2026年版AIモデルの追跡–「Opus 4.8」と「Mythos Preview」の不整合率は同程度 – ZDNET Japan

 AI各社が新型モデルを次々と投入している。後継モデルは旧型より高速で高性能なのが常だが、企業の広報担当者が美辞麗句を並べても、全てのモデルが画期的な進化を遂げているとは限らない。モデルの真価は、競合と比較してどこが優れ、あるいは劣っているのか、どの分野に特化しているのかという文脈の中でこそ明らかになる。

 本稿の「モデルリリーストラッカー」(邦題:AIモデルの追跡)は、各モデルの相対的な立ち位置や、詳細に調査すべき価値があるかどうかを判断する一助となるものだ。主な要素に加え、専門家による実機テストの結果や「エキスパートスコア」を随時更新していく。以下に、2026年これまでにリリースされた注目すべきモデルをまとめる。

Claude Opus 4.8(Anthropic、5月28日)

 Anthropicは、「Claude Opus 4.7」の後継として「Claude Opus 4.8」を同価格で提供開始した。同社によれば、Opus 4.8は思考モードの高速化を実現しつつ、コストを従来の3分の1に抑えている。コーディング能力を重視する同社モデルの特性を継承しており、ベンチマークではOpus 4.7を上回るものの、OpenAIの「GPT-5.5」を完全に凌ぐまでには至っていない。また、ユーザーの自律性支援や最善の利益のための行動といった「社会的な特性に関する当社の測定基準」において過去最高を記録したという。その定義は、いまだ不明確ではある。

 Anthropicは一貫してモデルの安全性と解釈可能性を優先してきたが、今作ではその基準をさらに強化している。Opus 4.7の「誠実さ」の割合は92%に達し、追従性やハルシネーション(幻覚)が低減されていたが、Opus 4.8では調整不全の発生率がさらに大幅に低下した。これは、同社がOpus 4.8の安全性を後述の「Mythos Preview」と比較している点からも、極めて高い基準を目指していることがうかがえる。

GPT-5.5 Instant(OpenAI、5月5日)

 OpenAIが発表した「GPT-5.5 Instant」は、最新の「GPT-5.5」の軽量版であり、前身の「GPT-5.3 Instant」よりも冗長性が排除されている。特筆すべきは正確性の向上で、医学、法律、金融といった重要分野のプロンプトにおいて、ハルシネーション発生率がGPT-5.3 Instantより52.5%減少したという。

 同モデルは「ChatGPT」のデフォルトとしてGPT-5.3を置き換える。多くのユーザーが日常的な調べ物に利用するモデルにおいて、情報の正確性が大幅に改善されたことは、誤情報の拡散防止という観点から非常に重要である。

Nemotron 3 Nano Omni(NVIDIA、4月28日)

 NVIDIAのオープンモデル「Nemotron」ファミリーの最新作は、マルチモーダル入力を備えたエージェント機能を提供する。同社によれば、視覚、音声、テキストの各入力を単一のループ内で認識・推論できるため、複数の機能を一つのシステムに統合できる。

 従来のエージェントシステムは音声、視覚、テキストで個別のモデルを使用する必要があり、ワークフローの停滞や推論コストの増大を招いていた。NVIDIAのアプローチが実用的であれば、プロセスの効率化とトークン消費の削減により、コスト低減が期待できる。Hugging Faceで試用可能だ。

GPT-5.5(OpenAI、4月23日) エキスパートスコア:93/100点

 ZDNETのテスト担当者であるDavid Gewirtz氏は、GPT-5.5に「A-」評価を下した。同氏は、このモデルを「GPT-5.4を順当に高速・高性能化したもの」と評している。具体的には、エージェントによるコーディング、概念の明確な特定、科学研究および事実の正確性が向上している。

 前モデルから飛躍的な進歩はないものの、5.4のリリースからわずか2カ月足らずで登場した事実は、エージェント型コーディングがOpenAIの開発サイクルを加速させていることを示唆している。AIを使ってAIを構築するフロンティアラボ各社は、指数関数的なペースでアップデートを送り出している。

ChatGPT Images 2(OpenAI、4月23日)

 動画生成モデル「Sora」の提供終了発表直後、OpenAIは画像生成モデル「Images 2」を発表した。Gewirtz氏は正式なエキスパートスコアを付与していないが、先行テストで非常に楽しく、大きな飛躍を遂げた実用的なモデルであると高く評価している。

 Anthropicが法人契約獲得で先行する中、OpenAIがコンシューマー向けの製品から一時撤退するかのように見えた時期もあったが、Images 2の投入は、同社が画像生成を依然としてエンタープライズ分野における重要な要素と見なしている証左といえる。

Claude Opus 4.7(Anthropic、4月16日)

 Opus 4.6から短期間で投入されたこのモデルは、誠実さ、追従性の排除、ハルシネーションの抑制において新境地を開いた。また、サイバーセキュリティ分野に長けており、直後にリリースされた「Claude Security」の基盤となっている。

 ハルシネーションと誠実さはAIにおける最難関の課題だが、Anthropicがこの分野で大幅な進歩を遂げたと主張することは、安全性を重視する同社にとって大きな成果である。

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