Datadogとキンドリルが協業を強化–AIシステムの監視・管理に注力 – ZDNET Japan

 Datadog Japanは6月18日、キンドリルジャパンとの協業を強化すると発表した。両社は、AI時代におけるミッションクリティカルなシステム運用の高度化を目的に、日本市場での連携を拡大し、企業のIT基盤の信頼性と効率性向上を支援する。

 企業のIT環境は複雑化し、マルチクラウドの普及やシステムの分散化に加え、生成AIやAIエージェントの活用拡大により、従来以上に高度な運用管理が求められている。その結果、システム全体の可視化や障害の予兆検知、迅速な原因特定が難しくなる一方、サイバー攻撃の高度化やAI固有のリスクへの対応も急務となっている。

 こうした課題に対し、Datadogが提供するオブザーバビリティ(可観測性)とセキュリティ機能を、キンドリルジャパンのミッションクリティカル運用のノウハウと組み合わせることで、より高度なIT運用サービスを提供する体制を構築する。キンドリルは、旧IBMのマネージドインフラ事業を源流とする企業であり、大規模システムの運用管理やレジリエンシー領域に強みを持つ。

 今回の協業では、営業・技術・マーケティングの各分野で連携し、日本市場に向けた共同戦略を推進する。具体的には、キンドリルのレジリエンシーソリューションとDatadogのセキュリティ機能を組み合わせたサービスを展開するほか、Datadogの技術者育成を目的とした認定プログラムの整備にも取り組む。これにより、顧客環境における導入・運用支援の品質向上を図る。

 さらに、AI技術に対応した新たな運用モデルにも取り組む。近年、企業ではAIエージェントや大規模言語モデル(LLM)の活用が進んでいるが、それに伴い「AIシステムをどのように監視・管理するか」という課題が顕在化している。両社はこの点に着目し、LLMオブザーバビリティを活用した可視化・評価・監視の高度化に共同で着手する。

 LLMオブザーバビリティは、AIモデルの挙動や応答品質、処理状況を可視化し、問題の早期検知や改善を可能にする新しい概念であり、AI運用における中核技術として注目されている。従来のIT監視がインフラやアプリケーションの状態把握に重点を置いていたのに対し、AI時代の運用ではモデルの振る舞いや出力の信頼性まで含めた管理が求められる。

 Datadog Japanの大場章弘氏は、今回の協業について「金融・保険をはじめとする大手企業における次世代DevSecOps実現に不可欠な取り組み」と位置付け、AI活用による運用高度化とビジネス価値最大化への貢献を強調した。

 一方、キンドリルジャパンの榎木泰平氏も、IT環境の複雑化に伴い「可観測性とセキュリティの統合が経営課題となっている」と指摘し、両社の連携による運用サービス強化に期待を示している。

 日本市場では特に、金融機関や社会インフラなどのミッションクリティカル領域において、外部パートナーと連携した運用体制が一般的である。そのため、高度な可観測性基盤の導入だけでなく、それを運用できる体制整備が重要となる。今回の協業は、こうした市場特性に対応したパートナーモデルの強化としても位置付けられる。

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