Claude Codeを“追いかける立場”となったOpenAI、その内幕 | WIRED.jp

いくつかの大手企業もCodexの採用に踏み切った。OpenAIのアプリケーション部門でCEOを務めるフィジ・シモは、「ChatGPTがAIの代名詞になっていることが、B2B市場におけるわれわれの優位性につながっています」と語る。「会社は社員が使い慣れているテクノロジーを使おうとするからです」。Codexの販売戦略は、ChatGPTやほかのOpenAI製品とセットで提供することを基本としている、とシモは説明する。

Ciscoの社長兼最高プロダクト責任者のジーツ・パテルは社員に対し、コストを気にせずにCodexを使えと伝えた。ツールを使いこなせるようになることのほうが重要だからだ。

パテルは、「このツールを使い続ければ仕事を失うことになるのでしょうか」と尋ねてくる社員に、こう答えることにしている。「ノー。だが逆に、使わなければ確実に仕事を失う。使わないならきみに価値はない。出て行ってもらう」

IT株価を動かすAIコーディング

いまや、AIコーディングエージェントが引き起こしたパニックがシリコンバレーをはるかに超えて拡がっている。

『The Wall Street Journal』は26年2月、Claude Codeが1兆ドル規模のIT株の暴落を引き起こしたと報道した。ソフトウェアがまもなく完全に時代遅れになると恐れた投資家たちが、株を手放したからだ。

数週間後、AnthropicがIBMマシンで広く使われるCOBOLなどのレガシーシステムの代わりにClaude Codeを利用できると発表すると、IBMの株価は25年ぶりの大幅下落を記録した。

OpenAIも話題づくりに必死だ。スーパーボウルのCM枠を数百万ドルで買い取って、ChatGPTではなくCodexを宣伝した。

ミッションベイ地区の「神殿」では、Codexを売り込む必要はない。取材したOpenAIのエンジニアのほとんどが、いまではコードをキーボードで打つことはほとんどなくなったと言う。Codexに話しかけることが日々の仕事になった。ときにはチームが集まって、一緒にそうすることもある。

わたしは本社内で開催された「Codexハッカソン」を見学した。100人ほどのエンジニアが大部屋に集まっていた。それぞれ、Codexを使って4時間以内に最高のデモプログラムをつくることが目的だ。

OpenAIの上級リーダーのひとりがマイクの前に立ち、手に持ったノートパソコンからチーム名を読み上げていく。チーム代表者は緊張した様子で舞台に上り、震える声で自分たちの作品について短いスピーチをした。優勝チームにはパタゴニアのバックパックが贈られた。

多くのプロジェクトは、Codexを使ってつくられたと同時に、Codexをより使いやすくするためのものだった。あるチームはSlackのメッセージを週次レポートにまとめるツールをつくった。AIが生成したウィキペディア風のOpenAI社内サービスガイドを発表したチームもあった。

デモのほとんどは、以前なら完成させるのに数日から数週間かかっただろう。それがいまでは午後の数時間でできてしまう。

本社を出ようとしたとき、廊下でケヴィン・ウェイルに会った。もとはInstagramの幹部だった人物で、いまはOpenAIのサイエンス部門「OpenAI for Science」を率いている。自分の代わりにCodexがいくつかのプロジェクトを夜通し進めていて、明朝自分の目で確認するつもりだと話してくれた。ウェイルやほかの数百人の社員にとって、いまやそれが日常だ。