アマゾンCEO アンディ・ジャシーBloomberg/Getty Imagesアマゾンは2年以内にTrainium AIチップを外部顧客向けに販売開始する可能性がある。同社はTrainium AIチップの売上コミットメントが2250億ドルに達したことを明らかにした。アマゾンは今年2000億ドルの設備投資を計画しており、AI事業に積極的な投資を行っている。
アマゾンは、Trainium AIチップを2年以内に外部顧客へ販売開始できると述べており、これによりクラウド大手はエヌビディアとの競争がより直接的になる。
4月29日の決算説明会でCEOのアンディ・ジャシーは、「今後数年以内に」自社クラウド以外にもTrainiumチップのフルラックの提供を開始する「可能性が高い」と述べた。これは、4月の株主向け書簡で拡大は「将来的に」実現し得ると述べるにとどまっていた発言に、より具体的な時間軸を与えるものだ。
アマゾンの広報担当者はBusiness Insiderに対し、同社が具体的な時間軸を示したのは今回が初めてだと確認した。
現在、TrainiumはAmazon Web Services(AWS)を通じたクラウドサービスとしてのみ利用できる。同社はインターネット経由で、このAIコンピューティングパワーへのアクセスを提供している。
Trainiumチップの物理的なラックを販売することは、事実上アマゾンをチップ企業へと転換させる抜本的なビジネスモデルの転換となる。また、エヌビディアとのより直接的な競合関係をもたらすことにもなる。アマゾンはクラウドサービス向けにエヌビディアのGPU供給に依然として大きく依存しているため、これは潜在的に微妙な状況だ。
「我々が製造する分をすべて消費しようとする企業からの需要が非常に大きく、どれだけ割り当てるかを決めなければならない」と、ジャシーは説明会で述べた。
ジャシーはさらに、OpenAI、アンソロピック(Anthropic)、Uberなどの企業からのクラウドサービスを通じた「売上コミットメント」がTrainiumで2250億ドル(約35兆円)に達したと述べたが、契約期間については明らかにしなかった。より広い観点では、ジャシーはTrainium AIチップとGraviton CPUにわたる拡大するポートフォリオを挙げ、アマゾンは現在「世界トップ3のデータセンターチップ企業の一つ」だと述べた。
「我々は今まさに目の当たりにしているこの転換点に対して、非常に有利なポジションにある」とジャシーは述べた。
アマゾンの株価は時間外取引で約3%上昇し、4月30日には過去最高値を更新する軌道に乗った。同社の四半期決算はウォール街の予想を上回ったが、データセンター拡張への支出は依然として高水準にある。
アマゾンは積極的なAI投資サイクルの真っ只中にあり、今年は約2000億ドル(約31兆円)のコストが見込まれている。これは、この新技術が同社の戦略においていかに中心的な位置を占めるようになったかを示している。
2月、アマゾンはOpenAIと新たなパートナーシップを締結し、同AIラボへの500億ドル(約7.8兆円)の投資を約束した。その見返りとして、OpenAIはアマゾンのTrainiumチップを使用し、カスタマイズされたモデルとアマゾンのクラウドプラットフォームを通じて動作する新たなAIエージェントサービスを共同開発することに合意した。
同時に、アマゾンはアンソロピックとの良好な関係をさらに深めた。4月、クラウド大手は同スタートアップへの追加投資として最大250億ドル(約3.9兆円)を投じると発表し、すでにコミットしていた80億ドルに上乗せした。アンソロピックはTrainiumチップを1000億ドル分購入することを約束している。
ジャシーは年次株主書簡の中で、アマゾンのチップ事業は今年200億ドル超の売上を達成する軌道にあると述べ、外部プロバイダーへの販売を行う独立事業として運営した場合には500億ドルに迫る可能性があると付け加えた。