トルコ空軍、国内で開発中の第5世代戦闘機 KAAN Block10を正式発注

トルコ航空宇宙産業は開発を進めているKAAN Block10に対して空軍から正式発注(20機)を獲得、さらにスペイン空軍のF-5BM後継機としてHürjetを売り込むことにも成功し、初めて開発した第5世代戦闘機と高等訓練機でビジネス上の成功に近づきつつある。

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トルコ航空宇宙産業(TAI)は2025年5月、AviationWeekの取材に「トルコの安全保障に対する脅威評価に基づき、空軍はF-35であろうとタイフーンであろうと一定レベルの能力と即応性を維持しなければならないが、50年~100年後まで独立を維持するには自前の防衛装備品をもつ必要がある」「国産エンジンを開発することで米国の国際武器取引規制=ITARからKAANを出来るだけ除外することが重要だ」「同時にトルコはITAR Freeによってプラットフォーム輸出における自由裁量権を獲得できる」と力説。

トルコにとって本格的な戦闘機開発は初めて、しかも第5世代機とエンジンを同時並行で開発するため潜在的な開発リスクは非常に高く、競合するF-35Aと同等もしくは匹敵する能力を実現できるかは現段階では不透明であるが、トルコは地域大国から大国になることを目指しているため「KAANの能力が仮にF-35Aの80%に留まったとしても武器システムの主権確保の方が重要」と主張しており、初期型は米国際武器取引規制(ITAR)の縛りがあるF110搭載バージョン、後期型は国産エンジン=TF35000を含む米国製技術を完全に排除したITAR フリーバージョンになる予定だ。

KAANのプロトタイプはF110を搭載して2024年2月に初飛行したものの、この機体=P0は元々「格納庫でのロールアウト用に製造されたデモンストレーションプラットフォーム」を飛行可能なように改造したもので、飛行テストを行う本物のプロトタイプ=P1、P2、P3を製造中、これよりも高度な能力を備えたプロトタイプ=P4、P5、P6の製造も計画されており、KAANのプロトタイプ=P1は2026年6月まで初飛行を行うらしい。

The Turkish defense industry has become an ecosystem that is sought after, trusted, closely monitored, and preferred not only in its region but on a global scale.

Undoubtedly, Turkey is one of the founding actors of the new era, in which conventional power elements are being… pic.twitter.com/YlwySloixS

— SAHA 2026 (@SahaExpo) May 9, 2026

トルコ国営通信は6日「国防産業事務局は防衛見本市=SAHA 2026でTAIとKAAN調達契約を締結した」と、Breaking Defenseの取材に応じたTAIのメフメト・デミログル最高経営責任者も「最初の契約はKAAN Block10に対する20機の発注だった」「今後、発注数は増えていくと予想している」と明かし、インドネシアに続きトルコもKAANを正式発注した。

ちなみに、Airbusとスペイン企業15社で構成されたコンソーシアムとトルコ航空宇宙産業は2025年5月「航空機設計、製造、訓練に関するノウハウをHürjetに統合する協定を締結した」と発表、スペインのロブレス国防相も「F-5BMの後継機はトルコとHürjetベースで共同開発する」「このプログラムに13.7億ユーロ=約2,320億円を投資して2028年までに最初の6機を受け取る」「共同開発を通じて設計権限を取得する」と発表。

An Airbus-led group of Spanish companies presented today the industrial programme of the @EjercitoAire‘s new Integrated Combat Training System. Based on a co-development agreement between Airbus, as the prime contractor, and @TUSAS_EN, as the manufacturer of the Hürjet training… pic.twitter.com/0SSgeL8fYN

— Airbus Defence (@AirbusDefence) April 28, 2026

Airbusは4月28日「エアバスを中心とするスペイン企業グループは本日、スペイン空軍の新型統合戦闘訓練システム(ITS-C)の産業プログラムを発表した」「2025年12月に契約が締結された本プログラムは現在運用されているF-5を置き換えるもので、プログラムの請負比率でスペイン産業が60%を占める予定だ」「2028年に開始する第一段階では最初の21機納入に重点が置かれる」「第二段階では発注済みの残り9機を含む計30機がスペイン規格に改修され、シミュレーターも最新バージョンに更新される予定だ」「スペイン規格(SAETA II)の納入は2031年から開始される」と発表。

要するに最初の21機はオリジナルのHürjetに近い構成で導入され、残り9機はAirbus製ミッションシステムを搭載してスペイン空軍の訓練ニーズを満たす統合訓練システムになり、最初の21機も改修されてスペイン規格(SAETA II)に統一されるという意味だ。

出典:Airbus

Airbusはスペイン規格(SAETA II)について「Hürjetをベースにした複座型の超音速機で、タイフーンや将来戦闘システムへのスムーズな移行を可能にする」「訓練だけでなく軽戦闘機としても運用可能でデジタルコックピットと多用途性により、軽攻撃や偵察任務のための費用対効果の高いプラットフォームだ」と述べており、トルコ航空宇宙産業は初めて開発したKAANとHürjetでビジネス上の成功に近づきつつある。

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※アイキャッチ画像の出典:Turkish Aerospace Industries