ServiceNow、AIを全製品に標準搭載–サイロ化を打破する「つなぐ力」で日本企業の変革を加速 – ZDNET Japan

 ServiceNow Japanは4月22日、事業戦略記者説明会を新オフィスである東京ミッドタウン日比谷にて開催した。ServiceNowの2025年度の総売上は、グローバルで132億7800万ドル(約2兆370億円)、前年同期比21%増だった。また、ServiceNow Japanはグローバルを上回る成長率を継続しているという。

ServiceNow Japan 社長執行役員 鈴木正敏氏
ServiceNow Japan 社長執行役員 鈴木正敏氏

 社長執行役員の鈴木正敏氏は、ServiceNow Japanとしての2025年のハイライトに関して、「コーポレート業務や顧客関係管理(CRM)など、IT領域にとどまらないソリューションの展開」「AIエージェント活用を支えるプラットフォームとしての採用加速」「エコシステム全体の拡大とパートナー各社の強みを生かした協業の加速」を挙げた。

 同氏は、同社の独自レポートを踏まえ「テクノロジーの進化とは裏腹に、企業のAI成熟度が20%減少している」と指摘する。その背景として、企業内に乱立する多様なシステムがサイロ化している現状があり、AIには、デジタルで連携されていなければ十分に力を発揮できないという致命的な弱点があると説明した。そこで、デジタルワークフローに代表される同社の「つなぐ力」こそが、企業内でAIの価値を最大化する上での重要なポイントになるという。

 AIは現在、個別ツールから単体のタスクや事前に定義されたプロセスを担うAIエージェントへ、さらに人の役割そのものを代替する「AIワークフォース」へと進化を遂げつつある。AIとの対話を通じて業務を遂行し、複数の業務プロセスを動的に使い分けながら、役割(ロール)そのものを担う「AI社員」が、企業の業務プロセスに本格的に組み込まれる時代が到来している。

ServiceNow Japan 専務執行役員 COO(Chief Operating Officer) 原智宏氏
ServiceNow Japan 専務執行役員 COO(Chief Operating Officer) 原智宏氏

 専務執行役員 チーフオペレーティングオフィサー(COO)の原智宏氏は、AIが業務の中に不可欠な存在として自然に溶け込んでいる状態を「AIネイティブ」と表現した。ユーザーのAI利用体験においては、「どのシステムを使うか」を意識することなく、AIを起点に必要な業務をシームレスに完結できるようになるという。また、業務プロセスの実行面では、AIが自律的に業務を担い、人はその管理や最適化を担う役割へと移行しつつある。いわゆる「ヒューマン・イン・ザ・ループ」から「ヒューマン・オン・ザ・ループ」へのシフトが進み、人とAIの役割分担は新たな段階に入っている。

人とAIの関係の変遷
人とAIの関係の変遷

 こうした流れを踏まえ、2026年は、(1)AIネイティブな業務起点と体験、(2)AI社員による自律的な業務実行、(3)AI活用の全社管理・統制――に取り組んでいくという。また、CRM事業にフォーカスし、自律型AIエージェントによる部門横断の全社統合のCRMで、さらなる価値を顧客に提供していく。

 加えて、顧客のプロジェクトを成功へ導くために、パートナー協業促進と日本市場のスキル/リソースの拡充とともに、カスタマーサクセスソリューション「ServiceNow Impact」を通した全社活用やAI価値創出の支援を強化する。

ServiceNow Japanの2026年の重点取り組み
ServiceNow Japanの2026年の重点取り組み

 (1)AIネイティブな業務起点と体験では、「ServiceNow EmployeeWorks」で従業員体験と生産性の飛躍的な向上を目指す。EmployeeWorksは、次世代の従業員向けハブとして、AIエージェントへの統一的な窓口となる。

 これにより、一つの窓口から従業員が自然言語によるリクエストを行うことで、AIは社内のあらゆるシステムデータを理解し、組織の承認ルールやフローといったガバナンスに基づいた業務を実行する。

 (2)AI社員による自律的な業務実行は、「Autonomous Workforce」によって実現するという。Autonomous Workforceは、ビジネスを理解した上で、業務を自律的に遂行するAIスペシャリストのチームをオーケストレーションし、業務を最初から最後まで実行する。現在は、「レベル1(L1)サービスデスクAIスペシャリスト」を提供しており、一般的なITサポートリクエストを、エンドツーエンドで自律的に診断・解決する。

 実際に、ServiceNowではITサポート要員としてL1サービスデスクスペシャリストを活用している。増加し続ける従業員数に対して、ITサポートは右肩下がりになっているが、こうした自動化の技術を活用することで、サポート要員の人数を増やすことなく、従業員へのサポートレベルを維持することができているという。

 今後はIT領域だけでなく、セキュリティや人的資本(HR)、ファイナンス、カスタマーサービスなど幅広いロールを担うAIスペシャリストを提供する予定だ。

 (3)AI活用の全社管理・統制は、「AI Control Tower」の提供を通して実現する。同社はAIを含めたアイデンティティーセキュリティ製品を提供するVezaと、サイバーエクスポージャー管理を提供するArmisを買収し、AIリスクの極小化とガバナンス強化に向けた取り組みを進めている。

 従来通り、IT領域のAI活用に伴うさまざまなガバナンスや一般業務へのIT適用のガバナンス、セキュリティ保護を提供するとともに、全てのIT資産を発見し、ITのインベントリーとして管理する機能や、サードパーティーを含めた企業全体のAIエージェントのパフォーマンスを継続的に監視・評価するオブザーバビリティ機能を搭載した。

AI Control Towerにおける管理対象領域
AI Control Towerにおける管理対象領域

 鈴木氏は、「AIは、重要な経営資本の一つに昇華している」とした上で、AIネイティブな経営は、企業競争力の向上とともにデジタルネイティブな人材を引きつける働く環境を作り出していると強調した。