Google Gemini障害が7時間超―応答不能のエラー1076・1099が世界各地で発生 | 財経新聞

米国太平洋時間(PT)の午前3時26分(日本時間:6月10日午後7時26分)から、Google Geminiがアメリカやヨーロッパおよびアジアのユーザーに対して応答不能になる障害が発生した。

障害はGoogleが米国太平洋時間(PT)午前10時30分(日本時間:6月10日深夜2時30分)に解決を宣言するまで約7時間にわたって継続した。Googleはその後、根本原因をバックエンドデータベースのパフォーマンス問題と説明している。

■ 障害の概要:6時間超にわたりGeminiが世界規模で応答不能

障害発生中は、ウェブ版・モバイルアプリ・Chrome版Geminiのいずれでも、無料・有料アカウントを問わずプロンプト送信が失敗し、「エラー1076」または「エラー1099」が表示される状態が続いていた。Googleは「Gemini AppのWorkspaceユーザーが『Something Went Wrong』エラーを経験している」と公式にインシデントを開設した。

■ 障害の広がり:米英から始まり欧州・アジアへ

TechRadarのライブブログによると、最初の苦情報告は米国東部時間(ET)午前6時11分頃に集中し、Downdetectorにはアメリカとイギリスから急激な報告増加が記録された。TechRadarは米国で480件、英国で440件の報告を早期に確認。Tom’s Guideがその後追跡した数値では、米国だけで最大765件に達したとしている。Yahoo Techは水曜午後時点で累計数千件に上る報告があったと伝えた。

TechRadarが追跡したDowndetectorおよびRedditのスレッドには、イタリア・ポルトガル・タイ・ギリシャ・ボスニア・フランス・ベルギーのユーザーからも同一の不具合報告が寄せられた。あらゆる大陸・あらゆるプラットフォーム・一般消費者アカウントとWorkspaceアカウントの双方に、同一のエラーコードが出現しているという状況は、Geminiの中央サービングインフラに問題があることを示唆すると各メディアは指摘していた。

なお、Googleの自社モニタリングは利用者の報告と比べて遅れを取った。Tom’s Guideがスクリーンショットで記録したように、報告が急増していた最初の数時間、Workspace Dashboardは依然としてGeminiの隣に「正常(緑のチェックマーク)」を表示していたという。

■ エラー1076・1099とは何か

Googleは現時点でいずれのエラーコードについても公式ドキュメントを公開していない。ただし、今回の障害を通じた各メディアのリアルタイム報告が、一定のパターンを明らかにしている。

エラー1076は、接続確立時のタイムアウト(いわゆる「ハンドシェイク失敗」)のように振る舞うとされる。プロンプトの送信がGeminiのバックエンドとの安全な接続確立に時間がかかりすぎ、モデルが応答を開始する前にリクエストが中断される——というものだ。TechRadarはこの説明を、皮肉なことに障害中に動作していた一瞬のGemini自身から得たと報じている。

エラー1099は、純粋なサーバー側の障害とみられる。Windows Reportのインシデント追跡によれば、Google側のバックエンドにおける「セッション競合またはコンテキストオーバーフロー」と説明されており、ユーザーのデバイス・アカウント・ネットワーク側に原因はないとされている。Tom’s Guideが引用したあるWorkspaceユーザーは「新しいプロンプトを開始する際に、ウェブでもアプリでも同様に発生した。使用上限には達していない」と強調している。

両エラーコードは、ネットワークの末端(エッジ)ではなく応答処理レイヤーに問題があることを示唆している。この見立ては、障害期間中に最も実用的な意味を持つ事実——モデルによって影響度が異なる——とも整合する。

■ 影響を受けるモデルと受けないモデル

AOLおよびYahoo Techがまとめた報告によると、一般消費者向けトラフィックの大部分を担うGemini FlashおよびGemini Proが最も深刻な影響を受けた一方、Gemini Flash Liteは部分的に機能を維持していたという。より軽量なモデルが応答を保っている一方で重量級のサービングスタックが停止しているという状況は、プラットフォーム全体の崩壊ではなく、特定のバックエンド処理経路または処理能力に問題が生じている可能性を示唆していると各報道は伝えていた。

■ 障害発生中に有効だった暫定的な回避策

障害中の複数のライブブログで繰り返し確認された回避策を以下に示す。

① 即座に再送信する:エラー1076でプロンプトが失敗した場合、同一のプロンプトを直ちに再送信すると成功することが多かった。最初の試みで接続経路が確立されているためとみられる。TechRadarのチームは午前中を通してこの方法を活用したという。

