「GAFAMとは違う」NEC副社長がアンソロピックに見た衝撃。AI時代にコンサルはどう生き残るのか | Business Insider Japan

パートナーシップ4月23日、NECがアンソロピックとのグローバルパートナーシップを締結した。撮影:松本和大

「法務面で議論が止まりそうになる場面でも、向こうが『進めよう』となれば、1時間後にはもう返事が来る。これはすごいですよね」

NECの吉崎敏文副社長は、アメリカのAI企業・アンソロピック(Anthropic)との交渉をそう振り返る。同氏が強く印象に残ったと語るのは、アンソロピックの意思決定の速さだ。

その速さは、合意までの期間にも表れている。NECは本格交渉が始まってから「わずか3週間」(吉崎氏)で、日本企業として初めてアンソロピックとのグローバルパートナーシップ契約に合意した。

NECの吉崎氏NECの吉崎氏。撮影:松本和大

NECは4月22~24日にAI関連の発表を相次いで行い、AX(AIトランスフォーメーション)推進事業「BluStellar(ブルーステラ)」の強化を打ち出した。その中で象徴的だったのが、前述のアンソロピックとの提携だ。

だが、今回の発表で見えてきたのは、外部AI企業との提携そのものにとどまらない。Tech Insiderでは吉崎氏への単独取材を実施。そこから、NEC自身がAI時代に合わせて仕事や組織をどう変えていくか、が示された。

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NECが見た「AIネイティブ」企業の速さNECとアンソロピックのパートナーシップNECはアンソロピックのパートナーシップにより、顧客向けのAI活用支援を強化する。撮影:松本和大

吉崎氏はアンソロピックとの提携交渉について、双方が価値を見出したものだったと語る。

NECにとっては、最先端のAI企業と組むことで、BluStellarを通じた顧客向けのAI活用支援を一段引き上げる狙いがある。一方、アンソロピックにとっても、日本市場で特定領域に深く入り込むうえで、NECの顧客基盤や社会インフラ領域での実績は意味を持つ。

「アンソロピックは、日本市場への展開を本格化させようとしている企業です。アジアで最初のオフィスを日本に置いたことからも、日本市場への関心は高い。

そうした中で、長年インフラを提供してきた経験値があり、官公庁や政府、防衛領域にも強いNECなら安心だと考えたのではないか。複合的に見て、NECと組む意味があったのだと思います」(吉崎氏)

吉崎氏がさらに踏み込んで語ったのは、意思決定の速さの背後にある、アンソロピックの組織としての動き方そのものだった。

24日の発表会では、アンソロピックのポール・スミスCCOがビデオメッセージを寄せた。吉崎氏によると、スミス氏は世界中を飛び回る分刻みのスケジュールの中でメッセージを届けたという。こうした対応も含め、吉崎氏は同社の動き方に従来の企業とは異なるスピードを感じたようだ。

ポール・スミスCCOアンソロピックのポール・スミスCCO。撮影:松本和大

「これまでのGAFAM(グーグル、アップル、メタ、アマゾン、マイクロソフトの総称)とは違う。まさに彼ら(アンソロピック)はAIネイティブなんです。そのカルチャーこそ、我々が学ぶべきだと」(吉崎氏)

吉崎氏の言う「AIネイティブ」は、単に技術だけを指す言葉ではない。プロダクトや事業に近い領域へ人員を集中させ、比較的少ない人数で世界的なインパクトを生み出す。そうした組織の機動力といった意味も込められている。

もちろん、NECがアンソロピックと同じ組織のあり方をそのまま目指す、という話ではない。NECは社会インフラや官公庁、企業の基幹システムに深く関わってきた企業であり、事業領域も顧客との関係も異なる。

それでも、AIを業務や意思決定の中に深く組み込めば、組織の動かし方は変えられるのではないか。吉崎氏の発言からは、アンソロピックの姿を、AI時代の組織運営を考えるうえでの示唆として受け止めていることが見えてくる。

「コンサルの仕事」はAIで不要になるのか新組織NECはAI・データコンサルの新組織を立ち上げた。撮影:松本和大

アンソロピックの「少人数で高速に動く組織」のあり方は、NECにとって自社の人材や仕事の進め方を見直す材料にもなる。

AIで代替できる仕事が増えたとき、人間は何を担うのか。特に問われるのが、コンサルティングや開発の仕事だ。

NECは今回、AI・データコンサル専任約250人の新組織を立ち上げた。DX推進を担ってきた戦略コンサル約120人と、研究所のデータサイエンティストやデータエンジニア約130人を統合。グループ企業のアビームコンサルティングと合わせて、上流工程からAXを支援する体制を構築する。

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コンサルそのものは「不要になるわけではない」