私は高校1年のとき、物理の成績は最低だった(本当に)。ディープマインドが最近発見したことの重要性を説明するために、ワシントン大学で機械工学と流体力学を学んでいる娘のノラ・ウーリー(Nora Woolley)に相談した。

ノラにディープマインドのブログや研究論文を見せると、彼女は気づいたことと、数学や物理が苦手な人に向けた説明を返信してくれた。

「流体力学と物理全体に大きな影響を与える可能性がある」とノラは私に返信した。

ある部分への集中

では、ノラの助けを借りて、詳細について説明しよう。

流体はあまりにも予測不可能であり、その動きをモデル化するために方程式を使って完全に解くことは不可能だ。物理学者はこれらの方程式を使うために、一定の粘度や、圧力下でのなめらかな変化といったことを仮定しなければならない。

シンプルなシナリオでも、方程式が無限の圧力やありえない速度の急上昇といった極端な結果を予測する「暴発」を引き起こす可能性がある。これらは特異点と呼ばれ、数学では流体の物理的な動きを予測できない瞬間をいう。

特異点は、安定であるか、もしくは不安定である。安定した特異点は見つけやすいが、不安定な特異点を特定するのは非常に困難だ。

不安定な特異点

機械学習と物理学に特化したオーダーメイドのAIモデルを使用し、ディープマインドの研究者は、3つの流体力学の方程式において、新しい不安定な特異点のグループを見つけた。

方程式の構造をこれらの特化したAIモデルに直接組み込み、段階的に最適化することで、チームは数学者が結果を検証できるのに十分な、機械レベルに近い精度に達することができた。

「この取り組みは、数理物理学の分野で長年の課題に対する新たな戦略を提供する」とディープマインドの研究者は論文に書いた。付随するブログ記事には「この画期的な進歩は、数学研究の新たな手法を示している」と書かれている。

どのように重要なのか

これらの不安定な特異点の発見は、自然界や工学で起きる、不安定で、予測不可能で、エネルギーを消耗する流体の動きについて、科学者がより良く理解するのに役立つ可能性がある。

そして、空気抵抗、気象システム、血流、エネルギー分布などの分野の理解を深める。これらの発見が、未来の飛行の揺れを軽減するかもしれない。

「乱流を監視するために使用するソフトウェアの多くは、これらの方程式がすべての値にわたって完全に正確であると想定している」とノラは述べた。

ディープマインドが新たな不安定特異点を発見した今、科学者は流れをより良く監視できるかもしれない。「方程式が有効な範囲はどこまでなのか、以前よりよく理解できるようになったからだ」と彼女は付け加えた。

これは「AIががんを撲滅した」といったレベルの話ではないが、現在インターネットを汚染している生成AIによる「粗製濫造(slop)」よりは、はるかにましな成果と言えるだろう。

グーグルのAI研究機関ディープマインドは、いかにして世界屈指のAI人材輩出企業になったか | Business Insider Japan

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