Epic Games(以下、Epic)は6月17日、シカゴで開催されたオフラインイベント「Unreal Fest」にてUnreal Engine 6(以下、UE6)に関するさまざまな最新情報を発表した。その発表では、UE6の早期アクセス版は2027年末の公開を目標としていることに加え、ビジュアルスクリプティング機能「ブループリント」を将来的に非推奨とする方針など、今後の展望についても明らかにされた。
「Unreal Fest」はEpicが主催する「Unreal Engine」関連のオフラインイベントだ。今回シカゴで開催された「Unreal Fest Chicago 2026」では、基調講演「State of Unreal 2026」が実施され、Epicの開発陣によってUnreal Engineの最新情報や今後の展望が語られた。

UE6では複数の大規模な変更が予定されており、これまで段階的な進化を重ねてきたUE5とは大きく異なる方向性が示された。UE6は、UE5とUnreal Editor for Fortnite (UEFN)が統合された次世代ゲーム向けの単一のエンジンとして構想されている。UEFNは、Epicが提供する『Fortnite』専用にカスタマイズされたゲーム開発環境。UE5とUEFNはそれぞれ独自の機能と強みを備えており、これらを統合することがUE6の中核となるとEpicは説明している。
さらにUE6ではゲームプレイのプログラミングモデルを、「Verse」へと移行することが発表された。公式サイトによると、VerseはC++を“トランザクション化”したEpic独自のプログラミング言語で、大規模かつ永続的なゲームワールドの構築を目的に開発された次世代言語だ。これによって、開発のアクセシビリティが向上し、何千人ものコントリビューターが参加する、大規模なライブサービスを構築できるようになると説明されている。
なお、VerseはすでにUEFNで採用されているプログラミング言語であり、今回のエンジン統合によってUEもVerseを基盤としたゲームエンジンとなる格好だ。Epicによれば、PythonやC#などの言語の使用経験があれば、すぐに馴染みやすい設計になっているとのこと。さらにVerseには、現代のゲーム開発におけるスケーリングの問題を解決するための独自機能も備えていると伝えられており、大規模なオンラインゲーム等の構築を見据えて設計されていることがうかがえる。

また、ゲームプレイフレームワーク「Scene Graph」についても改めて発表された。Scene GraphはVerseで一から設計されており、Epicの将来のプログラミングモデルの基盤となるものだと伝えられている。開発者がゲームや体験を簡単に作成し、ゲーム間で相互に運用可能なコンポーネントを共有するための真の基盤となるとのことだ。
さらにEpicは、エンジン内のシステムや、コンテンツとコードはゲームエンジン間で移植可能であるべきだという理念から、UE6を“オープン仕様”のプラットフォームへと進化させるために全力で取り組んでいると伝えた。glTFやUSDといった既存の標準がUE6のニーズを満たすことができる場合、それらをエンジン内で主要なフォーマットとして採用。さらに標準となるものが存在しない場合は、UEのシステムをVerse API、定義済みのアセット規約、およびあらゆるエンジン、ツール、またはスタジオが実装できるドキュメントとともに、オープン仕様として公開することを明かした。
そしてコンテンツとコードは、ゲームとエンジンの間で移植可能であるという理念から、UE6をオープン仕様へと進化させるため全力で取り組んでいることを伝えた。その実証の一例として、『Fortnite』のコスメティックがスマートアセットとして導入されるとのことだ。スマートアセットとはEpicが構想するシェアリング エコノミー構築であり、将来的にはゲームの枠を超えて機能するアセットであると伝えられている。これにより、開発者はプレイヤーが『Fortnite』で購入したコスメティックを自作のゲーム内で利用できるようにしたり、逆に『Fortnite』用のコスメティックを制作したりすることも可能になるとのことだ。
くわえて、UE6では、AIを活用した開発支援ツールの強化も図られる。LLM、生成AIモデル、およびClaudeやCodexといったツールがより中心的な役割を果たすよう設計されているそうだ。開発者は最先端のモデルを自由に組み合わせて活用することで、あらゆる種類のカスタム統合を構築できるようになると伝えている。お気に入りのモデルを自由に取り込むことができるツールやワークフローも用意されており、AIを活用することで開発者はより創造的な作業に時間を費やせるようになると説明した。

一方でこうした大規模な改修に合わせて、UEの代名詞ともいえるビジュアルスクリプティングシステム「ブループリント」については、将来的に非推奨となる展望が示された。UE6の初期バージョンにはアクターおよびブループリントが搭載されているものの、新しいフレームワークが十分に成熟したと判断されれば、アクター・ブループリントは非推奨の扱いになるとのこと。ただし、プロジェクトをフレームワーク間で移行するための変換ツールが提供される予定だという。またUE5で開発されているプロジェクトも、UE6へスムーズに移行できると伝えている。
なお、UE6の早期アクセス版は2027年末に公開を目標にしているとのことだ。正式リリースはその12か月から18か月後を予定している。それまでの間は、新しいUE6開発ストリームが現在、GitHubで公開されている。