📖 この記事で分かること
xAIがHermes AgentにX Premium連携を解禁したこと
Hermes Agentから直接X投稿を検索できる新ツールの仕組み
OAuthログインで利用できる5つのGrok機能の中身
既存のGrokサブスク利用者にとっての実利
💡 知っておきたい用語
Hermes Agent:Nous Researchが開発するオープンソースのAIエージェント。長期記憶を持ち、自律的にタスクを実行する
OAuth:APIキーを発行せずに、ブラウザログインで他サービスの権限を一時委譲する認証方式
最終更新日: 2026年5月18日
2026年5月15日、xAIは自社のGrokサブスクリプションを、Nous Researchが開発するオープンソースエージェント「Hermes Agent」内で直接利用できるようにしました。翌16日には@xai公式アカウントから、X Premium連携の拡大と、Hermes AgentからX投稿を検索できる新ツール「x_search」の提供開始がアナウンスされています。Grokの能力をオープンソースのエージェント基盤に乗せる動きで、AIエージェント周辺の勢力図に影響が出る可能性があります。
発表の要点とリリース日
今回の発表で押さえるべき事実は、対象者の拡大とX検索ツールの追加という2点です。
xAI公式のニュースページでは、Hermes Agentへの接続は「すべてのティアで利用可能」とされています。当初Grok向けOAuth連携はSuperGrok単独契約者向けの提供でしたが、X Premiumに含まれる無償Grokアクセス権を持つユーザーも、Hermes Agent内で直接モデルを認証できるようになりました。
Hermes Agent v0.14.0(2026年5月16日リリース、コードネーム「The Foundation Release」)では、SuperGrok OAuthプロバイダの提供に加え、grok-4.3のコンテキストウィンドウが100万トークンへ拡張されました(2026年5月時点)。同バージョンでは、X(旧Twitter)投稿検索を一級ツールとして組み込む「x_search」も導入されています。
Claude Opus 4.6も同様に100万トークンのコンテキストウィンドウを実装しており、長文処理における競争が激化しています:
Hermes Agentとは何か
Hermes Agentは、Nous Researchが2026年2月に公開した自己改善型のオープンソースエージェントです。
永続的に動作する自己改善型パーソナルアシスタントとして、ローカル端末や仮想環境上で動作し、セッションをまたいで長期記憶を構築できる点が特徴です。WhatsApp、Discord、Telegram、Slack、Signalといった主要メッセージングプラットフォームと接続でき、cronスケジューラを通じた定期実行や、サブエージェントの並列起動にも対応します。MITライセンスのオープンソースで、サブスクリプションや利用回数の上限はありません。
「複数のセッションを越えて記憶を蓄積する」という設計が、ステートレスな多くのチャットボットとの構造的な違いです。Grokのような対話モデルを、こうした記憶を持つエージェントに繋ぐと、毎回ゼロから説明し直す手間が消え、長期プロジェクトでの実用度が上がります。
OAuthで使える5つのGrok機能
統合の中身は、テキスト対話だけにとどまりません。
単一のOAuthベアラートークンが、xAIに直接アクセスするすべての機能で再利用される設計で、TTS・画像生成・動画生成・文字起こしを1度のログインでカバーします。Hermes Agent内でGrok契約者が利用できる機能は、Grok 4.3によるテキスト対話と高度な推論、テキスト読み上げのGrok Text-to-Speech、画像生成、動画生成、文字起こしの各機能で、すべてのGrok契約ティアが対象です。
技術的にはcodex_responsesアダプタを再利用しており、xAIが提供するResponses形式エンドポイントを使うことで、リーシング・ツール呼び出し・ストリーミング・プロンプトキャッシングがそのまま動作します。プロンプトキャッシングはx-grok-conv-idヘッダで会話コンテキストを保持する仕組みで、長時間セッションでのレイテンシとコストを抑えます。
X投稿検索ツール「x_search」の仕組み
Hermes Agentに追加された「x_search」は、エージェントがX上の投稿・プロフィール・スレッドを直接検索できるツールです。
バックエンドはxAIのResponses APIに組み込まれたx_searchツールで、Grokがサーバーサイドで検索を実行し、引用元の投稿へのリンク付きで合成された結果を返します。一般的なWeb検索とは区別して、X上の現時点の議論や反応、特定の主張を調べたいときに使う想定です。
主なパラメータ
内容
query
X上で検索する内容(必須)
allowed_x_handles
検索対象に含めるハンドル(最大10個)
excluded_x_handles
除外するハンドル(allowed_x_handlesと排他)
from_date / to_date
日付範囲(YYYY-MM-DD)
enable_image_understanding
投稿の画像をxAIに解析させる
enable_video_understanding
投稿の動画をxAIに解析させる
