人間の頭脳レベルの人工知能(AI)と称される汎用人工知能(AGI)の到来時期をめぐり、シリコンバレーの二大陣営のトップが正反対の見解を示した。Databricksのアリ・ゴドシ最高経営責任者(CEO)はAGIがすでに現実のものになったと宣言した一方、OpenAIのグレッグ・ブロックマン社長はAGIを一瞬の出来事ではなく連続的なスペクトラムと規定し、慎重な立場を堅持した。
16日(現地時間)、米国サンフランシスコで開催された「Databricks Summit 2026」の基調講演で、ゴドシCEOは「AGIはすでに到来した。十分に賢く、これ以上賢くなる必要はない。AIはもはや知能の問題を抱えていない」と言明した。クラウドベースのAIデータ分析サービスを提供するDatabricksの企業価値は約204.7兆ウォン(約21.5兆円、1,340億ドル)に達する。
ゴドシCEOは、会場の聴衆にAGI到来の有無を尋ねた際、手を挙げた人がわずか5%にとどまった点を指摘し、AIモデルの性能評価指標の一つである「人類最後の試験(humanity’s last exam)」を例に挙げた。彼は「最近登場するすべての最先端モデルは、人類最後の試験の2,500問のうち半数を解決できる」とし、「この問題を解ける人は会場に1、2人しかいなかったが、AGIにとっては簡単な質問だ」と強調した。
ゴドシCEOはただし、AGIの産業現場への実装が依然として課題だと認めた。彼は「AGIのビジョンをまだ完全には実現できていない。AGIについて質問した際、多くの人が手を挙げなかった理由はまさにこれだろう」と述べ、「AIを実際に機能させる方法を見つけることが我々の任務だ」と語った。続けて「非常に賢いモデルにコンテキスト(文脈)を提供するだけで、企業は驚くべきことを成し遂げられる」と付け加えた。Databricksはこの日、あらゆるデータコンテキストをリアルタイムで学習するAIエージェント(秘書)「Genie One」を発表し、AGI実装に向けた具体的な歩みを進めた。
一方、同じステージに立ったOpenAIのブロックマン社長は慎重な態度を示した。司会者がゴドシCEOの発言について意見を求めると、彼は「AGIは極めて個人的なものだ。ある面では私が感じている感覚と同じだ。一つに断定できるものではない」と答えた。ブロックマン社長は「AGIは一瞬ではなく、スペクトラムと見ることができる」とし、「ある時点になれば、もはや開発するものがなくなるかもしれないが、まだその瞬間には至っていない」と述べた。
彼は現在のAIの状態を「でこぼこした知能(jagged intelligence)」と表現し、「特定の領域では人間を大きく凌駕するが、他の領域では依然として限界を示す」と診断した。続けて「重要なのは、人間が目標を設定し、制御権を維持することだ」とし、AIが人間の能力を拡大する方向に発展すべきだと強調した。
AI業界の話題についても、ブロックマン社長はモデル性能競争から実際の業務活用へと重心が移動していると分析した。彼は「我々はここ数年、モデル開発プロセスを大きく進化させてきた」とし、「今やモデルを現実世界と接続し、人々やシステムに実質的な価値を提供することが最も重要な課題となった」と述べた。特にAIエージェントが企業業務全般を変えると展望し、ソフトウェア開発分野ではすでにAIが全業務の80%水準まで遂行できる段階に入ったと紹介した。
ブロックマン社長はAI競争力の核心要素としてデータを挙げ、「データはモデルというケーキの最下層のような存在だ」と例えた。OpenAIとDatabricksの協力についても「AI革命は一社だけで作り出せるものではない」とし、パートナーエコシステムの重要性を力説した。
AI業界全体でも、AGI達成時期をめぐる解釈は分かれている。「アルファ碁の父」デミス・ハサビスGoogle DeepMind CEOは先月の開発者イベントで、AGIの初期段階に入ったと評価し、2030年前後を到来時期として提示した。一方、「AIの父」と呼ばれるヤン・ルカンMeta元研究員は、大規模言語モデル(LLM)中心のアプローチではAGI達成は困難だと見て、ワールドモデル(WM)の開発に注力している。
今回のDatabricks Summitは、AGIの技術的定義と到来時期だけでなく、AIが実際の産業現場でどのような価値を創出できるかについての業界の激しい模索を浮き彫りにした場だった。ゴドシCEOがAGIの技術的完成を宣言し、実装課題を提示したとすれば、ブロックマン社長は人間中心の制御と漸進的発展を強調し、異なる道を示した形だ。
業界では、このようなリーダーたちの視点の違いが、単なる技術論争を超え、企業のAI投資戦略と製品開発の方向性に直接的な影響を与えると見ている。AGIがすでに到来したとの前提のもと、エージェントベースの業務自動化を加速させるのか、それとも依然として解決すべき技術的難題が残っていると見て基礎研究により重きを置くのか、判断が分かれる分岐点だからだ。