マイクロソフトのAIデータセンター建設に抗議の声、ナデラCEOは「地域との共生」を強調 – CNET Japan

 AIツールの需要増に応えるため、全米でデータセンターの建設が急ピッチで進められているが、これは物議を醸すトピックとなっている。建設を制限する州法が次々と制定され、都市や個人も建設阻止に向けて声を上げている。

 大手テクノロジー企業がこうした大規模なAIデータセンターの建設を急ぐ中、土地、水、電力が大量に消費されていることに批判的な声が上がっている。今週サンフランシスコで開催された、AIに焦点を当てたソフトウェアカンファレンス「Microsoft Build」の会場前に集まった抗議者たちもその一部だ。

 イベントセンターであるフォートメイソンの入り口付近に陣取り、建設されるデータセンターの影響を詳述したビラを配っていたAmy Herman氏もその1人だ。筆者は、Herman氏に懸念事項について話を聞いた。

 抗議活動について尋ねると、同氏は「むしろ対立する視点と言った方がいいだろう」と説明し、「テクノロジーや、イノベーションの収益化に反対しているわけではない」と語った。

 Herman氏によれば、技術の進歩を追い求める一方で気候変動への対応責任を負いたがらない大手テクノロジー企業と、限られた天然資源とのバランスを取ることが課題だという。

 「ここサンフランシスコだけでなく全米で、われわれが地球に対して行っていることと、それに伴って起きているすべての影響について」とHerman氏は述べ、「その波及効果はいずれ実感されることになるだろう」とした。

 米国時間6月2日の午前中に行われたMicrosoft Buildの基調講演で、最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏は、Microsoftは今後、データセンターを建設する際に地域コミュニティの許可を求めていくと述べた。

 同社は、データセンターの冷却システムの改善と水使用量の削減、データセンターが地元住民の電気料金を上昇させないことの保証、「地元の病院、学校、公園、図書館の資金源となる税収基盤」への貢献、そして対象地域でのAIトレーニングや非営利団体への投資を行うことで、地元住民からの承認を得ることを目指している。

 Nadella氏は2日、「No Priors」のSarah Guo氏とElad Gil氏、「Latent Space」のSwyx氏と共に出演したライブポッドキャストで、データセンターの急速な建設を「並外れている」と表現した。

 「現時点で明確なのは、われわれが業界として、議論しているすべてのメリットを地域コミュニティのレベルで実際に感じてもらえるよう、確固たる原則を持っているということだ」とNadella氏は述べた。「それは現実的なものでなければならず、人々が『電気料金は変わっていない。それどころか、長期的に見ればより良い送電網ができ、より多くの電力が供給され、水も補充されているのだから、料金は下がっている』と言えるようなものでなければならない」

 同氏は、AI技術とそれを駆動するデータセンターについて、地域コミュニティに受け入れてもらうことの重要性を強調した。

 「これらすべてが現実でなければならない。そうなれば許可を得られるだろう」と同氏は述べた。「そうでなければ許可は得られない。極めて単純なことだ」

 同氏は、Microsoftはこれらの巨大なデータセンターの建設中および建設後に雇用を創出することを目指しているとしつつ、人々がこれらすべてに疑問を抱くのは当然だとも述べた。

 「われわれは業界として、これを非常に真剣に受け止めなければならない」とNadella氏は述べた。「地域コミュニティが懐疑的になり、厳しい質問を投げかけることは良いことだと思う」

 そうした疑問を投げかける人々の一部は、Herman氏と共にMicrosoft Buildの会場外に集まり、企業の強欲さ、環境汚染、貧困の場面を描いた色鮮やかなプラカードなどを掲げ、カンファレンスの参加者との対話を切望していた。

 Herman氏によると、大きな問題の1つは、地方の電気料金がデータセンター建設前と比べて高騰しており、人々が医療費を払うか電気代を払うかの選択を迫られていることだという。

 Microsoftは80の地域に500以上のデータセンターを構えており、過去18カ月間でクラウドサービス「Azure」の最初の10年間よりも多くのデータセンター容量を追加している。そして、それらは米国だけでなく、オーストラリア、ニュージーランド、アジア、アフリカ、中東、ヨーロッパ、南米など、世界中に広がっている。

 Nadella氏は基調講演で、「われわれにとって初のAIスーパーファクトリー」である「Fairwater」データセンターについて語り、そのようなファクトリーの3つの主要なワークフローを、AIトレーニング、推論、エージェントランタイムに分類した。

 「システム全体がAIのためにゼロから設計された」とNadella氏は述べた。「そして、電力供給についても再考している。送電網からシリコンへと電力が変換される際に発生する損失を最小限に抑えつつ、ラック列ごとに数百kWの電力をどのように供給するかということだ」

 Fairwaterは予定を前倒しして4月に稼働を開始し、Nadella氏はソーシャルメディアサイト「X」への投稿で、これを「世界で最も強力なAIデータセンター」と表現した。

 同氏によると、FairwaterのAIデータセンターの冷却システムにおける水の使用には新しいアプローチが採用されており、一度だけ水を満たせば、その後は「水消費量ゼロ」で稼働できるという。

 2日、Nadella氏は「1年を通した1日あたりの水使用量は、1軒のレストランが使用する量とほぼ同じだ」と述べた。

 ハーバード・ロースクールのAri Peskoe氏によると、現在建設中のデータセンターの中には「大都市よりも多くのエネルギーを消費する」ものもあるという。

 Microsoftによると、Fairwaterは「費用対効果が高く信頼性の高い電力」を備えており、使用量はラックあたり約140kW、ラック列あたり約1360kWであるという。また、オフピーク時に電力を削減するためのソフトウェアおよびハードウェアソリューションや、「余分な電力を利用せずに電力変動をさらに吸収するためのオンサイトのエネルギー貯蔵ソリューション」を使用している。比較として、米国の一般的な住宅の電力消費量は約1.2kWだ。

 2日午前に行われた基調講演で、Nadella氏は、データセンター建設に向けたMicrosoftの新たな原則には、「電気料金を引き上げないこと、使用した水をすべて補充すること、地元住民のために地域コミュニティで雇用を創出すること、税収基盤に貢献すること、そして地元のトレーニングやその地域の非営利団体への投資を通じてコミュニティを確実に強化すること」が含まれると述べた。

 「われわれがこれらの原則を守り、そのための困難な取り組みを行ったときにのみ、イノベーションを起こし、建設を進める許可を得ることができる」と同氏は語った。

 地域コミュニティの許可を得た後、その地域に還元するというMicrosoftの約束についてHerman氏に尋ねたところ、同氏は疑念交じりの期待を示した。

 「もし彼らが実際にそれほど投資しているのなら、運営方針の中核に民主的な価値観を組み込んだ、より協力的な事業開発モデルを構築してほしい」と同氏は語った。「一企業として、内部でそれが実践されているのを見たことがないのに、なぜ地方自治のレベルでそれを信用できるだろうか」

この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

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