OpenAI、Anthropicが躍進する法人市場で巻き返し攻勢。「AI導入支援コンサル」新会社にテック業界の反応は? | Business Insider Japan

OpenAI illustrationOpenAIはゴールドマン・サックスら世界有数の19社と提携し、企業のAI導入支援に特化した独立会社を設立した。Samuel Boivin/NurPhoto via Getty ImagesOpenAIが、企業のAI構築・導入を支援するコンサルティングに特化した新会社を設立したと発表した。新会社「OpenAI Deployment Company」は設立にあたり、40億ドル(6320億円)超の初期投資を受けた。これは、AIモデルの開発企業がエンタープライズ市場での覇権を握るために、いかに積極的に動いているかを示している。

Anthropicがシェアを急拡大させている法人市場に、OpenAIが積極的な攻勢をかけている。

5月11日、OpenAIは「企業の組織によるAIシステムの構築・導入を支援する」ことを目的とした独立会社「OpenAI Deployment Company」の設立を発表した。

OpenAIに加え、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、カナダの投資ファンド大手ブルックフィールド(Brookfield)、ベイン・キャピタル(Bain Capital)など19社が共同でこの新会社を立ち上げた。同社は40億ドル(6320億円、1ドル=158円)超の初期投資を受け、プレマネー評価額(資金調達前の企業価値)100億ドル(1兆5800億円)でスタートを切ることになる。

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発表に合わせ、OpenAIはAI導入のコンサルティングとエンジニアリングを手掛けるトモロ(Tomoro)を買収したことも明らかにした。

これにより、新会社は約150人のForward Deployed Engineer(FDE、顧客先でAIの実装・支援を担うエリートエンジニア)という強固な布陣を得ることになる。FDEは、データ分析プラットフォームを手掛けるAI企業パランティア(Palantir)が広めた職種だ。自社のニーズに特化したAIツールを求める大企業の急増によって、いまやAI関連ビジネスで最も注目を集める仕事の1つとなっている。

この新会社について、AI・テクノロジー業界の識者たちはどのような見解を示しているのか。以下に紹介する。

Box CEO Aaron Levie on stage.Box CEOのアーロン・レヴィ氏。Bloomberg/Getty Images新たなビジネス・雇用生むチャンス

Box(ボックス)のCEO、アーロン・レヴィ(Aaron Levie)氏は、現時点でサービスとFDEに対する大きな需要があると指摘している。

レヴィ氏はXでOpenAIの発表に言及し、「これを実現するには、技術的な課題に加え、業種固有の業務プロセスといった膨大な作業が必要だ」とコメントした。「この変革を推進するために、新たなサービスプロバイダーや社内チーム・職種が生まれる極めて大きなチャンスだ」。

一方で、自律的に判断・行動するエージェント型AIの時代に企業が適応するために必要な変革は、どれも「技術的には決して容易ではない」と指摘する。

「まずはインフラとデータを最新化し、エージェントに対応できる状態に整える必要がある。アクセス制御、権限付与、各種のアクセス許可は、エージェントと人間の双方にとって、適切に機能するよう設計し直さなければならない」と、彼は続けた。

「エージェントが適切なコンテキスト(文脈)を踏まえて動けるよう準備し、モデルのアップグレード時には継続的にエージェントを評価・保守することも必要だ。さらに、どの部分を人間が担い、どこをエージェントに任せるかを決めるため、プロセス自体の変革管理も進めなければならない」

NVIDIA sign今回の発表はエヌビディアのバイスプレジデントも注目している。Gina Hsu/Shutterstock法人企業の心をつかむ鍵

エヌビディアのハードウェア担当バイスプレジデント、サニー・マドラ(Sunny Madra)氏は「サービスとソリューションこそ、法人企業の心をつかむ鍵だ」と語った。

最先端AIと現実世界のギャップを埋める

Bキャピタルのジェネラルパートナー、ヤン=デビッド・”ヤンダ”・エーリッヒ(Yan-David “Yanda” Erlich)氏は、AIモデルの急速な進化に対応できている企業は「ほとんどない」と指摘する。

エーリッヒ氏はXに「@OpenAI Deployment Companyは、最先端の性能と現実世界における実装との間のギャップを埋めるために設立された」と投稿した。

また、OpenAIの新会社でBキャピタルが果たす役割についてもアピールした(ボストン・コンサルティング・グループ〈Boston Consulting Group〉と戦略的提携を結んでいるBキャピタルは、OpenAI Deployment Companyの創設パートナーに名を連ねている)。

ロボティクスの未来に与える影響

アメリカ・イノベーション財団のシニアフェロー、ディーン・W・ボール(Dean W. Ball)氏は、OpenAI Deployment Companyの存在がロボティクスの未来にどのような影響を与えるのかについて、Xで率直な疑問を投げかけた。

「数多くの新たな産業現場でロボティクスが『現実のもの』となったとき、今回のような取り組みは、20世紀初頭に見られた産業融資会社へと姿を変えていくのではないだろうか。つまり、第二次産業革命のテクノロジーに乗じようとする企業に対して金融商品を提供するような存在に」

マイクロソフトはなぜ関心を示さない?

ベテランのテクノロジーアナリスト、カロリーナ・ミラネージ(Carolina Milanesi)氏は、マイクロソフト(Microsoft)がなぜこのサービス領域に関心を示していないのかと疑問を呈した。

「マイクロソフトは『フロンティア・ファーム(AIを高度に活用する先端企業)』という概念を生み出しておきながら、企業をその境地へと導くサービス層には全く食指を動かしていない」と、ミラネージ氏はXに投稿した。

「彼らの最大のAIパートナーがまさにその隙間に入り込んだ。新会社の資本構成表には、元トモロのFDE150人、マッキンゼー(McKinsey)、ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Company)、キャップジェミニ(Capgemini)が名を連ねている」

FDE需要が飛躍的に高まっている

求人検索とAI研修プラットフォームを手掛けるハンドシェイクAI(Handshake AI)の戦略プロジェクト責任者マシュー・ラム(Matthew Lam)氏は、OpenAIの発表がFDEの雇用市場に与える意味に着目した。

「FDEに対する需要が飛躍的に高まっている」とラム氏はXに投稿した。

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