② 新しいチャットを開始する:長い会話スレッドを続けるよりも、新規の会話として始める方がエラーを回避しやすいと複数のユーザーが報告していた。Windows Reportが指摘するエラー1099の「コンテキストオーバーフロー」説と整合する現象とみられる。

③ Googleアカウントから一度完全にサインアウトして再ログインする:認証トークンが更新され、状態がリセットされる可能性がある。

■ AppleのSiri AI再構築との関係

今回の障害は、戦略的な観点から通常の障害以上の意味を持つ可能性があると各メディアは指摘している。2日前の2026年6月8日(月)にWWDC 2026でAppleが「Siri AI」を発表したばかりだからだ。CNBCのキーノートカバレッジによれば、この新しいSiriはApple独自のデータセンターでホストするカスタムバージョンのGeminiによってクラウド知能を実現するものとされており、Googleとの複数年契約は年間約10億ドル(約1,500億円、1ドル=150円換算)相当・約1.2兆パラメーターのカスタムGeminiに関するものだとする報道もある。

Appleのアクティブデバイスは20億台以上とされる。今秋にiOS 27・macOS 27でSiri AIが出荷されれば、これまでGoogleのアプリを一度も開いたことがない数億人ものユーザーにとって、Geminiの品質が日常的な依存関係となる可能性がある。

ただし、AppleのSiri AI実装はApple管理のインフラ上で稼働しており、今回の障害が発生している一般消費者向けサービングスタックとは別系統であるため、今回のエラーはSiriには直接影響しないとみられている。それでも、世界有数のインフラ企業が運営するバックエンドで、モデルレイヤーの障害が7時間以上解消されなかった今回の障害は、AppleのリライアビリティエンジニアがiOS 27リリース前に注視するであろう事例になるだろう、と各メディアは分析している。

なお参考として、GoogleはI/O 2025の場でGeminiアプリの月間アクティブユーザーが4億人を超えたと発表しており、その後も成長を続けているとしている。今回の障害は、学生・開発者・GeminiをワークフローにGeminiを組み込んでいる法人ユーザーなど、幅広い層に影響を与えたとみられる。

■ 確認済み事項と未確認事項 ●Googleが確認した事項

障害は2026年6月10日ET午前6時26分(日本時間:同日午後7時26分)に始まった。障害発生後、Gemini AppのWorkspaceユーザーを含むGeminiアプリに影響し、エンジニアが調査・緩和措置を行った。Googleが最初に示したET午前11時の状況報告目標は解決なく過ぎ、その後の報告予定時刻もTechRadarによれば午後遅い時間帯にずれ込んでいったという。

●独立したモニタリングで確認された事項

少なくとも9カ国でDowndetectorへの数千件の報告、全プラットフォームでエラーコード1076・1099が発生、FlashとProが最も深刻な影響を受け、Flash Liteが部分的に機能を維持していた。

●追加確認済み事項(Googleが後に発表)

Googleはその後、Workspace Status Dashboardの最終更新において、障害はPT午前10時30分(日本時間:6月10日深夜2時30分)に解決したと発表した。根本原因については、バックエンドデータベースのパフォーマンス問題がGeminiアプリのツールカタログ取得に影響を及ぼしたと説明。エンジニアはバックエンドDBフリートの負荷分散を最適化することで解決したとしている。

■注目ポイントQ&A ● Gemini「エラー1076」とは何か?

エラー1076はハンドシェイク(接続確立)のタイムアウトとみられており、Geminiバックエンドへの安全な接続の確立が間に合わず、リクエストが失敗する現象とされている。同一プロンプトを直ちに再送信すると、最初の試みで接続経路が確立済みのため成功することが多いと報告されている。

● Gemini「エラー1099」とは何か?

エラー1099はGoogleのバックエンドにおけるサーバー側のセッション競合またはコンテキストオーバーフローと説明されている。ユーザーのデバイス・ネットワーク・アカウントの設定は原因ではなく、ユーザー側の設定変更では解消しない。新規チャットを開始することで回避できる場合があるとされている。

● 今回のGemini障害はiPhoneのSiriに影響するか?

現時点では影響しない。2026年6月8日のWWDC 2026で発表されたAppleの「Siri AI」はGeminiのカスタムモデルを使用するとされているが、Apple独自のデータセンターで稼働する別系統のインフラであり、まだ一般ユーザーへの提供は開始されていない。今回の障害はSiriには直接影響しないとみられているが、今秋のiOS 27リリースを前にGeminiの信頼性を巡る懸念事例として注目されている。

元記事: Google Gemini Outage Tops Six Hours, Errors 1076 and 1099 Worldwide:Flash Lite Still Answers