イスラエルの侵攻で戦禍のレバノン 現地で聞く武装組織ヒズボラへの賛否とジレンマ(Yahoo!ニュース オリジナル 特集)

首都にあふれる避難民とヒズボラへの賛否両論

「雨が降ると、ただ濡れているしかありません」

避難民の女性はそう語る。

3月上旬からのイスラエル軍の攻撃により、レバノンでは約120万人が家を追われた。ベイルート中心部は比較的安全とされるが、ヒズボラ関係者を狙った精密攻撃や、建物全体を標的とした空爆も発生している。ベイルート上空では、イスラエル軍の監視ドローンが常に飛行し、不快な機械音が鳴りやまない。また、「ソニックブーム」と呼ばれる、爆発音に似た大音響を時に鳴らすことで人々に恐怖を与える心理戦も展開されている。

先の見えない状況ながら、南部から避難してきたという23歳のハウラは、強い口調でこう語る。

「故郷の家が壊れたかどうかは問題ではありません。避難生活が大変だとも思いません。大切なのはヒズボラの“抵抗”です」

今回、イスラエルの攻撃は主にシーア派地域に集中しており、避難民の多くもシーア派である。シーア派は、レバノン南部、北東部やベイルート南郊に多く暮らしている。

そんなシーア派の人たちに支えられているのがヒズボラだ。ヒズボラは、レバノンでは国会に議席を持つ合法的な政党でもある。ただし、武装組織でもある。重要なのは、レバノン正規軍とは異なる独自の組織であることだ。

ヒズボラとは何か。尋ねると、南部出身の避難民の男性たちは次のように述べた。

「レバノン政府は私たちの政府である。ただ私たちを守ってくれるのはヒズボラ。政府は政治をするが、守れるのはヒズボラ」

「イスラエルはこれまでの戦争でも停戦違反してばかり。誰もそれを止めていない。レバノン政府はいつもヒズボラから武器を取り上げたがっているが、自分は命を失うことになっても反対する」