OpenAIの最高未来学者、ジョシュア・アキアムが退社へ | WIRED.jp

OpenAIでチーフ・フューチャリスト(最高未来学者)を務めるジョシュア・アキアムが、7月7日(米国時間)、今月末で退社すると社内に通知したことが『WIRED』の取材でわかった。約9年間OpenAIに在籍したアキアムは、同社の非営利としての使命を守る役割を担うチームを率いた経験もある。社内では、退社は特定の理由によるものではなく、以前から考えていたことだと説明している。

『WIRED』が入手した社内メモでアキアムは、「人工知能(AI)がもたらす可能性は、もはや一部の人だけの秘密ではありません。フロンティアAIの研究所の外からでも、この使命の実現に取り組めると感じています」と記している。

「わたしは、平和とかつてない繁栄、そして社会や科学における想像を超えた可能性に満ちた世界を実現できると信じています。次に何をするとしても、このビジョンを実現するため、皆さんとともに歩み続けます」

OpenAIは、アキアムの後任を置くかどうかを明らかにしていない。チーフ・フューチャリストは、AIの安全性チームと政策チームの橋渡し役として、AIの発展がもたらす利益とリスクの分析を担う役職だ。

アキアムは、グローバルアフェアーズ責任者のクリス・リヘインら経営陣と連携し、「汎用人工知能(AGI)の恩恵を全人類に行き渡らせる」というOpenAIの使命に沿った政府の規制づくりを働きかけてきた。

OpenAIは、2022年にChatGPTを公開して以降、小規模な研究組織から巨大テック企業へと急成長するなかで、安全性、製品、研究の各チームをたびたび再編してきた。

24年には、OpenAIの使命を守ることを目的とした「ミッション・アラインメント・チーム」の新設を発表し、アキアムがその責任者に就任した。しかし、今年2月に同チームは解散し、アキアムが新たにチーフ・フューチャリストに就任すると発表された。

安全性部門で続く幹部の退社

この1年、OpenAIは、自社の技術が今後どこへ向かうのかを見据えたルールや基準づくりを進めるため、AI研究チームと政策チームの連携強化に取り組んできた。

両部門の協力が進むなか、ボアズ・バラク、ノーム・ブラウン、アドリアン・エコフェなど複数のOpenAIの研究者が、政策関連の業務により深く関わるようになったという。

元ホワイトハウスAI顧問のディーン・ボールは今月、OpenAIのヘッド・オブ・ストラテジック・フューチャーズ(戦略的未来構想責任者)として入社した。アキアムとは短期間ながら在籍期間が重なる見通しだ。ボールも研究者や政策担当幹部らと連携していくとみられている。

OpenAIが株式公開(IPO)に向けた準備を進めるなか、安全性分野の幹部の退職が相次いでいる。高度なAIモデルを人間の管理下に置く方法を研究する「スーパーアラインメントチーム」を共同で率いていたヤン・ライケも2024年にAnthropicへ移籍した。

同じ24年には、ポリシーディレクター(政策研究責任者)のマイルズ・ブランデージと、AIモデルの危険な能力に関する研究を率いていたスティーブン・アドラーもOpenAIを退社した。ふたりはその後、それぞれ非営利団体を設立し、AI開発企業に厳格な安全基準とセキュリティ基準の順守を求める活動を進めている。

また、ChatGPTが精神的・心理的な苦痛を抱える利用者にどう応答すべきかを研究していたアンドレア・バローネは、25年末にAnthropicのライケのチームへ移籍した。

安全性重視の信念、マスクと衝突

アキアムは17年にインターンとしてOpenAIに加わり、その後、AIの安全性を専門とする研究者となった。社内では、OpenAIが掲げる安全性重視の使命を一貫して擁護する人物として知られる一方、AIの安全性コミュニティーに対する批判的な発言でたびたび議論を呼んだ。