「Ray-Ban Meta」ついに国内販売、AIグラス本命の実力と普及への布石 — BigGo ファイナンス

Meta(Meta)のAIグラス「Ray-Ban Meta(Gen 2)」とスポーツ向けの「Oakley Meta」シリーズが、5月21日から日本で販売開始された。価格はRay-Ban Metaが7万3,700円から、度付き対応のRay-Ban Meta Opticsが8万2,500円から、Oakley Meta HSTNが7万7,220円から、ランニング特化のOakley Meta Vanguardが9万6,580円からとなる。世界で累計数百万本を販売した実績を持つ本命製品の国内投入により、2026年に入り競合が相次ぐ日本のAIグラス市場は新たな局面を迎える。

Ray-Ban Metaは、ディスプレイを搭載せず、1,200万画素の超広角カメラとオープンイヤースピーカー、5つの内蔵マイク、そしてAIアシスタント「Meta AI」を組み合わせた音声対話型のスマートグラスだ。最大3K/30fpsの動画撮影に対応し、連続駆動時間は最大8時間、付属の充電ケースを併用すれば最大48時間の使用が可能となっている。

最大の進化点は、日本語に対応した「Meta AI」の本格活用だ。前世代のRay-Ban Meta(Gen 1)は海外で展開されていたものの、日本では未発売で、日本語でのAIアシスタント利用もできなかった。今回の国内投入により、「Hey Meta」と呼びかけるだけで、目の前の風景や物体の認識、外国語の看板の翻訳、天気の確認、花の名前の特定といった操作を、スマートフォンを取り出すことなくハンズフリーで行えるようになった。実機を試用した《Impress》のレビューによると、冷蔵庫の中身を撮影して献立を提案させたり、郵便ポストの正しい投函口を尋ねたりといった応用も可能で、夜間の画像認識も問題なく機能したという。

Metaの日本法人であるFacebook Japan代表取締役の味澤将宏氏は、日本市場向けの取り組みとして、生活アプリ「LINE」との将来的な連携準備を明らかにした。また、発売時点では英語から日本語へのテキスト翻訳に対応し、6月頃には英日リアルタイム音声翻訳の提供を予定する。さらに、視覚障害者向けの自律歩行ナビゲーションを開発する国内スタートアップAshiraseとの実証実験も進めており、AIグラスを通じたアクセシビリティ強化にも注力する構えだ。

プライバシー対策も強化された。撮影中はフレーム前面の白色LEDが点灯し、Gen 2ではLEDが大型化され、屋外で約3.7メートル、屋内で約7.3メートル先からも視認可能になった。加えて、テープやシールでLEDを覆うと撮影が開始できない「タンパー・ディテクション(改ざん検知)」機能も搭載。Metaは改造行為をサービス利用ポリシーで禁じているが、米国では既にLEDを物理的に取り外す改造キットが出回るなど、いたちごっこの様相も呈している。

Ray-Ban MetaとOakley Metaは、Metaと世界最大手のアイウェア企業エシロールルックスオティカ(EssilorLuxottica)が共同開発した製品だ。同社はレイバンやオークリーのブランドを擁し、日本では直営店や百貨店コーナーに加え、2024年に完全子会社化した眼鏡小売の和真を含め、全国100店舗以上の小売ネットワークを持つ。ガジェットとしてではなく、度付きレンズにも対応する「日常のメガネ」として販売できる体制が、他の参入企業との決定的な違いとなる。

2026年の国内AIグラス市場では、1月にOWNDAYSがカメラ非搭載のオーディオグラス「OWNDAYS CONNECT」を1万6,000円で、2月にメガネトップがカメラ搭載・AI非対応の「Linse」を5万5,000円で、4月にはHTC NIPPONがAIアシスタント搭載の「VIVE Eagle」を8万2,500円から発売している。こうした競合がひしめく中、Ray-Ban Metaの7万円台からの価格設定は、10万円を超える製品も存在する市場において比較的選びやすい水準と言える。

エシロールルックスオティカのチーフデザインオフィサー、マッテオ・バティストン氏は「インビジブルテクノロジー・ビジブルヒューマニティ」というデザインコンセプトを掲げ、技術を目立たせずメガネというフォームファクターに溶け込ませる思想を強調した。ただしMetaは、視界に通知やナビを表示するディスプレイ搭載型の「Meta Ray-Ban Display」も並行展開しており、2025年9月から米国の一部実店舗で799ドルで販売中だが、日本での発売予定は明らかにされていない。

製品の実用面では、前世代からバッテリー持ちが大幅に改善され、外出中に装着したままでも残量を気にせず使えるようになった点が評価されている。一方で、カメラレンズ付きメガネを常時装着することへの心理的ハードルは依然として残り、普及とともに社会的な理解が進むかどうかが今後の課題となる。