2026年06月16日 13時14分
AI

アメリカ政府がAnthropicのClaude Mythos 5およびClaude Fable 5に対して提供停止命令を出した件について、命令を受け取ってから実行するまでの時間的猶予はわずか90分しかなかったことが明らかになっています。
How a 90-minute White House deadline sparked Silicon Valley’s biggest AI fight – The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2026/06/15/how-90-minute-white-house-deadline-sparked-silicon-valleys-biggest-ai-fight/
The US government’s Anthropic models ban was never about an AI jailbreak | TechCrunch
https://techcrunch.com/2026/06/15/the-us-governments-anthropic-models-ban-was-never-about-an-ai-jailbreak/
The Once And Future Fable #2 – by Zvi Mowshowitz
https://thezvi.substack.com/p/the-once-and-future-fable-2
2026年4月、Anthropicは高度なサイバー攻撃が可能な高性能AIとして「Claude Mythos Preview」を発表しました。Claude Mythos Previewは「ソフトウェアの脆弱(ぜいじゃく)性を発見して悪用する」能力が極めて高く、深刻度「高」以上と推定される脆弱性候補を6202件発見したり、ネットワーク完全乗っ取り攻撃を自律的に実行できてしまうことが判明したりしてきました。
このClaude Mythos Previewの正式版として、Anthropicは「Claude Mythos 5」と、セキュリティ対策を施したうえであらゆるユーザーが利用できる「Claude Fable」を6月10日にリリースしました。
ついに「Claude Mythos」の正式版が登場&利用者制限撤廃版の「Claude Fable」も登場して誰でも使用可能に – GIGAZINE

しかし、リリースから3日でAnthropicは「アメリカ政府の国家安全保障当局による指示」を理由に、Claude Mythos 5およびClaude Fable 5の提供を停止。アメリカ政府は「中国政府と関連するグループがアクセスした疑いがある」として提供停止命令を出したという報道や、Claude Mythos 5およびClaude Fable 5に施された安全対策(ガードレール)を回避する方法である「脱獄(ジェイルブレイク)」が見つかったため提供停止命令が出されたという報道もあります。
Anthropicがアメリカ政府の指示で「Claude Fable 5」と「Claude Mythos 5」の提供を停止 – GIGAZINE

AnthropicはClaude Mythos 5およびClaude Fable 5の提供停止命令に関する書簡をアメリカ政府から受け取っています。この書簡について、Anthropicは「AIモデルの安全対策を回避しようとする動きに関連している」と考えているものの、書簡には具体的な詳細が記載されていなかったため、確信は持てていない模様。
アメリカ政府によるClaude Mythos 5およびClaude Fable 5の提供停止命令について、テクノロジーメディアのTechCrunchは「今回の政府による介入は、AI業界も政府の干渉から免れないことを示しています。また、より広範なテクノロジー業界に対する警告でもあります。『従わなければあなたとその製品を停止させる可能性がある』という警告です」と報じています。
Axiosが情報筋から入手した情報によると、アメリカ政府とAnthropicの間には2026年6月の第一週末に緊迫した状況があったそうです。アメリカ政府による提供停止命令は、AI製品の技術的な問題だけではなく、Anthropicとアメリカ政府の関係悪化に起因する問題であると報じています。
Anthropicとアメリカ国防総省の交渉決裂の内幕、最後まで国防総省はAnthropicのAIを用いてアメリカ市民に関する大量データを分析したいと考えていた – GIGAZINE

さらに、Anthropicの幹部がトランプ政権の関係者と会談し、提供停止命令の解除に向けた協議を行ったことが報じられました。政府高官は潜在的なセキュリティ上の脆弱性を理由に、Claude Mythos 5およびClaude Fable 5の提供停止を求めており、解決策が見つかるまで数日以上の時間がかかる可能性があるとのことです。政府高官は問題が迅速に解決できる可能性を否定していません。
また、Anthropicの関係者がThe Washington Postに語った内容によると、Claude Mythos 5およびClaude Fable 5の提供停止命令に対する対応猶予はわずか90分しかなかったそうです。
今回の騒動の最大の勝者は「オープンウェイトモデルになるだろう」という声もあります。その理由は、今回のようにある時点でAIモデルがユーザーや企業の間で利用できなくなってしまうことは、特定の国の技術に依存することが非常に現実的なリスクであることの証明になってしまうためです。
クラウドストレージサービス・Boxのアーロン・レビィーCEOは、今回のような政府主導の制限が突発的に発生することになれば、アメリカ以外の国が頼る可能性が最も高い解決策はオープンウェイトのAIモデルであると指摘しました。
The big winner in all of this is going to be open weights models. This is a huge win for the field, as a risk that was entirely theoretical and untested 2 days ago (that a model could be pulled back), now has a new precedent that’s been set.
The game theory the US should highly…
— Aaron Levie (@levie) June 14, 2026
オープンモデルの最先端を走るのはアメリカではなく中国のAI企業で、AlibabaやDeepSeek、Tencent、Xiaomiといった大手テクノロジー企業がアメリカのクローズドモデルに匹敵するオープンモデルを続々と公開しています。Claude Mythos 5およびClaude Fable 5のサービス停止直後には中国企業のZ.aiが最先端モデルの「GLM-5.2」をオープンモデルとして公開することを表名しています。
Claude Fableのサービス停止を受けて中国企業が最先端モデル「GLM-5.2」を急遽発表、2026年6月中に無料公開へ – GIGAZINE

なお、数十人の著名なセキュリティ研究者や専門家は、アメリカ政府に対して提供停止命令の撤回を求めています。
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