指ししなかったのは意図的な判断であり、その背景にはスティーブ・ジョブズ氏の妻であるローレン・パウエル・ジョブズ氏との関係もあった可能性が高いという。

アップルが提出した約40ページに及ぶ訴状では、「元アップル幹部」とのみ記されており、アイブ氏の名前は挙げられていない。訴訟の中心となっているのは、現在OpenAIで最高ハードウェア責任者を務める元iPhone部門幹部のタン・タン(Tang Tan)氏である。

アップルは同氏について、採用候補者に対して社内のセキュリティ対策を回避する方法を指導したほか、「見せて説明する(show-and-tell)」目的でアップル製ハードウェアを面接に持ち込むよう促したと主張している。

Mark Gurman記者はニュースレター「Power On」の最新版で、この判断は少なくとも一部、アイブ氏を不正行為に結び付ける証拠が実際には存在しなかったことを反映している可能性が高いと述べている。アイブ氏は、OpenAIの日常的な採用活動やエンジニアリング業務には深く関与していないと報じられているためである。

しかしGurman氏は、それに加えてパウエル・ジョブズ氏とアイブ氏の関係も重要な要因だったと指摘している。両氏は親しい友人とされ、実際にアイブ氏は2011年のスティーブ・ジョブズ氏追悼式で追悼の辞を述べた。また、パウエル・ジョブズ氏はio Products(アイブ氏やタン氏ら元アップル幹部が設立したAIハードウェア企業)の投資家であり、現在もLoveFromを支援している。

もし訴状でアイブ氏を名指しすれば、現在もアップル社内で大きな影響力を持つ人物との関係を悪化させる恐れがあったという。その影響力の一例として、Gurman氏は今年6月に開催されたWWDCを挙げている。

パウエル・ジョブズ氏は、ティム・クックCEOと、その後継者とされるジョン・ターナス氏の隣に最前列で着席していた。Gurman氏は、この席順はクック氏とターナス氏、すなわちアップルの現在と未来の経営陣を支持する姿勢を明確に示すものだったと分析している。パウエル・ジョブズ氏はアップルの取締役を務めたことはなく、現在は大株主でもない。それでも「ジョブズ」の名が社内で依然として大きな影響力を持っていることが背景にあるとされる。

さらにGurman氏は、アイブ氏を訴状で直接名指しすることは、アップルにとって得策ではなかったとの見方も示している。タン氏は業界外では広く知られた存在ではない一方で、アイブ氏は何十年にもわたりアップルを象徴する人物として知られてきた。そのため、アイブ氏を直接訴えれば世論の同情を集める可能性があり、今回の訴訟が営業秘密の保護だけでなく、過去のわだかまりに基づくものだとの批判を招く恐れもあったという。

現在、400人以上の元アップル社員がOpenAIで働いていると報じられている。それほど大規模な人材流出は、アイブ氏とOpenAIの協力関係なしには考えにくいだけに、訴状に同氏の名前がなかったことには違和感があった。OpenAIは長期的にiPhoneと競合することを目指し、最初のハードウェア製品として携帯型スマートスピーカーを投入する見通しである。

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