Acer(エイサー)から、CPUにインテルの「Core Ultra シリーズ 3」プロセッサを搭載し、AI処理に対応する「Copilot+ PC」に準拠した16型ノートパソコン「Acer Swift 16 AI」の2026年モデルが登場しました。
直販価格は、ズバリ税込み31万9,800円。なかなかの強気価格ですが、その価値やいかに。米GIZMODOのMadeline Ricchiuto氏がレビューしています。
最新CPUと16型OLEDの高価格ノートPC
Image: Raymond Wong / Gizmodo
アルミニウム製の筐体が目を引く「Swift 16 AI SF16-71T-H73Z/E」ですが、MacBookほどのアイコニックさはないかもしれません。しかしその機能と性能は、ブランド認知度よりも幅広いアプリ対応や優れたゲーム体験を重視するユーザーにとって、魅力的な選択肢となるでしょう。
Acer「Swift 16 AI SF16-71T-H73Z/E」
価格:31万9,800円(税込)
好きなところ:優れたゲーム性能と動画編集性能、軽量、鮮やかなOLEDディスプレイ、1日中使えるバッテリー
微妙なところ:使い心地の悪いキーボード、タッチパッドが大きすぎる
タッチ操作に対応した16型の有機ELディスプレイを搭載し、最大約24時間のバッテリー駆動に対応しながらも、約1.5kgの軽量ボディと最薄部約10.61mmのスリムな設計を実現しました。ただしその大きさゆえに、いくつか不便な点があるのも正直なところです。
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まず目を引く大型のタッチパッドは、付属のスタイラスペンとの相性は抜群な一方、タイピングがしづらいという面もあります。また、超薄型デザインのキーボードはけして快適とはいえないキータッチ。これらの点が気になる方は、より小型の14型Swift AIノートパソコンを選ぶのが賢明かもしれません。
Acer Swift 16 AIには2つのモデルがあり、どちらもインテルの「Core Ultra X7 358H」プロセッサ、「Arc B390」グラフィックス、ストレージに1TB SSD、16型の120Hz 3K 有機EL(2880×1800ドット)ディスプレイを搭載しています。2モデルを区別する唯一の違いはRAMの容量で、16GBと32GBが選べます。
メモリ不足が続く中、16GBモデルは1,599ドル、32GBは1,799ドル。確かに高額ですが、インテルの「Panther Lake」こと「Core Ultra シリーズ 3」搭載のノートパソコンの中では比較的安価な部類に入り、とりわけ最上位モデルであればなおさら。とはいえ、Core Ultra シリーズ 3を搭載したより優れたモデルは他にもあります。
超薄型で、充実した入出力ポート
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では、Swift 16 AIの特徴を詳しく見ていきましょう。
アルミニウム製のシンプルなデザインは、控えめで上品さがあります。可もなく不可もなくといったところでしょうか。
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本体サイズは、幅355.25 × 高さ14.85 × 奥行245.4mmと超薄型ながら、入出力ポートは豊富です。ボディ左手側にUSB 4 Type-Cポートを2つ、USB 3.2 Type-Aポート、HDMI 2.1ポートを1つずつ、右手側にもUSB 3.2 Type-Aポートと3.5mmオーディオジャック、microSDカードリーダーを1つずつ備えています。
解像度2,880×1,800ドットのCineCrystal有機ELディスプレイは十分な明るさと鮮やかさを備えており、優れたビデオストリーミング体験を提供します。しかし、光沢のあるCineCrystalディスプレイは、輝度が350ニト強しかないため、真昼の明るい場所では見づらいかもしれません。
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ウェブカメラの解像度は1080pと、ほとんどのオンライン会議には十分ですが、カメラの前でプレゼンテーションを行う場合は物足りないかもしれません。AcerのPurified VoiceとPurified Viewは、AIによる調整で内蔵マイクとウェブカメラの画質を向上させるのに役立ちますが、アップスケーリングしたとて限界はあります。
なお、カメラには物理的なプライバシーシャッターが付いています。
「大きけりゃいい」という訳でもない
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Swift 16 AIは「世界最大」の触覚フィードバック付きタッチパッドを搭載していると謳っており、確かにその大きさは圧倒的。この特大タッチパッドはパームレストの大部分を占めており、付属のアクティブスタイラスとの併用にはバッチリです。
スタイラスペンは単6電池1本で動作し、ボタンが2つ内蔵されたシンプルなつくりです。惜しいのは、スタイラスペンを収納する場所がなく、カバーにマグネットで固定することもできないため、紛失しやすいことでしょうか。
Swift 16 AIをグラフィックデザインに使う予定なら、特大タッチパッドは非常にありがたい機能でしょう。デジタルブラシで大きくストロークしたり、細かい調整をしたりするのに十分なスペースがあります。アクティブスタイラスは基本的なデジタルデザインツールで快適に動作しますが、プロのデザイナーにとっては機能が不足していると感じるかもしれません。
