一方で、この強力で不気味な技術が生活に入り込んでくるにつれ、反発や嫌悪感も高まっている。卒業式のスピーチでAIに言及した途端にブーイングが起きることからも、それは明らかだ。
だがグーグルの見方では、AI検索──それでもそう呼びたいなら──は、AIを嫌う人々すら受け入れざるをえない必然だという。

グーグルI/O開発者会議の基調講演に登壇するグーグル検索部門のトップ、リズ・リード。
Photograph: Benjamin Fanjoy/Getty Images
24年にAI Overviewが登場したとき、わたしはそのAI嫌悪者のひとりとして拒否反応を示した。だがいまでは認める。Overview、そしてその先にある「AI Mode」は、多くの場面で単純に優れていると。「サタデー・ナイト・ライブ」の新エピソードがあるかどうか調べるときも、エージェント型AIの仕組みを理解したいときも、あるいは単にリンクを探すときでさえ。
ワガドゥグーでの会議を描いた自分の『WIRED』記事を検索したとき、“青いリンク”はほとんど役に立たなかった。だが探しているものを平易な言葉で説明したら、すぐに見つかった。
つまり、機能しているのだ。グーグルによれば、月に10億人以上がAI Modeを使って検索しているという。AI Modeのクエリ数は四半期ごとに倍増している。
変革の犠牲になる素材提供者たち
基調講演後、リズ・リードに直接聞いた。「検索」をどう定義しているのか、と。一瞬の沈黙の後、彼女はグーグルのミッションを引用した。「情報を整理するだけでなく、本当に役立つかたちで、誰もがアクセスできるようにすること──それが実現できるか、ということです」
もちろん、オリジナルのグーグルは、そのミッションの鍵が「活発でオープンなウェブ」にあると考えていた。リードの基調講演によれば、グーグルはいまも毎日数十億のウェブページをスクレイピングしているが、いまやその目的は、パーソナライズされた回答のために事実や知見を集めることだ。
基調講演では、ひとつの検索クエリがAIエージェントの大群を動員し、その場でパーソナライズされたウェブサイトのようなものを生成する様子が披露された。「ダイナミックなレイアウト、インタラクティブなウィジェット、あなただけのためにつくられた体験──それが実現します」と、検索担当VPのロビー・スタインは語った。
ブラックホールに関するクエリに答えるために、AIエージェントがその仕組みを説明するインタラクティブなグラフィックをその場でつくり上げることもあるという。だが情報には必ず出どころがある。
その素材となるのは、宇宙物理学者や科学ライター、ビジュアルアーティストたちの苦労の成果だ──そういった人々の多くは、クレジットも表示されず、表舞台に出ることもない。こうしたつくり手たちと、その作品を掲載するウェブサイトが、この変革における敗者となりそうだ。
当然ながらリードは、AI検索が従来のウェブを踏み台にしているという見方に異を唱える。「AI回答を飛ばして、リンクに直接アクセスする人もいます」と彼女は言う。「AIビューをクリックしてから、そのなかのリンクをたどる人も多い」。実際にそうしている人の割合を示すデータを求めたが、リードはグーグルはその数字を公開していないと答えた。
そしてあなたもそれを使う
一部のウェブサイトは打撃を受けるだろうと彼女は認める──AIエージェントが簡単に複製できるような、ありきたりなコンテンツを提供する底辺サイトは。だがオリジナルの声や、独自に取材・調査したコンテンツは、引き続き読者を得られると主張する(本当に? すでにAI Overviewで大打撃を受けているニュースサイトに、ぜひそう言ってみてほしい)。