Microsoftは2026年4月29日、Visual Studio Code(VS Code)バージョン1.118をリリースした。Copilot CLIセッションのリモート制御、Copilotをコミットの共同作成者として記録する機能、コードベース検索の拡充などが含まれる。チャット履歴を活用する「Chronicle」の追加や、トークン効率の改善も行われた。
Copilot CLIセッションをWebやモバイルから操作可能に
GitHub Copilot CLIのリモート制御は、Webとモバイル向けのパブリックプレビューとして提供されている。VS Code 1.118では、このリモート制御をCopilot CLIチャットから有効化する実験的機能が導入された。GitHub.comやGitHubモバイルアプリから進行状況の確認、承認への応答、作業指示ができるようになる。利用するには、設定でgithub.copilot.chat.cli.remote.enabledを有効にし、Copilot CLIチャットで/remote onを実行する。状態確認や無効化には/remote、/remote offを使う。
セッション管理では、Copilot CLIセッション名の同期も改善された。セッション名を変更した際、VS Code上のチャット表示やCopilot CLI側で同じタイトルが使われるようになる。
Copilotによる変更を共同作成者として明示
Gitのコミット履歴におけるCopilotの扱いも変更された。VS Code 1.118では、VS Code内蔵のGit機能でコミットする場合に、Copilotのチャット上で作成されたコードやエージェントが書いたコードがコミット対象に含まれていれば、コミットメッセージにCo-authored-by: Copilot com>を追加する設定がデフォルトで有効になった。
この挙動はgit.addAICoAuthorで変更できる。バージョン1.110で導入されていたが、これまでのデフォルトはoffだった。今回、Copilotのチャットやエージェントを対象にするchatAndAgentがデフォルトになった。インライン補完を含む生成コード全般を対象にするallも用意されている。
ノート:関連する動きとして、GitHubはCopilotクラウドエージェントのコミットでも、Copilotによる変更とタスク開始者を後から確認しやすくしているため、author/co-author情報とセッションログへのリンクをコミットに含めるようになっている。
検索対象とコンテキスト管理を拡張
セマンティックインデックスが全ワークスペースで利用できるようになり、エージェントがコードベースを検索する際に、意味的に関連するファイルを含められるようになった。たとえば、コード内に「authentication」という文字列がなくても、login、signIn、verifyCredentials、OAuthトークン交換など、関連する実装を見つけやすくなる。インデックスはワークスペースごとに構築され、GitHubやAzure DevOpsのリポジトリではすぐに利用できる場合が多いという。
また、現在のワークスペース外にあるGitHubリポジトリや組織全体を対象に、完全一致に近いテキスト検索を行うgithubTextSearchツールも加わった。githubRepoツールによる意味検索と組み合わせ、外部コードベースを参照しやすくする。
スキル実行時のコンテキスト管理も見直された。大きな参照資料や複数段階のツール呼び出しを伴うスキルを、メインチャットとは別のサブエージェントコンテキストで実行できる実験的機能が導入された。利用するにはgithub.copilot.chat.skillTool.enabledを有効にし、対象スキルのSKILL.mdのフロントマターでcontext: forkを指定する。
MCPサーバーについても、ワークスペース内の.mcp.jsonファイルで設定できるようになった。
トークン効率とツール実行を最適化
プロンプトキャッシュでは、同じエージェントセッション内で繰り返し送られるシステムプロンプト、ツール一覧、会話履歴、要約などを、より安定して再利用できるようになった。セッションが進行した後は、各リクエストの93%以上が新規入力ではなくキャッシュ済み入力として扱われるという。コード内の名前変更や参照箇所の確認に使うツールも、キャッシュが効きにくくならないよう調整された。
With the upcoming move to usage-based billing, the @code team has been working on a number of initiatives to improve the token efficiency of our harness while not hindering the quality of the agent, including:
– Prompt caching improvements
– Tool search tool
– New tools for…
— Pierce Boggan (@pierceboggan) April 29, 2026
ツール一覧の扱いも見直された。エージェントに最初から提示するツールは約30種類の主要ツールに絞り、残りはモデルが必要に応じてtool_searchで探して読み込む。このツール検索機能はClaude Sonnet 4.5以降とClaude Opus 4.5以降ではデフォルトで有効になっている。GPT-5.4やGPT-5.5では、github.copilot.chat.responsesApi.toolSearchTool.enabledを有効にすることで利用できる。
ツール実行の面では、コードベース探索やコンテキスト収集を担う「Agentic search tool」と、ターミナルコマンド実行を担う「Agentic execution tool」の導入が進められている。どちらも小型の専用モデルを使い、検索結果やコマンド出力からエージェントに必要な情報を絞り込む。実行ツールは、1回の呼び出しで実行できるターミナルコマンドが最大10回に制限されている。
WebSocket対応とChronicleでチャットを高速化・履歴化
対応するOpenAIモデルでは、Responses APIのWebSocket接続がサポートされた。ターンごとに新しいHTTPリクエストを開くのではなく、VS Codeが永続的なWebSocket接続を使い、新しい入力項目と前回のレスポンスIDを送信できるようになった。これによりサーバー側で会話状態を保持し、特にツール呼び出しを多用するエージェントワークフローでリクエストサイズと遅延を減らせるという。VS CodeでのOpenAIモデルの処理は12%高速化したとしている。
