定例会見を行なう日本自動車工業会 佐藤恒治会長
5月21日、自工会(日本自動車工業会)は定例会見を開催し、自工会が進める「新7つの課題」の進捗状況を報告した。今回はその中で特に「マルチパスウェイの社会実装」「人材基盤の強化」「サプライチェーン全体での競争力向上」については詳しく説明。
担当部会メンバーから報告を行なうとともに、定例会見内で担当する副会長が状況を説明した。
自動車産業の魅力向上に向けて、2027年度より「ゴールデンウィーク連休の平日を稼働日に変更」「ハッピーマンデー(例1月10日、9月20日)の休日化」を導入予定
① 重要資源・部品の安全保障
② マルチパスウェイの社会実装
③ サーキュラーエコノミーの仕組みづくり
④ 人材基盤の強化
⑤ 自動運転を前提とした交通システム確立
⑥ 自動車関連税制 抜本改革
⑦ サプライチェーン全体での競争力向上
ここでは、人材基盤の強化に関連して進められている、自動車産業の魅力向上に向けての取り組みである「ゴールデンウィーク連休の平日を稼働日に変更」「ハッピーマンデー(例1月10日、9月20日)の休日化」について取り上げる。
自動車業界カレンダーとも呼ばれる変則的な休日は、自動車業界がまとまった休みに工場での生産車種の切り替えなどを行なっているため。夏季休暇や年末年始の休日などまとまった休みに生産ラインをストップし、生産ラインの金型を変更。新しい車種の生産を立ち上げていく。そのため、まとまった休みが取れる半面、ハッピーマンデーなどでは家族との予定が合いづらい面があった。
会長、副会長が出席して定例会見
今回提案された、「ゴールデンウィーク連休の平日を稼働日に変更」「ハッピーマンデー(例1月10日、9月20日)の休日化」、こうした状況を改善し、休日増を含む多様な働き方を受け止められる、魅力的な産業にしたいとの思いから起案されており、2027年度から自動車メーカー各社がまずは導入予定。ゴールデンウィーク連休の一部が平日となり、ハッピーマンデーが休日になる。これにより、子供や家族との休日が合う可能性が高くなる。
自動車メーカー各社が率先して導入することで、サプライチェーンの各社への導入を図る。
但し、導入当初は休日が増えるわけではなく、これまでまとまって休めていたゴールデンウィーク近辺がカレンダーどおりになり、ハッピーマンデーが休日になる。休日増についてはAIの導入などで「将来的にはより一層の生産活動の安定化効率化を通じ休日増を含む多様な働き方を実現できる産業構造へ進化したい」との説明を行なった。
この説明は、部会側からと、副会長である鈴木敏宏氏から行なわれた。その全説明を掲載する。
担当部会からの説明
自動車産業の生産性、働き方改革の第一歩として、祝日休日の設計に合わせたカレンダーの見直しを行なう調整を行ないました。具体的には、2027年度のカレンダーより、祝日が稼働となっている自動車カレンダーを見直し、ゴールデンウィークの平日を稼働日に変更することとし、月曜日にあたる祝日の一部を休日化してまいりたいと思っております。
今回の見直しの目的としては日本の基幹産業である自動車産業の魅力向上を図り、将来にわたって選ばれる産業に進化しなければならないと考えております。
これに向けては、新7つの課題への取り組みによる抜本的な産業課題の解決と合わせて業界一体となった働き方改革を推進することで、産業全体で生産性向上を実現しなくてはならないと思っております。その働き方改革で言えば、働く人の変化、価値観の多様化といった世の中の流れに対し、自動車産業が多様な働き方を提供し、作っていくという流れをスタートさせたいということでございます。その第一歩として、27年度はゴールデンウィークの連休前後に集中していた工事や設備対応、切り替え作業を平準化させることにチャレンジします。
この平準化により、工事設備系協力会社の商品計画の安定化であったり、人員手配の効率化、中長期的な人員確保育成につながる効果も期待している。
我々のカレンダー見直しに関しては、自動車総連とも何度も話し合いの場を持たせていただきました。話し合いの中で、部品メーカー、物流メーカーなどさまざまな関係先さまへの影響についても十分に考慮をする必要があることを確認させていただき、本日以降、関係団体へのヒアリングを含めた丁寧な理解活動を行なっていきます。
自動車総連が掲げる休日増の考え方については、自工会としてもその思いを理解しているところであり、今回の見直しがその思いにつながる第一歩となるべく今後継続して生産性向上を重ねることで、将来的にはより一層の生産活動の安定化効率化を通じ休日増を含む多様な働き方を実現できる産業構造へ進化したいと考えております。
鈴木敏宏副会長との質疑応答
働き方改革についての質問は、鈴木敏宏副会長が回答
──27年度より、ゴールデンウィークの部分とハッピーマンデーの部分が書いてあるのですが、これはOEMのみなさんが一斉にやっていくのか。どういう風に自動車産業を魅力ある産業にするのか?
