アップルが大幅に刷新した音声アシスタント「Siri AI」の開発者向けベータ版を試しながら、屋外をハイキングしていたときのことだ。背後にあるゴールデンゲートブリッジは霧に包まれていた。美しい光景ではあったが、コートを着ていなかったので寒さを感じ、何か温かいものを食べてひと息つきたくなった。
そこでわたしはiPhoneを取り出し、新しくなったSiriに、ふわふわのパンケーキを食べられる店が近くにないかと質問した。スマートフォンの画面上部にある半透明の球体が数回くるくると回転したあと、音声アシスタントはインナー・リッチモンドにある「Eats」という店を勧めてきた。
会話形式でやりとりでき、いつでも使え、実際に役に立つ。そんな新しいSiriの登場が長らく期待されていた。そしてようやくアップルは今年の年次開発者会議で、iOS 27の一部としてこの機能を実現する仕組みを明らかにしたのである。
この音声アシスタントは、メッセージ、写真、メールをもとに、ユーザーごとに高度に最適化される。また、質問の理解やアプリとの連携も改善された。かつてのSiriからは大きく進化したということだ。そしてそれは歓迎すべきことである。
アップルはこの音声アシスタントを今年後半に一般公開する予定である。そこで今回、ベータ版のSiri AIが観光の案内役としてどこまで役立つのかを試してみようと考えた。Siriに案内される1日はどのようなものになるのか。iPhoneを手に、サンフランシスコを散策してみることにしたのである。
新しくなったSiri
この初期段階のバージョンでも、Siriの進化は印象的だ。以前のSiriは、できることが限られた単独の機能だった。だが現在はiPhoneの検索バーに統合されており、画面中央で下にスワイプすると表示される。会話のように話しかけることもできるし、Siriの回答を下にスワイプして、追加の質問を文字で入力することもできる。こうしたやりとりは専用アプリに保存されるので、過去の会話を開き、そこからやりとりを続けることも可能だ。

Courtesy of Apple
使い始めてすぐ、Siri AIの回答は短く、多くの現在のAIアシスタントのように長々とは続かないことに気づいた。多くの場合、回答は1段落に収まっていたのである。
ゴールデンゲートブリッジの近くで日の出を見られる、海辺の気持ちのいいハイキングコースはないかと音声で訊くと、Siriはプレシディオ地区の人気のハイキングコースと、マリンヘッドランズにある別の候補を簡潔に勧めてくれた。Siriは音声で回答するとともにテキストも表示し、内容を確認しやすいよう重要な単語を太字にしていた。出かける前にもう少し詳しい情報がほしかったので、テキストの回答を下にスワイプして、それぞれのコースの説明を読むことにした。
今回のSiriの刷新は、アップルとグーグルの提携が軸となっている。グーグルのAI「Gemini」が、アップルの音声アシスタントの基盤モデルであるApple Intelligenceの動作を支えているのだ。
この新モデルを使ったSiriの回答は、単に確認すべきウェブサイトのリンクをいくつか提示するのではなく、わたしが求めていることをより的確に捉えているように感じられた。「今日は何をすればいい?」のような漠然とした質問をすると、Siriはわたしが最近やりとりしたメッセージを調べ、友人と話し始めたもののまだ実現していなかった予定を教えてくれたのだ。