
今週は3歳クラシックの二冠目、世代の頂点を決める第93回日本ダービー(東京優駿/GI、芝2400m)が東京競馬場で行われる。
今年は、皐月賞馬ロブチェンをはじめ、リアライズシリウス、ライヒスアドラー、アスクエジンバラ、フォルテアンジェロと上位馬が揃って参戦。トライアルからは青葉賞馬ゴーイントゥスカイ、プリンシパルSを制したメイショウハチコウ、そのほか、スプリングSを制したアウダーシアや、京成杯勝ちグリーンエナジー、京都新聞杯覇者コンジェスタスなど、最強馬を決めるのにふさわしい豪華なメンバーが集結した。
そんな中、皐月賞2着から逆転を狙うリアライズシリウスが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。
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■実は直結しない共同通信杯組
リアライズシリウスの皐月賞は、ロブチェンの逃げ切りを許して2着と苦汁を舐めた。それでも自身は2番手からレースを進め、後続の追撃を振り切り0秒2差なら、価値の高いレースぶり。東京2勝を含む左回りで3勝と、本命はダービーとも言われ、今回は逆転での戴冠を陣営は目論んでいるだろう。
2走前の共同通信杯もレースぶりは見事で、クラシックへ直結することでもその価値は高まっている。事実、2012年のゴールドシップを皮切りに、14年イスラボニータ、16年ディーマジェスティ、21年エフフォーリア、24年ジャスティンミラノと、近年は5頭の皐月賞馬を輩出している。
しかし、1986年以降、共同通信杯を勝ってダービー馬に輝いたのは、86年ダイナガリバー、90年アイネスフウジン、94年ナリタブライアン、01年ジャングルポケットの4頭だけで、一時代前の出来事。二冠を目指したエフフォーリアや、昨年のマスカレードボールも、ダービーを勝つことは叶わなかった。同じ東京が舞台にも関わらず、共同通信杯で強い勝ち方を見せても、必ずしもダービー馬になれるということではないのだ。
■血統、馬格が表す距離適性
血統面では、リアライズシリウスは昨年からデビューした、ポエティックフレア産駒の代表的な1頭といえるが、同産駒はまだサンプル数が少ないとはいえ、芝2000mではわずかに1勝、芝2200m以上では【0.0.0.4】と、現役時代はマイラーで名を馳せた父と同様、産駒もマイル近辺が好成績を挙げており、長距離への適性に疑問符が付く。父サドラーズウェルズ系は、2006年メイショウサムソンが勝っているだけで、ダービーでは【1.0.1.13】と決して相性は良くない。
また、リアライズシリウスはこれまでに、最高馬体重530キロと、かなり大柄な馬だが、1986年以降、ダービーで520キロ以上の馬の成績は【0.2.4.26】と、まだ勝ち馬を輩出していない。デビュー時512キロから成長して、前走時528キロとなった同馬だが、ダービーでは10キロ近く絞れてこないと、過去の傾向からは勝つまでには至らない可能性大だ。馬格から感じられる距離適性という点でも懸念が残る。
昨年はマスカレードボールが皐月賞3着からダービーで2着と、関東のトップステーブル手塚厩舎が、なかなか手にできない日本ダービー。リアライズシリウスにデビューから乗り続けている津村騎手も、今回は千載一遇のチャンスで、個人的には応援したいところだが、過去の傾向から照らし合わせると、どうしても“惜敗”という二文字が目に浮かんでくる。人気でもロブチェンと二分する様相だが、妙味を考慮すると、少なくとも「頭」勝負は避けたい。
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◆著者プロフィール
石川豊●いしかわゆたか
20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。