鈴木敏宏副会長:自動車産業、OEMを頂点にいろんな部品メーカーさん、お取引先さまがあります。「OEMがまず歩調を合わせないとなかなか一律に展開できないよね」っていうようなところはあると思いますから、まずOEMが先頭切って取り組みをやってく。そういうような中で、やっていただけるところを優先的にというか、強制するのではなくて、生産効率なども含めて、人材の確保も含めて、準備が整ったところからやっていただくというのはある。
そのためには在庫をためなきゃいけないとか、そういうようなところもあると思います。そんなことしながら順次対応をしていただくということで取り組んでいけばいいのかなと思っています。
魅力ある産業というところで言うと、クルマ業界はどちらかというと昭和の高度成長に乗って、品質であるとか生産効率を考えて稼働日をなるべくまとめてやってくんだという取り組みで来ていました。
時代の流れとして、働き方改革とか多様性が生まれてきている中で、最近言われてるのは「家族と過ごせない」「一緒に過ごそうと思ってもカレンダーが自動車業界だけは違う」というようなところで、それはなんとか解消できないかっていう声が高まってると思います。
そういうことで言うと、まずゴールデンウィークが一番大きく違うとこかなと思います。夏と正月、年末休みは割と企業間、どの業種でも合ってるよねっというところなんだけど。ゴールデンウィークだけはどちらかというと自動車業界が、これは自動車業界の事情というか。大型連休を使って設備を新設したり、入れ替えたりとかをやってきたわけですけども、時代の変化とともに分散できる技術もできてきたと思いますしね。そういうことをやれば、やる気になれば、集中させなくても工事などもやれると思うので。そういう工夫をしながら、なるべく標準カレンダーと同じように休みが取れる。で、家族と過ごせる。で、そういうことでリフレッシュしてもらいながら、モチベーションを高めてもらってね。日々の生産、日々の活動に対して生産性を上げてもらう。これはAIもしっかり使ってもらいながら、やってもらうということは必要だと思います。
そういう取り組みをやりながら、やっぱりクルマって面白いなと、クルマ作りって面白いなっていうのを、もっともっとアピールしながら、ものづくりっていうのが面白いんだっていうのを理解してもらいながら魅力ある産業にしていく、そして国力を上げていくというようなところに結びつけれられればいいなと思ってます。
──休みがどのくらい増えていくのか?
鈴木敏宏副会長:流れとして、私がまず休日の件はお話をさせていただきます。27年度については休日数が増えるということではないということであります。今後、休日数を増やしてくのかというようなことは、また考えていかなきゃいけないと思っています。
今年の春闘でも増やされたメーカーさんがいらっしゃいますけども、社員の中では休日が増えることに対して生産性を上げなきゃいけないということで緊張感が走ったよというコメントもいただいています。そういうところを含め、各企業間でもやんなきゃいけないことだと思います。
やはり従業員のみなさんと、労働組合と、しっかり話をしながら休日を増やす取り組みというのは、どういう風にやっていったらいいのかとか。そういうような話し合いをしながら、将来に向けて何日増やすとか、そういうようなことは別問題として取り組んでいくということが必要かなと思ってます。