Metaと世界最大のアイウェアブランドのEssilorLuxottica(エシロールルックスオティカ)は、AIグラス「Ray-Ban Meta」「Oakley Meta」の日本展開に関する発表会を開催した。AIグラスというカテゴリーは、近年さまざまな企業が参入を進めている。そんななかで、今回の発表会で印象的だったのは、両者がこの製品を単なるウェアラブル端末としては語っていなかった点だ。
【画像】紫外線を当てるとサングラス化する調光グラス版のAIグラスも
登壇したEssilorLuxotticaのチーフデザインオフィサー、マッテオ・バティストン氏が、AIグラスを「Augmented Identity(拡張されたアイデンティティ)」という言葉で表現したのは象徴的といえるだろう。それは単なるAIデバイスではなく、“人間らしさを拡張する道具”としてメガネを捉える視点だったからだ。
「AIとはArtificial Intelligenceだけではない」
発表会の中でも、最も強いメッセージを放っていたのはバティストン氏のセッション。AIという言葉から多くの人が連想するのは、Artificial Intelligence=人工知能だ。しかし氏は、これからのAIは「Augmented Identity=自己拡張」という意味を持つようになると語る。
AIは単に命令を実行する存在ではなく、人に寄り添い、聞き、学び、理解し、表現を支援する存在へ変化していく。そして、そのAIと人間の距離が近づくほど、“どんな形で存在するのか”が重要になるという。
スマートフォンは便利だが、使うたびに視線を画面へ落とす必要がある。イヤホンは音声体験を自然にするが、映像をともなわなければ視覚情報とは切り離されている。その中で、メガネは極めて特殊な存在だ。氏は「メガネは感覚に最も近いデバイス」と説明した。視界の延長線上にあり、日常生活の中で常時装着され、さらに機能だけでなく自己表現としても成立し得る。
腕時計やスマートフォンとも異なり、メガネは顔の一部になる。だからこそAIグラスには、単純なスペック競争では成立しない難しさがある。「美しい眼鏡を、単なるコンピュータにしてはいけない」。バティストン氏が何度も強調したのは、その点だった。