
時間や場所を選ばず、AIが1対1でダンスの上達をサポートしてくれる時代が始まっています。 2026年5月に提供を開始した「AI DANCE LAB Supported by SoftBank」(以下「AI DANCE LAB」)は、LDHとソフトバンクが協力して開発したダンススキル向上アプリ。どんな機能が搭載されているのか、開発の背景やこだわったポイントなどを担当者に聞きました。
スマホで撮影したダンスをAIが解析しフィードバック
「AI DANCE LAB」は、スタジオでダンスを学ぶ生徒や、これからダンスを習いたい方に向けて新たな学習機会を提供するスマホ向けアプリ。ユーザーがスマホで自身のダンス動画を撮影すると、お手本動画との動きの差分を解析し、以下のようなフィードバックを行います。
「Perfect」「Great」「Good」「NiceTry」の4段階で評価
骨格解析を行い、お手本動画との動きの違いを可視化
体の使い方など、上達に向けた具体的なポイントを的確にアドバイス

このアプリでは、単純に動画を重ねて比較するのではなく、ダンスの “動きそのもの” を評価します。動画同士をそのまま比較すると、動き始めやリズムがお手本動画より少しずれただけで一致度が下がってしまいますが、スタートやタイミングが少しずれていても、動きが同じであればダンスを高く評価できる仕組みになっています。AIアドバイスにはソフトバンクが特許を取得している技術を活用しています。
比較で終わりではなくアドバイスまで返せるように。「AI DANCE LAB」開発の背景とこだわり
「AI DANCE LAB」は、どのようにダンスを解析し、一人一人に合わせたアドバイスを届けているのでしょうか。担当者に、アプリが生まれた背景や開発のこだわりを聞きました。

左からサービス企画本部 スポーツ企画2部 寺本明日香、サービス企画本部 プロダクト開発部 勝目雅大
このアプリはどのような背景から生まれたのでしょうか?
寺本 「もともとソフトバンクには、自分のフォームとプロのフォームを比較して、スポーツのスキル向上をサポートするアプリ『AIスマートコーチ』というサービスがあり、LDHさんには、そのお手本動画にも出演いただいていました。そこから『比較だけでなく、アドバイスまで表示できないか』という話になったのが始まりです。LDHさんのダンスに関する知見と生成AIを組み合わせることで、一人一人に合わせたアドバイスを返せるようにしています。
2年ほど前にLDHさんと一緒に実証を行い、EXPG STUDIOの生徒さんにも使っていただきました。そのときに、『アドバイスの内容がしっかりしている』『実際に使いたい』という声があり、製品化に向けて開発を進めることになりました」
ダンスの動きをAIで評価する上で、どのような難しさがありましたか?
寺本 「ダンスは、ゴルフや野球のスイングのように決まった動きだけではありません。四方八方に動きますし、音の取り方やリズム、滑らかさ、その人らしい表現など、ダンスのうまさにはいろいろあり、それをAIが適切に評価することが、かなり難易度が高かったです。そこで今回は初心者でも取り組みやすいように、お手本動画と比べたときの『動きの一致』に評価軸を絞りました」

LDHの知見を生かした的確なアドバイスと、安心して使える設計
質の高いフィードバックをするために、こだわった点を教えてください。
勝目 「各ステップについて、LDHのインストラクターの皆さんに『この動きでは、ここを意識するとよい』というポイントを言語化していただきました。その情報をもとに、手首や肘など、注目すべき関節を指定し、生成AIがアドバイス文を作成します。
また、ユーザーにとって本当に身になるアドバイスになるよう、プロンプトも何度も検証しました。禁止事項を追加したらどうなるか、要素を抜いたらどうなるか、順番を変えたらどうなるか。社内でテストを重ね、最終的にはLDHさんにも表現を確認いただき、生徒さんに伝わりやすいアドバイスになるようにリリースの直前までこだわりました」

生成AIがどんな文章でアドバイスをするのかにもこだわられたのですね。
勝目 「そうですね、他にも年齢設定で『小学生以下』にすると、漢字を少なくしたり、表現を少しマイルドにしたりしています。検証の段階で、難しい漢字だと分かりづらいという声があったので、お子さんが自分で読んでも理解しやすい表現を意識しました」
安心して使える設計になっているともお聞きしました。どんな工夫があるのでしょうか?
勝目 「個人情報の取り扱いを重視し、動画をそのままAIにアップロードしない前提で設計しています。AIに渡すのは、動画そのものではなく、動画から抽出した骨格の動きのデータのみです。動画自体は端末内に残るだけで、サーバーで管理・保存することはありません。お子さんが使うことも想定しているため、保護者の方にも安心して使っていただける設計にしています」

