Claude Codeを業務基盤にするために押さえるたった5つのこと——Claude Code超入門 vol.3 – STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習

前回までの2回の記事では、株式会社AI Orchestraの宮地俊充さんに、Claude Codeのすごさと、ターミナルから始める初期設定の手順を伺いました。

ところが、初期設定が終わった瞬間、ほぼ全員が次の壁にぶつかると宮地さんは言います。それは「で、結局、何から任せればいいの?」という問いです。

「初期設定の次に詰まるのは、ITスキルじゃなくて”順番”なんです。やること自体はシンプルでも、この順番を知っているかどうかで、半年後の成果がまったく違ってきます」

今回は、宮地さん自身が40以上の業務をClaude Codeに任せるまでにたどった「業務基盤化の5ステップ」の骨子を公開します。さらに記事の最後では、このロードマップを画面操作付きで一気通貫に体感できる5月31日(日)開催の無料ライブセミナーもご案内します。

構成・取材/STUDY HACKER編集部

【プロフィール】

宮地俊充(みやっち🧑‍💻/みやち としみつ)

1981年10月、静岡県浜松市生まれ。株式会社AI Orchestra代表取締役社長。青山学院大学法学部卒業後、2007年公認会計士試験合格。PwC Japan有限責任監査法人に入所。IFASの会計コンサル業務や監査業務等に従事。M&AファームのGCAサヴィアン(現フーリハン・ローキー)を経て、EC系ベンチャーで取締役CFOに就任。その後、2011年オンライン英会話スクールのBest Teacherを創業。2016年、SAPIX YOZEMI GROUPに売却。投資活動と音楽活動を経て、2020年に株式会社AI Orchestraを連続起業。AIメディア運営、AI研修、AI開発受託、AIプロダクト開発を手掛ける。

なぜ「ロードマップ」が必要なのか

「Claude Codeは”自由度が高すぎる”のが、最大の落とし穴なんです」と宮地さんは切り出します。

ChatGPTのような対話型AIなら、ブラウザを開いて質問するだけで使えます。しかしClaude Codeは、自分のパソコンのファイルを直接操作し、メールやカレンダー、Notion、マネーフォワードといった業務ツールとも連携できる”実行型”のAIエージェントです。何でもできるからこそ、何から手をつけるかで成果が大きく変わります。

「いきなり”全部AIにやらせよう”と意気込んで、最初から複雑な業務を選んでしまう人がいるんですけど、ほぼ100%失敗します。まずはひとつだけ自動化して、その小さな成功体験を積み上げる。そうすると、半年後には40業務まで自然に増えていきます」

宮地さんがこれまで個人向けAI講座「AI Crew」と法人研修で数百名に伝えてきた、再現性のあるロードマップが次の5ステップです。

1

業務を棚卸しし、AIに任せる部分と人間が確認する部分を切り分ける

2

MCP・API・CLI で外部ツールとつなぐ

3

自社の情報・独自ノウハウ=ナレッジを整備する

4

CLAUDE.md・Skills・サブエージェント・hooks で「ハーネス」を整える

5

寝ている間にも仕事が進む——定期実行(Routines)をマスターする

「この順番で進めると、難所はどこにもありません。逆に順番を飛ばすと、必ずどこかで詰まります」

ステップ1|業務を棚卸しし、AIに任せる部分と人間が確認する部分を切り分ける

最初のステップは、最も地味で、最も効果が大きいと宮地さんは強調します。

「これ、実は技術の話ではなくて”業務の言語化”の話なんです。自分の1週間の業務を全部書き出して、それぞれの作業を”AIに任せる部分”と”人間が確認・判断する部分”に切り分ける。これが一番最初の仕事です」

「全部AIに丸投げ」でも「全部自分でやる」でもなく、その間に明確な線を引く——これが宮地さんのいう「業務基盤化」の出発点です。

宮地さんのAI Crewでも、入会後の最初のアハ体験は決まって「1週間の業務棚卸し」だそうです。

「Claude Codeに業務を渡そうとすると、”この作業って結局、何のためにやってるんだっけ?””ここの判断は人間が責任を持つべきだよな”という問いが自然に湧いてきます。受講生の中には、棚卸しをした段階で”そもそもやらなくてよかった作業”を3つ4つ見つけた方も多くいる。AI以前の話で、業務量がそこで一気に減ったりするんです」

切り分けのコツは、各業務について「インプット」「成果物」「これまで人間が下してきた判断ポイント」をすべて書き出すこと。たとえば「議事録作成」なら、インプットは”録音データ”、成果物は”議事録Markdown”、判断ポイントは「発言の要点を整理する」「発言者を特定する」「NG発言を除去する」「決定事項を見出しに昇格させる」——といった粒度で並べます。

ここまで書き出して、初めて判断ポイントをひとつずつ「AI・プログラムに渡せるもの/人間に残すもの」に振り分けられます。要点整理や見出し化はAIに、声質での発言者特定や社内文脈に依存するNG判断は人間に——こうして仕分けると、AIが回す工程と人間が確認する工程の境界線がひとめでわかります。

