AIの優秀な人材の獲得競争には巨額の資金が動いている。しかし、彼らが求めているのは報酬だけではない。Getty Images; BIAI人材の獲得競争では、数百万ドル、時には数十億ドルもの資金が投じられている。しかし、「SaaS界のゴッドファーザー」と呼ばれるジェイソン・レムキンは、「トップにいるようなAI研究者たちが求めているのは報酬だけではない」と語っている。レムキンによると、AI研究者たちは自由に研究できる環境も求めているという。
すべてを手に入れた優秀なAIエンジニアには、何を与えればいいのだろうか。おそらく、それは好きな研究に自由に取り組める環境である。

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AI人材の獲得競争では、数百万ドル規模の高額報酬や、数十億ドル規模の人材獲得を目的とした企業買収が注目を集めてきた。しかし、「SaaS(Software as a Service)界のゴッドファーザー」の異名を持つベンチャーキャピタリストのジェイソン・レムキン(Jason Lemkin)は、「重要なのは報酬だけではない」と指摘している。
レムキンは最近、ポッドキャスト番組「20VC」で、「トップ研究者を引き入れようとする企業は、高額報酬に匹敵する価値を持つものを提示すべきだ」と語った。つまり、制約を減らし、本人が関心を持つ課題に取り組める自由が必要ということだ。
「AIの最先端で働く人たちと話をすると、そうした自由が非常に魅力的に映っていることが分かる」とレムキンは語った。
例えばグーグル(Google)は、生成AIブームが起きるはるか前から研究所を育て、優秀なAI人材を引き寄せる中心的な存在となっていた。2014年には、ロンドンを拠点とするディープマインド(DeepMind)を買収したが、経営陣が引き続きロンドンにとどまり、自分たちの方針で研究を続けることを認めた。ディープマインドはその後、現在のグーグル・ディープマインド(Google DeepMind)へと発展し、世界で最も重要なAI研究所の一つとなった。
「かつてグーグルは、世界最高峰の研究者たちが働きたいと思う環境を作り上げていた」
しかしながら、今年6月には著名なAI研究者2人がグーグルを退社している。
グーグルの主力AIモデル「ジェミニ(Gemini)」の共同責任者を務めていたノーム・シャジール(Noam Shazeer)は2026年6月上旬、グーグルを退社し、OpenAIに移ると発表した。シャジールはグーグル在籍中の2017年、ChatGPTなど主要な生成AIの基盤となる技術「トランスフォーマー(Transformer)」を、ほかの研究者らと共同開発した。
さらにその数日後、グーグルのアルファフォールド(AlphaFold)技術の研究で、グーグル・ディープマインド共同創業者兼CEOのデミス・ハサビス(Demis Hassabis)とともに2024年にノーベル化学賞を受賞した同社のジョン・ジャンパー(John Jumper)も、アンソロピック(Anthropic)に移るため退社すると発表した。
レムキンは、こうした退社の背景には、AI分野で首位を目指さなければならないという現実があるのかもしれないと説明する。
新たな競合が次々と参入する中で、グーグル・ディープマインドには、新製品を早く世に出して、研究成果をさまざまな製品やサービスに生かすことが求められている。その結果、かつては同社の大きな魅力だった自由度の高い研究環境が損なわれてしまっているのかもしれないという。
一方、アンソロピックとOpenAIは現在、AI分野の最重要課題に専念できる自由な環境を、研究者に提供しやすい立場にあるのかもしれないとレムキンは言う。
「AI分野で特に優秀なエンジニアや開発者と話していると、彼らが求めているのは、自分のやりたいことに取り組める、自由度のかなり高い環境であることが分かる」

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