1800万年前の新種の類人猿をエジプトで発見、進化の定説覆すか | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト

北アフリカで初めて、類人猿の化石が見つかった。これはその類人猿「Masripithecus moghraensis(マスリピテクス・モグラエンシス)」の復元図。発見された化石は、約1800万年~1700万年前のものと推定されている。(MAURICIO ANTÓN)

北アフリカで初めて、類人猿の化石が見つかった。これはその類人猿「Masripithecus moghraensis(マスリピテクス・モグラエンシス)」の復元図。発見された化石は、約1800万年~1700万年前のものと推定されている。(MAURICIO ANTÓN)

 現在見つかっている初期の類人猿の化石のほとんどは、東アフリカから出土したものだ。その記録から、類人猿の祖先たちがアフリカからヨーロッパへと広がったのは、今から1600万年~1400万年前の中新世中期と考えられてきたが、北アフリカではじめて類人猿の化石が見つかった。それによると、現在の類人猿の起源は東アフリカではなく北アフリカにあり、そこからユーラシアに移動した可能性があるという。この論文は3月26日付けで学術誌「Science」に掲載された。

 新たに発見された化石は、正確には下あごの一部と歯の一部の化石で、類人猿がユーラシア大陸に広がる前の1800万年~1700万年前のものと見られる。「マスリピテクス・モグラエンシス(Masripithecus moghraensis)」という学名が付けられたこの新種の類人猿は、テナガザル、オランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ、ヒトなどを含むヒト上科(ホミノイド)というグループの共通の祖先とほぼ同じ姿をしていたと考えられる。(参考記事:「身長3mで史上最大の類人猿、食べ物の好みを変えられず絶滅」)

 今回の化石は、既知のヒト上科の化石の中でも、「現存する類人猿やその祖先に一番近いと思っています」と、エジプト、マンスーラ大学の古生物学者で、論文の筆頭著者であるショルーク・アル・アシュカール氏は述べている。

エジプトで見つかった下あごをもとに、新たに発見された類人猿Masripithecus moghraensisの復元3Dモデル。(VIDEO BY HESHAM SALLAM)

「ヒトの骨に似ている」

 2024年の春、同じくマンスーラ大学の古生物学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)でもあるヘシャム・サラム氏は、チームを率いて、エジプト北部のワディ・モグラと呼ばれる乾燥した谷に向かった。類人猿の化石を探すためだったが、それが簡単な作業ではないことはわかっていた。このあたりでは、サル(一般に小型で尾のあるサル)の化石は見つかっていたが、類人猿の化石はひとつも出土していなかったからだ。(参考記事:「類人猿の赤ちゃんの密猟が増加、ペットや私設動物園の需要高まり」)

ギャラリー:1800万年前の新種の類人猿をエジプトで発見、進化の定説覆すか 写真と画像5点(写真クリックでギャラリーページへ)

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エジプト北部のワディ・モグラで作業を行うサラム研究室のチーム。奥にいるのがヘシャム・サラム氏。手前にいるのは、ショルーク・アル・アシュカール氏とホッサム・エルサカ氏。調査のすべての行程にわたって、チームは右上のほうに見えるラクダたちと一緒に移動した。(PROFESSOR HESHAM SALLAM)

 しかしある日、サラム氏が下あごの一部とみられる奇妙な化石を調べていると、別のあごの化石を持ってきたアル・アシュカール氏が静かにこう言った。「ヘシャム先生、類人猿を見つけました」

 サラム氏もその骨を見て、「ヒトの骨に似ている」とうなずいた。興奮のあまり、自分が見つけた骨のことは忘れていた。

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