「AI DANCE LAB」は、どのような人に使ってほしいですか?
寺本 「これからダンスを始めてみたい方や、初心者に特におススメしたいです。実際のダンスレッスンでは、先生1人に対して生徒が20〜30人いることもあります。その中で、一人一人が細かくアドバイスをもらうのはなかなか難しいですよね。このアプリでは、自分のダンスに対してAIが1対1でアドバイスしてくれるので、自分のペースで練習できます。習いに行くのは少し恥ずかしいという人も、まずは家で “コソ練” して、基礎のステップを覚えてからスタジオに行く、という使い方もできると思います」
今後の展望を教えてください。
寺本 「今はテキストでのアドバイスが中心ですが、今後はテキストだけではない、より詳細で分かりやすいフィードバック体験ができるよう発展させていきたいと考えています。
また、サービスの提供先も広げていきたいです。アプリに登場するアーティストのファンの方はもちろん、近くに先生がいない地域や、インストラクター不足に悩む企業にも活用いただけたらと思っています。例えば、LDHさんは地域に出向いてダンスレッスンを行う活動もされています。ただ、年に1回、半年に1回しか足を運べない地域もあるので、そうした場所でAI DANCE LABを使っていただければ、いつでもレッスンを受けられる環境づくりにつながるのではないでしょうか。将来的には、ダンスだけではなく学校体育や他のスポーツにもこのサービスの知見を応用し、指導者不足に悩む地域でも、誰もがスキルアップを目指せるようなサービスを展開していきたいです」
AIの “辛口診断” にGENERATIONS 中務さんも思わず「厳しい…!」
5月29日には、EXPG STUDIO TOKYOで「AI DANCE LAB」のローンチイベントが開催。イベントには、GENERATIONSの中務裕太さん、BALLISTIK BOYZの奥田力也さんが登壇しました。

イベントでは、EXPG STUDIOの生徒が実際にアプリを使ったデモンストレーションを実施しました。挑戦したのは、ダンスの基礎ステップであり、「三代目 J SOUL BROTHERS」の代表曲の一つ『R.Y.U.S.E.I.』の振り付けでもおなじみの「ランニングマン」。さすがLDH系の本格的な育成スクールEXPG STUDIOの生徒ということもあり、キレのあるダンスを見せました。

撮影が完了すると、すぐにAIが骨格解析をスタート。ダンスを骨格の動きで可視化し、お手本動画の動きと比べていきます。その結果は…

会場に展示された「AI DANCE LAB」のアプリ画面
4段階中4番目の「NiceTry」の判定。AIからは、左右の足首の位置が入れ替わる際のブレや、足を動かす位置など、細かなポイントまでアドバイスが示されました。
その内容に、中務さんは思わず「厳しい…!」と反応。奥田さんも「ここまで厳しく教えてもらえると、逆にもっと完璧にしてやりたいなっていう思いになりますね」とコメントしました。挑戦した生徒も悔しそうな表情を浮かべつつ、「ハイレベルなAIだと思いました」と話し、会場には笑いが広がりました。

続いて、MCから「ぶっつけ本番なのでどうなるか分からないのですが、だからこそ見てみたいものがありまして…」と前置きがあり、なんとサプライズでLDH発のD.LEAGUEチーム「LDH SCREAM」のメンバーであるプロダンサー 武蔵さんが登場。プロのダンスに対してAIはどのような判定を下すのか、会場の関心が集まりました。
武蔵さんも生徒と同じく、ランニングマンに挑戦。「プロとして恥ずかしくない判定を出したい」と緊張した表情でしたが、いざ撮影を始めると、さすがプロと感じさせるダンスを披露しました。


結果は最高評価に次ぐ2番目の「Great」の判定。プロでも最高評価が出ない “辛口判定” に会場からは驚きの声が上がりました。
一流のパフォーマーが感じたAI時代のダンス学習の可能性
トークセッションでは、中務さんと奥田さんが、デモンストレーションを通じて感じたアプリへの期待を語りました。

中務さんは、自身がダンスを始めた頃にマイケル・ジャクソンの動きをまねして練習していたことを振り返り、「ダンスは最初はコピーした方が絶対うまくなると思う」とコメント。お手本との違いを客観的に確認できる「AI DANCE LAB」は、ダンス経験者も自分のダンスの改善点に気付けるきっかけになると話し、「いい時代になった」と期待を寄せました。
奥田さんは、レッスンに加えて自主練習がスキルアップにおいてはいかに重要であるかを強調。その上で「AI DANCE LAB」を活用すれば、自宅練習でも自分一人では見つけられない課題に気付くことができ、その課題を改善していくことで、「さらなる高みを目指していけると感じた」とアプリの可能性を語りました。
最後には、EXPG STUDIOの生徒と「LDH SCREAM」によるパフォーマンスが披露され、ローンチイベントは幕を閉じました。


(掲載日:2026年7月3日)
文:ソフトバンクニュース編集部