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タッチパッドが大きくなったことでスタイラスペンでの作業は格段に楽になったものの、タイピングの快適性は犠牲になりました。パームレストのスペースをかなり占有してしまうため、意図しない手のひらでの誤入力が頻発します。
キーボード自体に特筆すべき点はなし。Swift 16 AIは非常に薄いため、キーストロークが浅く、タイピングの満足度はやや低め。テンキーが付いている点は個人的に嬉しかったです。
「Core Ultra X7」はオーバースペックかも
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搭載された「Core Ultra X7 358H」は、インテルの最上位プロセッサのひとつであり、強力なマルチコア性能と高性能なB390統合グラフィックスチップを誇ります。このCPUを搭載することで、ノートパソコンでありながらワークステーション並みの性能を、はるかに軽量かつ低価格で実現しています。
これまで出たX7シリーズでより高性能なモデルはありますが、ほとんどのユーザーにとってSwift 16 AIは間違いなくオーバースペックです。Swift 16 AIはゲーミングノートPCでもコンテンツクリエイター向けでもないため、Core Ultra X7のスペックを活かす用途は想像しづらいかもしれません。
では、X7はどれほど優れたチップなのか。米GIZMODOが行ったベンチマークテストによると、Geekbench 6 CPUテストのマルチコア設定では、M5 MacBook Proと比較して約11%劣るパフォーマンスを示しました。しかし、「Core Ultra 7 256V」を搭載した前世代のAcer Swift 16 AIよりは大幅に改善されています。Cinebench 2024のようなCPUレンダリング テストでは、40%近く改善が見られました。Blenderでのテストでは、2024年モデルのAcer Swift 16よりもBMWのシーンをレンダリングするのに2分近く短縮されました。
X7 CPUとArc B390統合GPUは、3DMarkスイートのようなグラフィック負荷の高いテストで真価を発揮し、Swift 16 AIはM5 MacBook Proと同等のパフォーマンスを示しています。一方、Asusの「Zenbook Duo」 2026年モデルに搭載されたIntel Core Ultra X9とArc B390は、3DMarkの「Steel Nomad」や「Time Spy」といった高性能ゲームベンチマークテストで、Swift 16 AIよりも約17%高速でした。
Swift 16 AIは、M5 MacBook Proと同様のグラフィック性能を持つかもしれませんが、X7のおかげで、より多くのWindowsゲームにアクセスできるため、ゲーマーにとっては少し良い選択肢となるはずです。
以上の点から、Swift 16 AIもMacBook ProのM5チップと同様に、あらゆる用途に対応できる万能機と言えるでしょう。しかし、どれにも最適かと言われれば否。器用貧乏になりがちな多くの他製品と同様に、Swift 16 AIも「どれも一流ではない」という位置づけに留まっています。
バッテリーはぼちぼち
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X7プロセッサのバッテリー効率ですが、Swift 16 AIに搭載された16型120Hz・3K有機ELディスプレイは、やはりバッテリー駆動時間に多少の妥協を強いています。インテルはPanther Lakeプラットフォームで最大17時間の実用バッテリー駆動を約束し、中にはその予測を上回るデバイスもありますが、Swift 16 AIは目標に達していません。
実際、文書作成や連絡、写真編集といった作業を8時間フルタイムでこなした日は、バッテリー残量30%を残したまま問題なく乗り切れました。が、Swift 16 AIに1回の充電で丸2日間の業務に耐えられるような体力はありません。
スタイラスペンとの相性を重視したノートPCをお探しなら、AcerのSwift 16 AIは理想的な選択肢かもしれません。それ以外を求めるのであれば、物足りないのが正直なところです。
Panther Lake搭載のノートPCなら、Swift 16 AIより優れた機種は他にあります。テンキー付きの大型キーボードを備えていますが、キーストロークが浅すぎて快適とは言えず、スタイラスペンでの使用を想定した大型タッチパッドは、長時間のタイピングには不向きです。
悪くないけど、あと一歩
Image: Raymond Wong / Gizmodo
個人的には、Swift 16 AIは、CPUにXではなく「Core Ultra 300」シリーズか「Wildcat Lake」を採用して、価格を下げてもよかったのではと思います。
加えて、Swift 16 AIが折りたたみではなく2-in-1ノートPCだったら、CineCrystal有機ELディスプレイの魅力はもっと際立ったはずです。2-in-1なら、付属のスタイラスペンもより活きたのでは。総合して考えると、お金を節約してM5 MacBook Airを購入するか、 Dell XPS 14のような別のPanther Lake搭載ノートPCを選ぶほうが現実的です。
もちろん、Swift 16 AIは決して悪いノートパソコンではありません。しかし、価格や性能など、Swift 16 AIにはもっと期待していました。デザインを少し変更すれば、来年のSwift 16 AIは本格的なメインストリーム向けノートPCの有力候補になるかもしれません。