米Anthropicは7日、最上位AIモデル「Claude Fable 5」の有料サブスクリプションプランでの利用期限を、太平洋時間の7月12日23時59分59秒(日本時間13日15時59分59秒)まで延長したと発表した。当初の期限は7月7日までとされていたが、ユーザーからの需要の高まりを受け、5日間の猶予が与えられた格好だ。
今回の延長措置により、「Pro」「Max」「Team」の各プラン、および「Enterprise」プランのプレミアムシートを契約しているユーザーは、週間利用上限の最大50%の範囲内で、追加料金なしでFable 5を利用できる。上限の50%を超えて利用する場合や、7月12日の期限を過ぎた後は、別途「利用クレジット(usage credits)」を購入する必要がある。クレジットの価格は、入力トークン100万個あたり10ドル(約1,600円)、出力トークン100万個あたり50ドル(約8,100円)に設定されている。
この価格設定は、Anthropicの次世代モデル「Claude Opus 4.8」と比較して正確に2倍の水準だ。Opus 4.8は入力トークン100万個あたり5ドル、出力トークン100万個あたり25ドルとなっている。
Fable 5は6月9日に公開されたが、そのわずか3日後に米商務省からの輸出規制指示によってアクセスが全面停止された。この突然の停止は、Amazonの研究者がFable 5の安全策を回避する手法を発見したことが引き金となった。外国人のアクセスをリアルタイムで制限する手段がなかったため、結果的に全世界のユーザーがサービスを利用できない状態に陥った。その後、規制当局による緊急輸出命令が解除されたことを受け、7月1日に全世界でサービスが再開されていた。
Anthropicは今回の料金体系の変更について、「恒久的な有料化ではなく、モデル再導入初期の需要急増に対応するための段階的な措置」と説明している。同社の開発担当者はソーシャルメディア上で、「演算容量が確保され次第、Fable 5を再び標準のサブスクリプション料金体系に戻すことが目標だ」とも述べており、需要が安定し次第、再び定額プラン内での利用を可能にする意向を示唆した。
一方で、この動きに対しては市場から懐疑的な見方も出ている。今年だけで190億ドル(約3.1兆円)もの巨額の投資を行うAnthropicですら、最上位モデルの演算需要をさばききれていない現実は、AI業界全体が直面する収益化の難しさを浮き彫りにしている。業界関係者からは、大手AI企業が収益性を確保するために、高額な従量課金制を本格的に導入し始めるのではないかとの懸念も聞かれる。
ユーザーの間では、日常的な業務においてはOpus 4.8で十分との見方が広がっている。Fable 5は長期的で複雑なタスクにおいて真価を発揮するモデルと位置づけられているが、短時間の作業では両者の性能差は縮まる。加えて、Fable 5には信頼性に関する課題も指摘されている。Anthropicの厳格化された新たなフィルターにより、日常的なコーディングやデバッグ作業であっても、プロンプトがフラグ付けされ、自動的に下位モデルのOpus 4.8に処理が迂回されるケースがある。この場合、Fable 5の高額なクレジットは消費されないものの、ユーザーは締め切りに追われる中で、実際にどのモデルが応答しているのか判別できないという問題を抱えることになる。
利用クレジットの購入と管理は、現時点ではウェブ版のclaude.ai設定メニューからのみ可能で、モバイルアプリからは設定できない点にも注意が必要だ。