過去の作業を振り返るための機能として、チャット履歴をローカルのSQLiteデータベースに記録する「Chronicle」が実験的に追加された。設定でgithub.copilot.chat.localIndex.enabledを有効にすると利用できる。セッションのメタデータ、会話、ツール呼び出しで触れたファイル、プルリクエストやIssueなどの外部参照を記録し、後から検索・要約できるという。
Chronicleでは、直近24時間の作業報告を生成する/chronicle:standup、過去7日間の使い方を分析してプロンプトやツール利用の改善案を出す/chronicle:tips、自然言語で履歴を検索する/chronicle [query]が利用できる。
このほかのアップデート
このほかの主な更新は次のとおり。
AI機能の組織単位の制御:ChatApprovedAccountOrganizationsポリシーが追加された。管理者が承認したGitHub組織のメンバーであることを条件に、チャットなどのAI機能を有効化できる。
エージェントのサンドボックス権限:Copilotエージェントがターミナルコマンドを実行する際、ホームディレクトリ全体への読み取りアクセスは既定では付与されなくなった。既定の読み取り対象は、ワークスペースフォルダーとサンドボックス用の一時フォルダーになる。
Dev Container Featuresのロックファイル:Featuresのバージョンとチェックサムをdevcontainer-lock.jsonに記録するロックファイルが既定で有効になった。サプライチェーン攻撃への耐性を高めるための変更で、dev.containers.lockfile設定に対応する。
Insiders向けAgentsアプリで並列作業を支援
VS Code Insidersでは、プレビュー版のエージェント専用環境Visual Studio Code Agentsアプリも強化された(1.116のときの状況は過去の記事を参考のこと)。
主な改善点は次のとおり。
Claudeエージェントを追加:Copilot CLIやCopilot Cloudに加えて、直接ClaudeエージェントもAgentsアプリから利用できるようになった。
VS Code Insidersとの行き来を改善:VS Code InsidersのタイトルバーからAgentsアプリを開けるようになった。Agentsアプリ側からInsidersへ戻る導線も用意されている。
設定や作業状態の引き継ぎを拡大:VS Code InsidersからAgentsアプリへ移動したときに、Windowsでのサインイン状態、AI関連のカスタマイズ、信頼済みワークスペース、最近使ったフォルダー、キーボードショートカットなどを引き継げるようになった。
Webクライアントを用意:insiders.vscode.dev/agentsにアクセスすると、ブラウザからもAgentsアプリを利用できる。利用するには、対象マシンでcode-insiders tunnelを実行し、Dev Tunnelを用意する必要がある。
作業中の表示を改善:統合ブラウザがセッションをまたいで保持されるようになり、プレビュー確認時の再読み込みが起きにくくなった。差分ビューをチャットビューと並べたり、モーダルで開いたりできる。

コラム:プロンプトを分析するVS Code拡張機能
MicrosoftのPierce Boggan氏は2026年4月27日付のX投稿で、プロンプトやエージェント、インストラクションの分析と改善を支援するVS Code拡張機能「Chat Customizations Evaluations」がVisual Studio Marketplaceで公開されたことを案内した。
Boggan氏が2026年2月に作成したプルリクエストでは、コードをリンターで確認するのと同じように、プロンプトにも品質を確認する仕組みを導入しようとしていた。弱い指示を強い表現に直すこと、曖昧な語を明確にすること、ルール間の矛盾やトークン予算上の問題を検出することなどを想定していた。
このプルリクエストは、プロンプトファイル向けのLSP実装をVS Code本体に追加するものだったが、後にマージされずクローズされている。Boggan氏はクローズ時に、Aiday Marlen Kyzy氏がPrompt LSPの修正版をVS Codeに取り込む方向を検討しているためだと説明していた。
今回の「Chat Customizations Evaluations」は、本体へ直接統合するのではなく、VS Code拡張機能として公開された形になる。プロンプトなどのカスタマイズファイルをVS Code内で分析し、結果を問題(Problems)パネルに表示する。意味論的な分析にはGitHub Copilotが利用される。
🚀 Better prompts. Smarter agents. More control.
The latest @code release introduces the Chat Customizations Evaluation extension, designed to help analyze and refine your prompts, agents, instructions, and skills. pic.twitter.com/7X5XLWjFGD
— Visual Studio Code (@code) April 29, 2026
Boggan氏は、提案内容がデータに基づき、エージェントの成果に意味のある改善をもたらすものになるよう、オフライン評価環境でルールを調整したとも説明している。
分析対象となるファイルパターンは*.prompt.md、*.agent.md、*.instructions.md。これらのファイルに記載されたプロンプトなどについて、矛盾や曖昧な表現、ペルソナの一貫性を確認し、論理、振る舞い、フォーマット上の競合や、解釈が分かれやすい箇所を指摘する。また、複雑なプロンプトへの警告、想定した意図に対応できないケースやエラー対応の不足も指摘するという。
さらに、Markdown形式のリンクで他のプロンプト関連ファイルを取り込んでいる場合、それらのファイルとの間にある競合も分析できる。
この拡張機能を使って分析するには、対象ファイルをVS Codeで開き、コマンドパレットから「Chat Customizations Evaluations: Analyze Prompt」を実行する。エディタのタイトルバーに表示されるボタンから分析を開始することもできる。
VS Codeの問題パネルに表示される分析結果は、各行ごとに表示され、それぞれの問題をクリックすると該当箇所にジャンプできる。
