「AIを使え」から「あまり使うな」へ、米企業が半年で生成AIの利用制限に動き始めた理由 【生成AI事件簿】トークン消費の急増でROIを問い直す経営層、日本企業の社員がいま備えるべき3つのこと(1/5) | JBpress (ジェイビープレス)

【生成AI事件簿】トークン消費の急増でROIを問い直す経営層、日本企業の社員がいま備えるべき3つのこと

小林 啓倫

小林 啓倫
経営コンサルタント

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2026.6.2(火)

経営 IT・デジタル

なんでもかんでもAIを使って良い、という時代は終わりつつある(筆者がChatGPTで生成)

「米国企業はAIを配給制にし始めた」。そんな衝撃的な言葉を見出しに掲げた記事が、米ウォールストリートジャーナル紙(WSJ)に掲載された。マイクロソフト、メタ、ウーバー、セールスフォース、ドアダッシュといった主要企業のCTOやCOOが、わずか数カ月前まで社員に「とにかくAIを使え」と号令していた立場から一転、利用を抑え、ツールを絞り、ROI(投資収益率)を問い直す側に回り始めたという内容である。

 つまりこの数カ月で、経営の合言葉が「AIを使え」から「考えて使え」へと変化したのだ。このトレンドは、日本企業の経営層にも届くのか。届くとすれば、現場で働く社員は、その日が来る前に何を準備しておけばよいのか。

「使え」と煽った米企業が半年でブレーキを踏み始めた理由

 最初の事例はマイクロソフトだ。FortuneやWindows Centralの報道も併せて整理すると、同社は5月14日、Experiences and Devices部門(Windows、Microsoft 365、Outlook、Teams、Surfaceといったコア製品を抱える事業部)の社員に対し、Anthropicのコーディング支援AIツール「Claude Code」の社内利用を6月30日付で停止すると通知した。

 広報担当はWSJに対し、「コストではなく社内標準化が動機」と説明している。一方で、米The Vergeは社内でClaude Codeが自社製のCopilotより支持され「脇に置かれていた」と伝えている。動機がコストかガバナンスか、線引きは外からは判然としないが、社員に対する「使う量を絞れ」という事実上の指示であることは間違いない。

 なお、マイクロソフトは社内利用を絞る一方、自社のクラウドAIプラットフォームMicrosoft Foundryでは2026年に最新のClaude Opus 4.6を含むAnthropicモデルの提供を開始しており、Anthropicとの関係そのものを断ったわけではない。社員には絞らせ、対外顧客には売る。マイクロソフトが選んだのは、その二段構えだった。