記事のポイント
OpenAIは求人を通じて、テキスト・画像・動画・対話型など複数の広告フォーマットの開発を本格化させていることが明らかになった。
広告システムには安全性やプライバシー、公平性を設計段階から組み込み、ChatGPTへの信頼を損なわない広告体験の実現をめざしている。
今後は広告フォーマットのテストを本格化し、広告主の成果とユーザー体験を両立できる新たなAI広告モデルの確立が焦点となる。
OpenAIは、最初の4カ月間を広告ビジネスの基盤固めに費やしてきた。そして現在、同社はそのビジネスを強力に推進することになる、さまざまな広告フォーマットへと関心を移している。
OpenAIの採用ページにある3つの求人情報から、テキスト、画像、動画、ネイティブ、対話型、そしてインタラクティブ広告のフォーマットが現在開発中であることが見て取れる。
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同社はマネタイズチームに所属し、少なくとも7年の経験を持つ広告フォーマット担当のソフトウエアエンジニアを募集している。この職種は、フルスタック全般にわたる「基礎的な役割」と表現されている。
職務内容によると、この役割はインフラとツールの構築を担当するほか、広告がさまざまなインターフェース、プラットフォーム、メディアタイプにわたってどのように構造化され、描画され、配信されるかを定義する責任を負うものがある。
ほかの2つの広告フォーマット担当ソフトウエアエンジニアの職種も類似しているが、少なくとも4年の経験が必要であり、それぞれiOSとAndroidのエクスペリエンスに焦点を当てている。
TAUマーケティングソリューションズ(TAU Marketing Solutions)のCEOであるロブ・ウェブスター氏は、次のように語る。
「彼らが採用しようとしている職種は、効果計測、ブランドセーフティ、デバイスモデリングといった、マーケティングエコシステムの厄介な問題に取り組む必要がある。
これを立ち上げるのは容易ではないだろう。OpenAIにおいて広告を運用するもっとも適切な方法が現時点では誰にもわからないため、これはこれまでにないタイプの状況であると言える」。
設計段階から組み込まれるプライバシーと安全性
これらの職種において興味深いのは、プライバシーと安全性が、エンジニアが構築するもののなかに最初から組み込まれている点である。
3つの職種すべてにおいて、「すべての広告レンダリングおよび配信システムにわたって、最高水準の安全性、プライバシー、公平性、およびポリシー準拠を維持すること」が挙げられている。
特に、iOSとAndroidのエンジニアに関しては、「ポリシーを意識したUXパターン」と「フォーマットの検証」の構築が明記されている。
この妥協のない姿勢は、OpenAIの広告野望が直面しているより大きな試練のひとつを示している。
同社は、この推進全体がChatGPT自体に対する信頼を損なわないかどうかにかかっていることを明確にしてきた。
この製品は、ユーザーが会話の途中で「何かを売りつけられている」と感じない場合にのみ機能するため、プライバシーの不手際や押しつけがましい広告体験があれば、そもそもチャットボットを価値あるものにしている要素を脅かすことになる。
あとから修正するのではなく、エンジニアリングの段階でガードレールを組み込むことが、製品と共存する広告になるか、あるいは製品を損なう広告になるかの分かれ目になるだろう。
ガートナー(Gartner)のリサーチバイスプレジデント兼アナリストであるアンドリュー・フランク氏は、このように指摘する。
「本当の挑戦は、アドバイスを提供するシステムにおいて、広告がどのような姿になるかという点だ。私たちが『二重の整合性問題』と呼ぶものをどう調和させるのだろうか。
ユーザーの信頼を最適化するのか、それとも広告主の価値を最適化するのか。それらの目標はしばしば相いれないものがある。その問題を解決すること(それがそもそも解決可能であるならばだが)は、広告フォーマットをめぐるイノベーション以上のものを必要とするだろう」。
全体像を捉える 年収3000万円超の報酬と現行フォーマットの限界
大きな視野で見ると、3つの職種はすべてサンフランシスコを拠点としており(必要に応じて移転支援の提供あり)、それぞれの報酬パッケージは23万ドルから38万5000ドル(約3450万円から約5775万円)に加えて株式が支給される。
ローンチ以来、広告フォーマットはシンプルに保たれてきた。すなわち、見出し、短い説明文、画像、そしてリンクである。
OpenAIがチャットボットの利用方法を損なわないよう、テキストと画像の適切なバランスを見極めようとしてきたため、それに対する変更は軽微で漸進的なものであった。
2026年6月、Digidayは、OpenAIの既存の標準ユニットの改良版のモックアップを確認したが、それには大型の画像と、広告主がパーソナライズできるオプション行動喚起ボタンが含まれていた。
それ以降、表示フォーマットをわずかに狭くする(以前は480ピクセル、現在は440ピクセル)という軽微な調整しか行われていない。
7月の時点では、 OpenAIは当面このフォーマットを維持するかのように見えた。また、広告部門のトップであるデヴィッド・デュガン氏は、次の一手について尋ねられた際、曖昧な表現にとどめていた。
しかし、より多くのフォーマットが登場することは常に決まっていた。
OpenAIのマネタイズ担当バイスプレジデントであるベンジー・ショメール氏でさえ、5月に開催されたプレスラウンドテーブルで「クリエイティブの多様性こそが成功への真のカギである」と述べ、その旨を語っていた。
広告主とユーザーの双方に最適なかたちを模索するテストフェーズへ
eマーケター(eMarketer)のマーケティング&コマースAI担当プリンシパルアナリストであるネイト・エリオット氏によると、OpenAIがクリエイティブフォーマットのテストを開始するのは、むしろ時期が遅いくらいであるという。
それらは、OpenAIの急速に動く広告ストーリーのなかでも、もっとも進展の遅い領域のひとつであった。
デュガン氏がDigidayに語った理由によると、チームは基本を正しく構築することに注力しており、テスト広告主からのフィードバックによって形成されたロードマップが、次に来るものを定義するのに役立っているからだという。
エリオット氏は、「現状(OpenAIは)、これまでテストした唯一のフォーマットと配置のグローバルローンチをただ突き進めてきただけで、それが実際に広告主やユーザーにとって最善の方法であるかどうかについては、何の見当もついていない状態だ」と指摘する。
「現実には、異なるタイプの広告が、異なるオーディエンス、異なる広告主の目標、そして異なるタイプの会話において、より高いパフォーマンスを発揮するものがある。彼らにとって、テストして学ぶことが極めて重要であるだろう」。
OpenAIはDigidayのコメント要請に対し、回答を寄せなかった。
[原文:OpenAI looks beyond a single ad format with image, video and conversational ads in the works]
Krystal Scanlon(翻訳・編集:杉本結美)