ChatGPT-5で研修医の皮膚科診断精度が6.7%ポイント向上-近大 – QLifePro 医療ニュース


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2026年07月08日 AM09:30

若手医師の診断能力向上と生成AIの医療現場への活用における課題

近畿大学は6月9日、皮膚科診療におけるChatGPT-5の使用が若手研修医の診断精度を向上させることを発見したと発表した。


画像はリリースより
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この研究は、同大医学部皮膚科学教室の大塚篤司主任教授、同大大学病院皮膚科山村優人非常勤医師(研究当時、専攻医)らの研究グループによるもの。研究成果は、「Acta Dermato-Venereologica」に掲載されている。

皮膚科診療において、多様な皮膚病変を正確に識別し、適切な鑑別診断を行う能力を習得することは、若手研修医にとって重要な課題である。近年、医療分野における生成AIの活用が注目を集めており、診断支援ツールとしての応用が期待されている。しかし、AIが提示する情報の正確性や、それが実際の医師の判断にどのような影響を及ぼすかについては、これまで十分な検証が行われていなかった。

30症例の検証でAIの正誤が皮膚科診断に及ぼす影響を検証

今回の研究では、皮膚科専門医資格未取得の若手研修医23人を対象に、確定診断済みの皮膚科30症例を用いて、ChatGPT-5の鑑別診断を参照する前後の診断精度を比較・検証した。まず、診断精度の観点において、ChatGPT-5は56.7%の症例で上位3つの鑑別診断の中に正解を含んでいた。若手研修医がChatGPT-5の提案を参考にしたところ、診断精度の中央値が43.3%から50.0%へと統計学的に有意に向上し、AIの活用が診断推論の補助として一定の効果を有することが示された。なお、参考値として皮膚科専門医の診断精度中央値は66.7%であった。

さらに詳細な分析として、ChatGPT-5の候補に正解が含まれていた場合、研修医の診断精度中央値は64.7%から82.4%へと大幅に向上した。一方で、ChatGPT-5の候補に正解が含まれていなかった場合には、研修医の診断精度中央値が15.4%から7.7%へと低下するリスクも同時に判明した。これにより、AIの提示する情報の正誤が、医師の最終的な診断判断を左右する実態が明らかになった。

医師の判断を代替せず診断を支援する認知的パートナーとしての展開

同研究は、生成AIが皮膚科の若手医師の診断推論を支援する有効なツールとなり得る一方、AIが誤った候補を提示した際には診断を誤らせるリスクがあることを実証した。AIに過度に依存するのではなく、その限界を理解した上で活用することが求められる。

今後は、臨床判断を完全に代替するものではなく、診断推論を支援・強化する「認知的パートナー」としての活用を提言していくと、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)