Google Cloud CEO、AI市場は1〜2年で再編 「カギは経済性」

写真=Google Cloudのトーマス・クリアンCEO

Google Cloudのトーマス・クリアン最高経営責任者(CEO)は、チップ、データセンター、基盤モデル、製品までを自社で手掛けるフルスタックのAI戦略を武器に、クラウド市場でAmazon Web Services(AWS)との差を縮めていく考えを示した。AI市場については、今後1〜2年で再編が進み、勝敗を分けるのは経済性になるとの見通しを明らかにした。

英Financial Times(FT)のインタビューでクリアン氏は、「当社は他社技術を再販するハイパースケーラーではない。知的財産(IP)、モデル、チップをすべて自社で保有している点が差別化要因だ」と説明した。その上で、「売上高1ドルごとに、その80%をモデルやチップの供給企業に支払う必要がないため、より多くの投資に振り向けられる」と述べた。

Oracle出身のクリアン氏がGoogleに加わってから8年で、Google Cloudの市場シェアは7%から14%へ拡大した。2025年第4四半期の売上高は前年同期比48%増となり、2026年の売上高は700億ドルを上回る見通しだという。2024年の430億ドルから大きく伸びる計算になる。

一方、4180億ドル規模のクラウド市場で、Google CloudはAWS、Microsoft Azureに次ぐ3位にとどまる。チャットボットやコーディング支援ツールの分野では、OpenAIやAnthropicに後れを取っているとの見方もある。

こうした中、クリアン氏はGoogleのTPUとGeminiモデルについて、AmazonのTrainiumチップとNova AIモデル、MicrosoftのMaiaチップとMAIモデルを上回る競争力があると主張した。

TPUとGeminiを持つことで、AnthropicやOpenAIとの提携や、NVIDIA製GPUへの依存を抑えられるとも説明した。さらに「AIチップと、それに対応するソフトウェアの両方を持つ企業で、現時点でGoogleの競争相手といえるのはNVIDIAだけだ」と語った。

Google Cloudは最近、第8世代TPUを2種類発表した。1つはAIモデルの学習向け、もう1つはメモリを増強し、AI推論の高速化に重点を置いた仕様だ。Epoch AIは、GoogleがTPU約380万個、GPU約130万個を保有し、世界のAI計算能力の約4分の1を占めると推計している。

クリアン氏は、OpenAIとAnthropicが計算資源の確保を巡って競争し、毎年数十億ドル規模の赤字を計上している現状では、両社に依存するビッグテックのリスクも高まるとの認識を示した。「これらのAIベンダーは、飽和しつつある資本市場に依存している。上場するなら赤字を永久に続けることはできず、非上場のままでもベンチャー資金を際限なく調達し続けることはできない」と指摘した。

その上で、「今後1〜2年で市場の再編が起きる。どのAIベンダーが生き残るかは、最終的には経済性にかかっている」と述べた。