「ここをやらずにいきなりClaude Codeを起動するのは、何を任せて何を自分で見るかが曖昧なまま外注するのと同じ。何も進まなくて当然です」(宮地さん)

ちなみに宮地さんのAI Crewでは、この棚卸し&切り分け作業を伴走してくれる業務可視化GPTsを提供しているそうです。「何から書き出せばいいかわからない、という方はGPTsに対話しながら整理してもらうと早いです」

ステップ2|MCP・API・CLIで外部ツールとつなぐ

棚卸しが終わったら、次はClaude Codeを既存の業務ツールに接続するステップです。

ここで登場するのがMCP(Model Context Protocol)と呼ばれる仕組み。Claude CodeがNotion・Gmail・Google Calendar・Google Drive・Slack・マネーフォワード・Canvaといった外部ツールに、”安全な配管”で接続するための共通規格です。

「MCPは、Claude Codeに対して”あなたが触っていいツールはこれです”と教える地図みたいなものです。技術的には複雑そうに聞こえますが、実際にやることは設定ファイルにツール名を一行書き足すだけ。AI Crewの受講生でも、ここで詰まる方はほとんどいません」(宮地さん)

宮地さんの株式会社AI Orchestraでは、Slackの新着メッセージの要約、Gmailの下書き作成、Googleカレンダーの予定調整、Notionへの議事録自動保存、マネーフォワードでの請求書下書き、Canvaのデザイン更新——こうした業務をすべてMCP経由で連携させています。

「ChatGPTで”このメール文面どう思う?”と相談している人の作業が、Claude Code+MCPだと”そのメールの下書きまで作って、宛先を入れた状態でGmailに保存しておく”に変わります。AIが”質問に答える”段階から、”成果物を差し出す”段階に切り替わる瞬間です」

なお、MCPに対応していないツールも、API(Webサービス側が提供する開発用の接続点)やCLI(コマンドライン操作)でほぼ何でもつなぎ込めるとのこと。「世の中の業務ツールの95%は、何らかの形でClaude Codeにつなげます。ここで”うちの会社のツール、たぶん無理だろうな”と諦めなくていいです」(宮地さん)

ステップ3|自社の情報・独自ノウハウ=ナレッジを整備する

ツールとつながったら、次に必要になるのが「会社の情報・独自ノウハウ」をAIに渡すステップです。

「これがClaude Codeを”汎用AI”から”自社専属AI”に変える、一番大きな分岐点です」と宮地さん。ここでいうナレッジとは、たとえば次のようなものを指します。

会社のビジョン・ミッション・バリュー
顧客対応のトーン&マナー、よくあるFAQ
SNS運用の文体ガイド、過去のヒット投稿の特徴
製品・サービスの仕様書、価格表、契約書のひな形
社内で使っている用語集・略語集

ここで多くの方がつまずくのが、「会社のNotion等の全ドキュメントを丸ごとAIに読ませればいい」という発想だと宮地さんは指摘します。

「AIには”コンテキストウィンドウ”という”一度に読み込める情報量の上限”があります。自社の全資料をそのままダンプして放り込むやり方は現実的じゃないんです。仮に詰め込めても、肝心な情報がノイズに埋もれてAIの回答精度はむしろ下がります」

そこで登場するのが「コンテキストエンジニアリング」という技術です。

「プロンプトエンジニアリングが”質問の仕方”の技術だとすると、コンテキストエンジニアリングは”前提知識の渡し方”の技術です。どの情報を、どのタイミングで、どのような構造でAIに渡すかを設計できるようになると、Claude CodeのようなAIエージェントがタスクを遂行しやすくなる」

具体的なコツはふたつです。

コツ① 1ファイル1テーマを厳守する

ひとつのMarkdownファイル(.mdファイル)に複数のテーマを混ぜない。料金表.md には料金だけ、用語集.md には社内用語だけ、というように1ファイル1テーマで分けて置く。こうすることで、Claude Codeが「料金を確認したい」と判断した瞬間に、迷わず該当ファイルを読みにいけます。

コツ② 毎回読む情報と、必要なときだけ読む情報を分ける

Claude Codeが作業前に必ず読み込む設定ファイル(CLAUDE.md)には、毎回自動で読み込ませたい”憲法級”の指針だけを書き、業務別のガイド・テンプレート・データは別ファイルに切り出して、Claude Codeが必要時だけ取りに行けるようにします。

「ナレッジ整備のときに、同じ情報が複数のファイルに分散してしまうと、AIが競合する文脈を参照してしまい、出力が不安定になります。例えばProプランの料金が”こっちのファイルでは月額22ドル、こっちのファイルでは月額20ドル”みたいな状態だと、Claude Codeはどっちを信じればいいのか迷ってしまう」(宮地さん)

「Claude Codeを単発で使うか、業務基盤として使うかの違いは、ここで決まります。ナレッジが整っていない状態で使い続けると、毎回ゼロから自分の会社のことを説明することになる。これだと、外注先に毎回一から会社のことを説明し直すのと同じです」(宮地さん)

