NEC、Anthropic連携「BluStellar Update」で売上1.3兆円成長狙う–全シナリオをAI化 – ZDNET Japan

 NECは4月24日、価値創造モデル「BluStellar(ブルーステラ)」にAIを中核に強化する「BluStellar Update」を発表した。人とAIが共に社会を動かす「AI Native Company」への変革を掲げ、2030年度の売上収益目標を1兆3000億円、調整後営業利益率を25%へと上方修正した。

「AI Native Company」が目指す世界

NEC執行役副社長 兼 最高執行責任者(COO)の吉崎敏文氏
NEC執行役副社長 兼 最高執行責任者(COO)の吉崎敏文氏

 NEC執行役副社長 兼 最高執行責任者(COO)の吉崎敏文氏は、現在の市場を「AI産業革命」と表現し、AIネイティブな社会・産業を前提に新たな事業機会が次々と立ち上がっていると指摘した。

 吉崎氏は「AIの進化は業務の効率化にとどまらず、業務そのものや価値のあり方までも変えつつある」とした上で、NECが重視する姿勢として「AIを前提に自らを絶えずアップデートしていくこと」と「人が人間性を十分に発揮するために、AIをどう生かすかを追求していきたい」と方針を示した。

 このような環境の変化を事業計画に織り込み、2030年度の業績目標を上方修正した背景について吉崎氏は、(1)AIによる新しい市場創出による売上比率の拡大、(2)AIトランスフォーメーション(AX)による全体的な利益率の改善、(3)社内を含めたコスト構造の抜本的見直し――の3点を挙げた。

全てのシナリオをAX化するビジネスモデルの変革

「BluStellar」はAI変革移行期に突入した
「BluStellar」はAI変革移行期に突入した

「BluStellar」の進化と深化
「BluStellar」の進化と深化

 BluStellarにおけるビジネスモデルの進化については、これまで約30の「BluStellar Scenario」を提供してきたが、今後はこれら全てにAIを適用し、AX化する。

執行役 Corporate EVPの木村哲彦氏
執行役 Corporate EVPの木村哲彦氏

 執行役 Corporate EVPの木村哲彦氏は「BluStellarのシナリオをAX化することにより、お客さまはNECで実績のあるプロセスで、最速でAIによる価値創出が可能になる」と自信を見せる。NECは「クライアントゼロ」として社内の40を超える業務に順次AIを適用してきた。例えば管理会計業務においては、AIが常時シミュレーションや最適化を提案し、人は意思決定に専念する「AI中心の業務プロセス」へと移行した。これにより、業務工数を約60%削減し、意思決定の迅速化を見込む。

「Corporate Transformation Scenario」
「Corporate Transformation Scenario」

 AXコンサルの領域では、AIとデータを活用した高速実装を推進する。新たに約250人体制のAI/データコンサル専任組織を立ち上げ、アビームコンサルティングを含めたNECグループ約1万人のコンサルタントでユーザー企業のAXを支援する。

 米Miroと展開する、人間とAIが連携するサービスソリューション群「Human AI Collaboration」を活用した先行実証では、経営戦略策定業務の大部分をAIが代替し、従来3〜6カ月かかっていたプロセスを2時間に短縮した。

 さらに、特許出願中の「仕様駆動開発」を用いた高速なサービス開発も進める。人材マネジメントシステムの社内実証では6500時間のシステム開発工数を53時間に短縮(人月工数99%削減)し、金融機関向けのソフトウェア開発におけるリバースエンジニアリングでは1万2000時間の作業を6時間に短縮するという効率化にもつなげた。

最新の技術を安全で安心な環境で使える「AI Platform Service」を提供

「AI Platform Service」の全体像
「AI Platform Service」の全体像

執行役 Corporate EVP 兼 最高AI責任者(CAIO)の山田昭雄氏
執行役 Corporate EVP 兼 最高AI責任者(CAIO)の山田昭雄氏

 執行役 Corporate EVP 兼 最高AI責任者(CAIO)の山田昭雄氏は、BluStellarを支える技術基盤として「AI Platform Service」を発表した。

 山田氏は「プラットフォームを使うことによって、ユーザーは個々の機能を意識せず、誰でも最新の技術に裏付けされた、安全で安心なシステム運用が可能になる」と説明する。

 AI Platform Serviceは、40以上のNEC独自機能を含む100を超えるサービス機能群を集約し、フルスタックで提供するもの。インテリジェントハイブリッドクラウドを通じて、複数クラウドやオンプレミスでの実装にも対応し、堅牢(けんろう)性が求められるシステムでもAIを最大限に活用できる。

 山田氏は「リーズナブルなコストで複雑な専門業務を遂行できるAIの運用が可能になる」と特徴を話す。AIエージェントの活用が拡大する中、高い投資利益率(ROI)を確保するためにはトークンコストの削減が不可欠である。そのため、NECはフルスクラッチの国産大規模言語モデル(LLM)「cotomi」を進化させ、小規模な汎用(はんよう)インフラで運用可能なコンパクトな専門領域特化型モデルを拡充していく。AIスパコンの追加稼働も開始し、モデル開発能力を3倍に高める計画だ。

 ガバナンスについては、「Cisco AI Defense」によるグローバル標準への対応に加え、NECが培ってきた独自のAIハーネス技術やネットワーク制御技術を統合した「垂直統合型ガバナンス」を確保する。

 AI Platform Serviceの価格体系については「ミニマムのスターティングプライスが月額30万円からとなっている。基本的には各レイヤー構造を下から上まで含んでいるが、ハルシネーションの自動修正機能の有無など、細かな構成次第で価格は個別にご相談させていただく」(山田氏)とした。

 また、AI同士が攻撃・防御を行うセキュリティ環境については、「サイバーセキュリティはほぼAIだけで進んでいく世界。私たちもAIテクノロジーを全面的に採用したセキュリティサービスを展開しており、今後も最新の技術で脅威に対する日本のIT環境を守っていく」と強調した。AIエージェント同士の連携についても、Agent to Agent(A2A)やModel Context Protocol(MCP)といった標準規格に対応していることを明かした。