Anthropic、「Claude Fable 5」を従量課金制に。“定額AIの終わり”が意味すること | WIRED.jp

Anthropicがいつデータセンター容量の制約を解消し、Fable 5を再び定額プランに含められるようになるのか、そうした日が再び訪れるのかどうかについては、依然として不透明だ。

Anthropicは「AI時代のアップル」になる?

今回の価格変更は、AnthropicがFable 5を加入者に追加料金なしで提供してきたキャンペーン期間の終了を意味する。同社は6月9日のブログで、このモデルへの需要は「非常に高く、予測が難しい」と説明していた。米政府が一時的に外国籍ユーザーへの提供を禁止し、その後7月1日に一般提供を認めたこともあり、Fable 5への関心はさらに高まっている。

Anthropicがどう位置づけようとも、Fable 5の従量課金は、消費者がどこまで同社のAIモデルにお金を払う意思があるかを測る試金石でもある。Anthropicは近年、企業向け市場に注力してきたが、ChatGPTやGeminiが主導する個人向け市場でも存在感を強めつつある。

市場調査会社Sensor Towerのレポートによると、Claudeの5月の月間ユニーク訪問者数は2億4,500万人に達し、2月から2倍以上に増加した。ChatGPTの11億1,000万人、Google Geminiの6億6,200万人にはまだ及ばないものの、その成長ペースは速い。

Claudeの人気が高まる一方で、一部のテック業界の有力者からは反発の声も上がっている。Anthropicが人々の知的財産を学習に取り込みながら、法外な価格を請求していると批判しているのだ。Anthropicは、自らが「AI時代のアップル」になれると賭けている。つまり、プレミアムなAIモデルのためなら高くても料金を払い、同社の条件を受け入れるユーザーは一定数存在すると見込んでいるのだ。

「いま起きている興味深い変化は、誰も『この作業に本当に最高性能のAIが必要なのか』とは考えなくなっていることです」と、同社の考えについて語るため匿名を条件に取材に応じたAnthropicに近い関係者は話す。「AIモデルを選ぶとき、人々が自分に問いかけているのは『自分には十分な性能のモデルで足りるのか、それとも最高性能が必要なのか』ということなのです」

値上げが示す定額AIの転換点

金融、政治、テクノロジー業界でわたしが取材している高所得層の多くは、仕事でも私生活でも、最高性能のAIモデルのためなら高くても料金を払うことを厭わない。そして、その「最高のAIモデル」はClaudeだと考える人が増えている。Anthropicがその評価を維持できるかどうかは、競合他社をリードし続けられるかにかかっている(わたしが見たOpenAIの「GPT-5.6 Sol」に対する初期の反応を見る限り、Anthropicの競争は決して楽ではなさそうだ)。

一方で、OpenAIやグーグルがAnthropicと同じ戦略を採るとは限らない。例えば、両社は無料プランや低価格プランで収益を確保するため、広告の導入を拡大するとみられている。しかし、Anthropicはこれまで広告に距離を置く姿勢を鮮明にしてきた。そのため、少なくとも当面は、値上げが現実的な選択肢なのかもしれない。

言い換えれば、実際のコストより安く提供されてきた消費者向けAIサブスクリプションの「黄金時代」は、いよいよ終わりを迎えようとしている。