ステップ4|CLAUDE.md・Skills・サブエージェント・hooksで「ハーネス」を整える

ナレッジがそろったら、次はそれを”AIにとって使いやすい形”に組み上げるステップです。宮地さんはこれを「ハーネスを整える」と呼んでいます。

ハーネスとは本来、馬の引き具のこと。Claude Codeの場合は、AIが自社の文脈で動くための”装具一式”を意味します。具体的には4つの構成要素があります。

① CLAUDE.md(社内憲法)

Markdownとは、メモ帳で書けるシンプルなテキスト形式のこと。拡張子が「.md」のファイルで、Claude Codeは作業フォルダにこのファイルがあると、作業前に自動で読み込んでくれます。つまりCLAUDE.mdとは、「うちの会社は何を大事にしているか」「どんなトーンで成果物を作るか」「禁止事項は何か」などを書いておく、Claude Code向けの”社内憲法”です。「これを置いておくと、”このトーンで書いてください”と毎回指示しなくても、自動でそのトーンの成果物が出てくるようになります」(宮地さん)

② Skills(再現性のある手順書)

「議事録を作る」「請求書の下書きを作る」「SNS投稿を21本生成する」など、繰り返しやる業務の手順を書いたテキストファイルです。CLAUDE.mdと同じくフォルダに置いておくだけで、Claude Codeが参照しながら動いてくれます。一度書いておけば、何度でも同じ品質で再現できます。「人間の組織でいう”マニュアル化”と同じ発想です。Skillを増やすほど、Claude Codeが思い通りに処理してくれる業務が増えていきます」(宮地さん)

③ サブエージェント(専門スタッフ)

特定の役割に特化した専属AIエージェントです。株式会社AI Orchestraでは「ビジョン・ミッション・バリューの監査担当」「社内ファクトチェック担当」「YouTube制作物のレビュー担当」など、業務ごとに専門のサブエージェントを置いているそうです。「人間の組織と同じです。社長がすべての判断をひとりでやるのではなく、専門スタッフに任せる。サブエージェント機能は、まさに”AIによる専門スタッフ”を組織に配置するイメージです」(宮地さん)

④ hooks(自動トリガー)

hooksとは、「ある操作が起きたら自動でこの処理を動かす」という仕掛けのことです。たとえば、ファイルを保存したら自動でバックアップを取る、作業が完了したら自動でSlackに通知を送る、など。設定はテキストファイルに数行書くだけです。「ここまでハーネスを組み上げると、Claude Codeが”優秀な新人”から”うちの会社をよく知っている古参社員”に変わります。ここで初めて、業務時間が半分になる、という実感が出始めるはずです」(宮地さん)

ステップ5|寝ている間にも仕事が進む——定期実行(Routines)をマスターする

最後のステップは、宮地さんいわく「ご褒美フェーズ」です。

「ここまでの4ステップで、Claude Codeに任せられる業務はそろいました。あとは、それを”自動で繰り返し動かす”仕組みを作るだけ。これがRoutines(ルーティン)です」

Routinesとは、Claude Codeにスケジュールを持たせる機能です。「毎週月曜の朝8時に競合のYouTubeチャンネルを分析してSlackに送る」「毎週木曜の午前中にSNS投稿案を21本生成して保存する」「毎月1日に先月の売上データを集計して報告メールを下書きする」——こうした定期実行を組み込めます。

宮地さんの株式会社AI Orchestraでも、SNSの週次投稿、YouTube競合分析、月次経理レポート、議事録の自動整理など、多くの業務がRoutinesで自動化されており、人間の手は最終確認だけ、という状態が実現しているそうです。

「最初に体験する瞬間って、けっこう感動しますよ。朝起きてパソコンを開いたら、競合分析レポートが既に届いている。SNS投稿の下書きが昨日のうちに21本生成されている。”自分は寝てたのに、仕事が勝手に進んでた”——この体験をすると、もう以前の働き方には戻れません」(宮地さん)

ただし、いきなりRoutinesから手をつけてはダメ、と宮地さんは釘を刺します。「Routinesは、”既に成立している業務”を自動で繰り返し動かす機能です。ステップ1〜4が整っていない状態でいきなり定期実行すると、間違った成果物が毎週量産されることになる。順番は絶対に飛ばさないでください」

次の一歩——無料ライブセミナーのご案内

ここまでが、宮地さんが40以上の業務をClaude Codeに任せるまでにたどった”業務基盤化の5ステップ”の骨子です。

ただ、骨子だけでは「で、明日から具体的に何をやるの?」というところまでは見えてこないはず。「この記事は地図で、セミナーは現地ツアーです。実際にClaude Codeの実演を見ることで、イメージが湧くようになると思います」(宮地さん)

【無料ウェビナー】非エンジニアのための Claude Code 入門——コードが書けない経営者が、半分の時間で10人分の仕事をこなした方法

SNSを開くたびに流れてくる「Claude Codeで仕事が激変した」という投稿。ChatGPTなどのチャットツールの限界はわかっている。でも、そこで止まっている——。

当日は、記事で紹介した「業務時間1/2・10人分」の裏側を、実際のClaude Codeの画面を操作しながらお見せします。記事を読むだけでは伝わらない”AIが自動で仕事を進めて、人間は最終確認だけ”のリアルを、ぜひ体感してください。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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