x_searchはデフォルトで無効化されており、hermes toolsコマンドで「🐦 X (Twitter) Search」を有効にする必要があります。SuperGrok OAuthとXAI_API_KEYのどちらの認証経路でも利用でき、両方が設定されている場合はOAuthが優先されます(APIキーの課金ではなく、契約クォータ側を消費するため)(2026年5月時点)。x_searchの推奨デフォルトモデルはgrok-4.20-reasoningです。
既存ユーザーが受ける実利
技術的な統合内容を、利用者目線の変化に置き換えます。
SuperGrok契約者にとっては、すでに支払っているGrok 4へのアクセスを、ツール利用とタスク連鎖、独立した動作が可能なエージェントフレームワーク経由でそのまま使えるようになるという、実質的な機能追加です。APIキーの発行、レート制限の管理、認証情報の使い回しといった手間が消えます。
X Premium+加入者にとっての変化は、より大きくなります。X Premium契約に含まれる無料Grokアクセス権を持つユーザーは、これまでGrok.com経由の単独契約者にのみ開放されていたHermes Agent連携を直接利用できるようになり、ローカルエージェントから先進的な計算能力を引き出すハードルが大きく下がります。
編集部の見方
評価軸を2つに絞って整理します。
オープンソースエージェントの陣取り合戦という観点: 直近のAIエージェント市場は、OpenAIのOpenClaw、AnthropicのClaude Code、Hermes Agentが主要選択肢です。Hermesは、OpenAI vs xAIの代理戦争の場として位置付けられているという見方もあります。xAIが自社製エージェントを別途展開せず、外部のオープンソース基盤に乗せる戦略を選んだ点は、配布の早さと開発者エコシステムへの食い込みを優先した判断と読めます。
コスト構造の変化という観点: これまで「APIキーで従量課金」「サブスクで定額」が分かれていた領域に、サブスクの定額枠をエージェント経由で消費するルートが正面から組み込まれた形です。長時間動作するエージェントは推論コストが膨らみがちで、APIキーで運用すると月額が読みにくいという問題がありました。サブスク経由なら、コストの上限が見える状態でエージェントを動かせます。
向く読者像: すでにSuperGrokまたはX Premium+に課金しており、エージェントによる自動化(定期実行・複数チャネル連携・長期メモリ)を試したい層に向きます。逆に、Grok自体を未契約で純粋にツール比較のために試したいだけのユーザーには、まずHermes Agent自体を自前のOpenAIなど他プロバイダで動かす方が早いはずです。
AIエージェント開発ツールの民主化は他分野でも進んでおり、Googleが提供するAntigravityも同様にノーコードでエージェントを構築できる環境を提供しています:
まとめ的なポイント
xAIとNous Researchの統合は、サブスクの定額枠をエージェント側にそのまま流し込むという、一見地味ですが運用上の影響が大きい変更です。X投稿のリアルタイム検索が一級ツールとしてエージェントに組み込まれた点も合わせると、「X上の議論を、エージェントが永続的に追って通知する」といった用途が現実的な選択肢に入ります。すでに該当サブスクに加入しているユーザーは、追加コストなしで試せます。
よくある質問
Q: 既存のSuperGrokやX Premium+の追加課金は必要ですか?
A: 不要です。OAuthログインで既存サブスクリプションがそのまま利用でき、APIキーの発行や別途の課金は発生しません(2026年5月時点)。
Q: x_searchはデフォルトで使えますか?
A: いいえ、デフォルトでは無効です。hermes toolsコマンドから「🐦 X (Twitter) Search」を有効化し、xAI認証(OAuthまたはAPIキー)を済ませる必要があります。
Q: x_searchと一般的なWeb検索はどう使い分けますか?
A: X上での現時点の議論・反応・主張を調べたい場合はx_searchを、一般的なWebページを参照したい場合はweb_search/web_extractを使う想定です。両者は別のツールとして共存します。
まとめ
xAIは2026年5月15日にHermes AgentへのGrok連携を解禁し、翌日にはX Premium+加入者への対象拡大とX投稿検索ツールを追加しました。grok-4.3は1Mトークンのコンテキストへ拡張され、テキスト・TTS・画像・動画・文字起こし・X検索が単一OAuthトークンで利用できます。既存のSuperGrokまたはX Premium+加入者は、追加コストなしでエージェント基盤上での自動化を試せる状態になっています。
【用語解説】
SuperGrok: xAIが提供するGrokの上位サブスクリプションで、SuperGrok HeavyではGrok 4 Heavyなど最上位モデルへアクセスできる(2026年5月時点)
Responses API: xAIが提供するエンドポイント形式。リーシング、ツール呼び出し、ストリーミング、プロンプトキャッシングを統合的に扱える
OAuth 2.0 PKCE: パブリッククライアント向けのOAuth拡張仕様で、ブラウザログインを安全に処理する。Hermes Agentはaccounts.x.aiに対してこの方式でログインを行う
引用元:
この記事について: AI 支援で執筆、編集部が事実確認・編集しています。誤りや追加情報があれば Contact よりお知らせください。
関連