
米宇宙企業スペースXの2025年12月期の最終損益が、約50億ドル(約8000億円)の赤字となったことが明らかになりました。 売上高はロケット打ち上げや衛星インターネット「スターリンク」を中心とする宇宙事業が大半を占め、約185億ドルに達した一方で、人工知能(AI)分野への投資が膨らみ、最終赤字に転落した形です。
スペースXは、イーロン・マスク氏が設立したAI企業xAI(エックスエーアイ)を2026年2月に買収しており、今回の業績にはxAIの損益も含まれています。 xAIではAI開発に必要なデータセンターや半導体チップへの設備投資として約130億ドルを投じたとされ、宇宙事業の設備投資額を上回る規模に達しています。 スペースX全体の設備投資は200億ドル超とみられ、マスク氏が率いる電気自動車大手テスラの2025年12月期の設備投資を大きく上回っています。
一方で、株式報酬費用を足し戻した調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は全社ベースで65億ドル超の黒字を確保しているとされます。 宇宙事業単体では約80億ドルの調整後EBITDAを計上しているとみられ、ロケット打ち上げやスターリンクが安定した収益基盤となっている状況です。 この収益力を背景に、宇宙事業で稼いだ資金が赤字の拡大するAI事業への投資に回されている構図が浮かび上がっています。
スペースXは新規株式公開(IPO)に向けた準備を進めており、今回の業績は投資家にとって重要な判断材料となります。 最大750億ドル規模の資金調達を目指しているとされ、成長性と収益性の両立をどう示すかが問われています。
「宇宙×AI」で成長加速狙うマスク氏 超大型IPOと2兆ドル企業観測の行方
IPOを通じて調達される資金は、xAIを軸にしたAI開発を一段と加速させるためのデータセンター整備や半導体の量産体制構築に充てられる見通しです。 スペースXは早ければ2026年6月にも米市場で上場するとされ、調達額は最大750億ドルとの観測が出ています。 実現すれば、過去の大型案件を上回る世界最大級のIPOとなる可能性があります。
上場時の企業価値(時価総額)については、1兆7500億ドル超との試算も示されており、テスラや米メタ・プラットフォームズを上回る水準と見込む見方があります。 一方で、目標を2兆ドルに引き上げたとする観測も出るなか、マスク氏はSNS「X(旧ツイッター)」上で「読んだものをすべて信じるべきではない」と投稿し、過度な期待に距離を置く姿勢も見せています。
それでもマスク氏は、自身が率いる企業群をまたいでAI関連投資を拡大する方針を崩していません。テスラも2026年12月期の設備投資を200億ドルまで引き上げる計画とされ、スペースXと合わせてAI半導体や巨大データセンターへの投資が加速する見通しです。 宇宙事業の安定収益を土台にリスクの大きいAI分野へ踏み込む戦略が、市場から持続的な成長ストーリーとして評価されるかどうかが、今後の最大の焦点になっています。
