2026年06月25日 13時36分
AI

NVIDIAのAIインフラストラクチャとNVIDIA Omniverseのデジタルツインを用い、「海の波」を電力に変換する技術をEco Wave Powerが開発しています。
Eco Wave Power Turns Waves Into Watts With NVIDIA AI Infrastructure and Digital Twins | NVIDIA Blog
https://blogs.nvidia.com/blog/eco-wave-power-ai-digital-twins/?ncid=so-twit-483573-vt21
The next era of AI will be defined by energy — how we scale it and where we get it from. Eco Wave Power, an NVIDIA Inception member, has found a solution in the sea 🌊.
Using NVIDIA Omniverse digital twins and accelerated computing, Eco Wave Power simulates wave conditions and…
— NVIDIA (@nvidia) June 24, 2026
AIの普及により世界の電力需要は前例のないスピードで加速しています。しかし、電力需要を満たすには送電網インフラを拡張する必要があり、そのためには許認可手続きや送電網の改修、用地買収、設備投資などが必要となるため、時間がかかることは明らかです。
NVIDIAはAIスタートアップがNVIDIAプラットフォームとエコシステムを活用できるよう支援する無料プログラムのNVIDIA Inceptionを実施しています。このNVIDIA Inceptionのサステナブル・フューチャーズ・イニシアチブに参加しているエネルギー関連企業のEco Wave Powerは、NVIDIAのAIインフラストラクチャとデジタルツインを活用し、既存の海洋インフラを利用して「海の波」をクリーンな電力に変換する技術(波力発電システム)を開発しています。既に建設済みの沿岸構造物を利用することで、波力発電システムを港湾・工業地帯・将来のAIインフラ拠点など、電力需要が高まっている地域により近い場所で展開することが可能です。
Eco Wave Powerの共同創業者兼CEOであるインナ・ブラバーマン氏は、「波力エネルギーは、存在する再生可能エネルギーの中でも最大規模のもののひとつです」「誰もが波力エネルギーを望んでいますが、実現できる人は誰もいません。そこで私は、波力エネルギーの利用における現状の問題点に着目し、『どうすればそれを簡素化できるだろうか?』と考えました」と語っています。なお、アメリカだけでも波力発電システムが実現すれば、年間エネルギー消費量の60%以上をまかなうことができるとのこと。
波力発電システムでは、浮体構造物を防波堤などに取り付けます。これは非侵襲性の浮体式インフラで、海岸線に打ち寄せる波をエネルギーに変換するための装置です。海水の密度は空気の約800倍であるため、風力タービンよりもはるかに小型の装置で、より多くのエネルギーを生成することが可能になります。

従来は、コンピューター機器を浮体式設備に設置していたため、荒波の際に損傷を受けることがあり、これがシステム実現への障害となっていたそうです。しかし、Eco Wave Powerはコンピューター・センサー・油圧変換装置・電気部品を陸上設備として分けて設置することで、高価な機器を乾燥した状態に保っています。
ブラバーマンCEOは「波力発電は、再生可能エネルギーの中で最も変動の少ないエネルギー源です。例えば太陽光発電は素晴らしいですが、夜間・冬季・曇天・大気汚染など、発電量に影響を与える複数の要因があります。これに対して、波力発電なら24時間いつでも発電可能です」と、波力エネルギーの利点を語りました。
Eco Wave Powerは波力発電システムを開発する上で、NVIDIA Omniverseを使用して構築された波浪パターンと浮体構造物のデジタルツインを作成。これにより実際の設備を設置する前に、波浪条件・構造挙動・展開構成・運用シナリオをシミュレーション可能となります。このシミュレーションは、エンジニアリング上の意思決定を最適化し、展開リスクを低減し、インフラ計画を加速するのに役立ちます。

また、AIを用いてエネルギー消費量の多いワークロードを再生可能エネルギー発電量が多い時間帯に合わせたり、分散システム全体で電力利用を動的に最適化することでエネルギー効率の高いコンピューティングインフラストラクチャを構築したりすることも可能とNVIDIAは主張しました。
Eco Wave Powerは、EDF Power Solutionsおよびイスラエルエネルギー省と協力してイスラエルのヤッファ港で波力発電システムを運用しています。また、AltaSeaおよびShellと協力してアメリカのロサンゼルス港でも同様のプロジェクトを運営しています。さらに、Eco Wave PowerはBharat Petroleumと共同で、ポルトガルのレイショエス港、台湾の蘇澳港、インドのムンバイでも新たなプロジェクトを展開中です。
Eco Wave Powerの波力発電システムは、既に消費者のエネルギー需要を満たす能力を実証しています。ロサンゼルス港では既に、既存の電力網に頼ることなく、波力エネルギーをデータセンターの唯一の電力源として利用できることを示す実証実験が始まっています。
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