
ソニーは2026年5月8日の決算説明会で、ソニーがAIをどう考えているか、特にPlayStation向けゲーム制作におけるAIの評価について言及しました。ソニーはAIを「強力なツール」と呼びつつも、AIはスタジオやクリエイターの能力を補強するためのものであり、取って代わるものではないと述べています。
経営方針および業績に関する説明会 | ソニーグループポータル
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/presen/er/
PlayStation sees AI as a ‘powerful tool’ to help make games | The Verge
https://www.theverge.com/games/926914/sony-playstation-ai-powerful-tool-games
生成AI技術の発達によって、ゲームにAIが生成したコンテンツが利用されるケースが増えています。Googleは2025年に「ゲーム開発者の90%がすでにワークフローでAIを活用している」という調査結果を発表しているほか、Steamでは2025年7月時点で全体の7%に当たる7818本、2025年リリースのタイトルは最低でも約20%が生成AIの使用を公表していました。一方で、ゲーム内にAIが生成したアートワークが含まれることで批判を受けることもあり、一部のインディーゲームスタジオは「AIフリー」を大々的に打ち出してAIを使用せずにゲーム開発を行っていることをアピールしています。
大手ゲーム企業でAI導入が加速もインディーゲーム界隈では「AIフリー」が新たな売り文句として広まっている – GIGAZINE

そんな中、ソニーが2026年5月8日に実施した2025年度版決算説明会で、ソニーグループの十時裕樹CEOが経営方針スピーチでAIに関する考え方について詳細を語りました。
十時氏はまず、「ソニーグループのさらなる成長を考える上で、AIは最重要テーマのひとつです。特にソニーグループの各事業にとって、AIは新たな価値創出を促し、エンタテインメント領域で新しい成長機会を生み出す可能性があります」とAIが事業に重要な役割を果たすと語りました。AIは単なる効率化にとどまらず、これまでコストや時間の制約から挑戦が困難だった革新的なプロジェクトにも取り組みやすくなることでエンタメの世界に新たな機会をもたらし、創造性を広げ、クリエイターを力強く支えるものと捉えているとのこと。
その上で、十時氏は「私たちは人のクリエイティビティが常に中心であるべきだという考えを大前提にしています」と述べ、「AIは強力なツールですが、アーティストやクリエイターに取って代わるものではありません。人の想像力を広げ、これまでにない可能性を引き出すカタリスト(状況を変える材料)であると考えています」とAIが人間を強力にサポートするものであると強調しています。

また、十時氏は「人間の想像力、創造性、感情そのものを置き換えることはできません。優れたコンテンツは、個人の深い経験や独自の視点、そして何かを伝えたいという強い動機から生まれます。強い感情的なつながりを生む物語やキャラクター、世界観にファンは惹かれます。最も記憶に残る体験は、これからも人によって生み出され、人によって楽しまれるものだと私たちは考えます。AIはそのプロセスを支援できますが、人間の想像力、創造性、感情そのものを置き換えることはできません」とAIが代替できないクリエイターの能力について語っています。
経営方針スピーチでは続いて、ソニー・インタラクティブエンタテインメント社長の西野秀明氏がゲーム領域での取り組みをAIがどのように強化しているか語りました。西野氏によると、AIはプレイヤーにとってはこれまでにないゲーム体験を、パブリッシャーにはより効率的な開発環境と作品をユーザーに届ける可能性を提供できると考えているそうです。時間のかかる手作業をAIがこなしてくれることでクリエイターが豊かな世界観やゲーム体験に時間をかけられたり、より高度な個性を持つNPCがゲーム内に実装できたりします。例えば髪の毛のアニメーションは膨大な本数の髪の毛を扱うため非常に手間のかかる工程ですが、AIが数百本の髪の毛の3Dモデルを生成することで、大幅な効率化を実現しているそうです。

ソニーが開発した「Mockingbird」は、パフォーマンスキャプチャから高品質な3Dのアニメーションを瞬時に生成するため、従来は数時間でかかっていた作業がわずかな時間で完了します。また、Mockingbirdを使用してゲームキャラクターにAIを統合する技術に取り組んでいることも報じられています。
ソニーがプレイヤーと会話できるAI搭載キャラクターのプロトタイプに取り組んでいる – GIGAZINE

西野氏は「私たちはAIがもたらす可能性を信じています。AIは、スタジオの創造性をさらに引き出し、より洗練されたプラットフォーム体験を実現し、プレイヤーとクリエイター双方の体験を高めていきます。世界中のプレイヤーコミュニティ、豊富なIP資産、そして統合されたエコシステムにAIの力をかけ合わせることで、これからも最先端のエンタテインメント体験を提供していきます」と語りました。
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