【07月04日 KOREA WAVE】

AIの年齢偏見分析研究の概要=AI生成画像、KAIST提供(c)news1
対話型の生成人工知能(AI)である「ChatGPT」などの回答に、大衆メディアが再生産してきた「温かいが能力は低い」という高齢者への社会的偏見(ステレオタイプ)が反映されているとする研究結果を、韓国科学技術院(KAIST)の研究チームがまとめた。AIが日常的な情報探索や意思決定に広く使われる中、こうした回答が繰り返されることで「デジタル年齢差別」を強化し、高齢層の社会参加や自己認識を制限する恐れがあると警告している。
KAIST科学技術政策大学院のチェ・ムンジョン教授らの研究チームは、米オープンAIの最新モデル「GPT-4o」を使い、10代から90代まで10歳刻みの年齢層の特徴を描写させる中立的な指示文(プロンプト)を入力。生成されたテキスト900件を収集し、社会心理学の代表的理論である「ステレオタイプ内容モデル(SCM)」を適用して定量的に分析した。
分析の結果、生成AIの回答は人間のライフサイクルを若年層(10〜20代)、中年層(30〜50代)、高齢層(60代以上)の三つに区分して捉える傾向があることが分かった。特に60代以上の高齢者集団に対しては、親しみやすさや優しさといった「温かさ」の評価が高かった一方、仕事の処理能力や知性といった「能力」の評価は若い世代に比べて相対的に低く表現される傾向が確認された。また、70代以上になると、画一的な特徴描写が繰り返し現れる傾向が顕著になった。
研究チームはさらに、自信や能動的な姿勢を示す「自己主張性」の表現頻度にも着目した。調査の結果、年齢層が高くなるほど自己主張的な表現の頻度は減少していた。これは、AIが高齢者を「知恵があり慈愛深い人物」として好意的に描く一方で、主体性や行動力といった能動的な側面は低く見積もって表現していることを示唆しているという。
こうしたAIの描写の偏りは、既存の大衆メディアで繰り返されてきた典型的な高齢者像と酷似している。研究チームは、AIが必ずしも意図的に高齢層を否定的に描写していなくても、結果として「主体性や有能さが低い集団」として繰り返し定義し続けることで、社会が抱く期待や高齢者自身の自己認識を狭めてしまう危険性があると強調する。これまでのAIの偏見に関する研究は主に性別や人種に集中していたが、世界的な人口高齢化の中で重要性が増す「年齢差別(エイジズム)」の問題に光を当てた点で、今回の研究は一線を画している。
チェ教授は「AIが示す偏見は純粋な技術の問題ではなく、既存の社会のあり方を映し出した鏡だ。特定の世代に偏らない包摂的なAIを開発するためには、技術の設計・開発の過程に多様な世代が直接参加する仕組みが必要だ」と指摘している。
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News